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8、お嬢様の味方ですね!
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「おっほん!!!!!」
心の中で助けを求めていたら、聞き覚えのある咳払いが聞こえてきました。
ぱちりと目を開けると数センチ先にはヴァル様の立派(?)なお顔が!
こ、これはこれで目が回ります!!!!
「…空気を読んでくれ」
ジト目を向けるヴァル様の視線の先には、公爵邸で別れたミーラと公爵家で紹介していただいた騎士たちがいました。
「申し訳ございません。
ですがまだお嬢様とは婚約関係。この先は婚姻が正式に決まってから楽しんでくださいね」
「…はぁ」
溜息と共に離れていくヴァル様の体温に少しだけ寂しさを覚えます。
「お嬢様」
「ミーラ……、あ、れ?…あの、いつからぁぁあああぁぁ!?」
一体いつからいたの!?というか今のヴァル様とのやりとりをもしかしてみられ…えええええええ!?
言葉に出来ていない私の悲鳴を、ミーラは正確に理解しているのかニコリと微笑みます。
「大変可愛かったです。お嬢様」
「~~~!!!!」
ああああああと両手で顔を隠してしゃがみ込む私をヴァル様が拾い上げて、これまたいつの間にか用意されていた馬車に乗せてくださいました。
馬車にはミーラと二人。
恥ずかしがっている私にヴァル様が気を使ってくれたのでしょうか。
ホッとしつつも、少しだけ離れていることがさみしいと感じてしまいました。
「お嬢様、どうでしたか?」
馬車の中でそう尋ねるミーラ。
「……ミーラは気付いていたのね」
「ふふ。あれほど熱烈にアピールされていましたからね!気付かないわけがありません」
「私…気付かなかったわ…」
「第三者の目線のが分かる場合もありますし……、でもそこがお嬢様のかわいいポイントです!」
一体どこがかわいいのかはわからなかったけれど、にこにことご機嫌そうなミーラに私も微笑んだ。
「あれ…そうなるとやっぱり何故お父様は私に黙ってたの?」
「……。さぁ…私はわからないです。
それよりお嬢様は今後の為に頑張りましょう!」
「今後?」
そう尋ねる私にミーラはニッと笑って言った。
「ヴァルレイ様の妻となるという事は、公爵夫人となるんですよ!」
侯爵家の事ではなく、これから先の事を考えてくださいと活を入れるミーラに私は頬を赤くして、ミーラにからかわれたのでした。
■ SIDEミーラ
「ミーラ、といったわね」
公爵夫人に呼ばれた私は、お嬢様から離れて公爵夫人の書斎らしい部屋にいました。
部屋には夫人とヴァルレイ様がいて、なにやら険しい表情をしていました。
ゴクリと唾を飲み込み、部屋の中心部まで歩を進めます。
そして名を確認されたのでした。
「はい。ミーラです。平民の為姓はありません」
「平民?貴方アニーちゃん付のメイドでしょう?身の回りのお世話をする者に平民を雇っているの?」
「あ…、えっと…」
口ごもる私に、ヴァルレイ様が助け舟、のような言葉を言いました。
「他家によって違うのでしょう。少し調べてみましたが三年ほど前から侯爵家の事業は下降していますね。
まぁ最近の一年ほどは持ち直して安定していますが…」
「…まぁいいわ。貴方が平民出身でもアニーちゃんに問題なければいいのだから」
平民でも構わないと告げる2人に私はほっと胸を撫でおろしました。
(よかった…平民が原因で辞めさせられるのかと思ったわ…。
そういえば執事長から言われていたわね、貴族の中には平民を毛嫌いする人もいるって…今回は大丈夫だったけどこれからは言わないようにしよう)
すっかり忘れてしまっていた執事長の言葉を思い出して今後気を付けようと思ったときでした。
「で、貴方を呼んだ理由だけど、アニーちゃんが侯爵家でどのように過ごしてきたのかを教えて欲しいの」
「お嬢様…ですか?」
私は咄嗟に訝しみました。
平民が貴族に対してとってはいけない行為だとしても、お嬢様はもはや私にとって大事な存在なのです。
この方たちがどんな理由でお嬢様の事を知りたいのか、それをわからない限りは言いたくありませんでした。
だって使用人のようなことをさせられていたことを知った途端、態度が変わるかもしれませんから。
ああ、そういう態度でいいんだと。
婚約者としてではなく、使用人としてお嬢様に接するかもしれませんからね。
「ええ。まず疑問に思ったことはアニーちゃんの体型ね。
いくら太っている人より痩せている方が見栄えが良く、ドレスも美しく着られるといってもあれは細すぎだわ。
それに髪の毛も銀色で可愛らしいけれど、バサバサしていて手入れがされていないように見えたし、栄養不足なのかアニーちゃんの爪にも影響がみられていたわ。
侯爵家では栄養面も考えられていなかったのかしら?それともヴァルがさっき言ったように経済面が落ち込んでいることが理由?
次に疑問に思った事は、アニーちゃんが持ってきた荷物よ。
これは私が直接見たわけではないけれど、セバスチャンにきいたところかなり少なかったらしいわね。
アニーちゃんはこの縁談に乗り気ではないから?だから最初から長居しないつもりであれだけの手荷物だったのかしら?
それとも他に理由があったのかしら?
次はアニーちゃんの知識量ね。ヴァルから聞いているわ。学園に通っていた時から優秀な人だったと。
でもね学園で得る知識も限界があるというのに、アニーちゃんにはそれ以上の知識があった。
これはうちの教育の鬼と言われているセバスチャンが絶賛するものよ。
あの教育の鬼が嬉々として『この調子なら二カ月…いえ後一カ月で十分ですわい!』といつもの口調を忘れて喜んでたもの。
何故ここまで知識力があるのかと考えた時、私は侯爵の跡継ぎだから?ということを考えたわ。
でもここまで手塩にかけて育てた娘を嫁として寄越したのかわからない。ここまで優秀ならば婿に来てもらった方がいいでしょう?
まぁ勿論私達公爵家としても息子はヴァル一人だけだから婿には出せないし、優秀な子が来てくれるのは万々歳だけれどね」
口を挟むつもりはなかったけれど、これだけの長文を一気に言われて私は思考が停止しかけた。
けれど、お嬢様が悪く言われていない。
寧ろお嬢様を心配していることだけは通じました。
つまり、公爵夫人はまともな人で、お嬢様の味方!
「私達も今侯爵家で何があったのか、調べているところよ。
でも近くにいる者の言葉も聞いた方がいいと思ってね。
そこで暫く間あなたの様子を観察し、貴方が本当にアニーちゃんの味方なのかどうか判断していたわ」
「!!」
(味方だ!!!こっちサイドの人だ!!!)
「私でよければお話しさせてください!!!!」
私はもう食い気味でそう答えた。
この人ならばお嬢様を虐めた_お嬢様はそう思ってはいないかもしれないけど_あの三人を懲らしめてくれるかもしれないと。
「いい返事ね。では侯爵家でのことを貴方が知っている範囲でいいから教えてもらえないかしら?」
「はい!!!まずは……」
心の中で助けを求めていたら、聞き覚えのある咳払いが聞こえてきました。
ぱちりと目を開けると数センチ先にはヴァル様の立派(?)なお顔が!
こ、これはこれで目が回ります!!!!
「…空気を読んでくれ」
ジト目を向けるヴァル様の視線の先には、公爵邸で別れたミーラと公爵家で紹介していただいた騎士たちがいました。
「申し訳ございません。
ですがまだお嬢様とは婚約関係。この先は婚姻が正式に決まってから楽しんでくださいね」
「…はぁ」
溜息と共に離れていくヴァル様の体温に少しだけ寂しさを覚えます。
「お嬢様」
「ミーラ……、あ、れ?…あの、いつからぁぁあああぁぁ!?」
一体いつからいたの!?というか今のヴァル様とのやりとりをもしかしてみられ…えええええええ!?
言葉に出来ていない私の悲鳴を、ミーラは正確に理解しているのかニコリと微笑みます。
「大変可愛かったです。お嬢様」
「~~~!!!!」
ああああああと両手で顔を隠してしゃがみ込む私をヴァル様が拾い上げて、これまたいつの間にか用意されていた馬車に乗せてくださいました。
馬車にはミーラと二人。
恥ずかしがっている私にヴァル様が気を使ってくれたのでしょうか。
ホッとしつつも、少しだけ離れていることがさみしいと感じてしまいました。
「お嬢様、どうでしたか?」
馬車の中でそう尋ねるミーラ。
「……ミーラは気付いていたのね」
「ふふ。あれほど熱烈にアピールされていましたからね!気付かないわけがありません」
「私…気付かなかったわ…」
「第三者の目線のが分かる場合もありますし……、でもそこがお嬢様のかわいいポイントです!」
一体どこがかわいいのかはわからなかったけれど、にこにことご機嫌そうなミーラに私も微笑んだ。
「あれ…そうなるとやっぱり何故お父様は私に黙ってたの?」
「……。さぁ…私はわからないです。
それよりお嬢様は今後の為に頑張りましょう!」
「今後?」
そう尋ねる私にミーラはニッと笑って言った。
「ヴァルレイ様の妻となるという事は、公爵夫人となるんですよ!」
侯爵家の事ではなく、これから先の事を考えてくださいと活を入れるミーラに私は頬を赤くして、ミーラにからかわれたのでした。
■ SIDEミーラ
「ミーラ、といったわね」
公爵夫人に呼ばれた私は、お嬢様から離れて公爵夫人の書斎らしい部屋にいました。
部屋には夫人とヴァルレイ様がいて、なにやら険しい表情をしていました。
ゴクリと唾を飲み込み、部屋の中心部まで歩を進めます。
そして名を確認されたのでした。
「はい。ミーラです。平民の為姓はありません」
「平民?貴方アニーちゃん付のメイドでしょう?身の回りのお世話をする者に平民を雇っているの?」
「あ…、えっと…」
口ごもる私に、ヴァルレイ様が助け舟、のような言葉を言いました。
「他家によって違うのでしょう。少し調べてみましたが三年ほど前から侯爵家の事業は下降していますね。
まぁ最近の一年ほどは持ち直して安定していますが…」
「…まぁいいわ。貴方が平民出身でもアニーちゃんに問題なければいいのだから」
平民でも構わないと告げる2人に私はほっと胸を撫でおろしました。
(よかった…平民が原因で辞めさせられるのかと思ったわ…。
そういえば執事長から言われていたわね、貴族の中には平民を毛嫌いする人もいるって…今回は大丈夫だったけどこれからは言わないようにしよう)
すっかり忘れてしまっていた執事長の言葉を思い出して今後気を付けようと思ったときでした。
「で、貴方を呼んだ理由だけど、アニーちゃんが侯爵家でどのように過ごしてきたのかを教えて欲しいの」
「お嬢様…ですか?」
私は咄嗟に訝しみました。
平民が貴族に対してとってはいけない行為だとしても、お嬢様はもはや私にとって大事な存在なのです。
この方たちがどんな理由でお嬢様の事を知りたいのか、それをわからない限りは言いたくありませんでした。
だって使用人のようなことをさせられていたことを知った途端、態度が変わるかもしれませんから。
ああ、そういう態度でいいんだと。
婚約者としてではなく、使用人としてお嬢様に接するかもしれませんからね。
「ええ。まず疑問に思ったことはアニーちゃんの体型ね。
いくら太っている人より痩せている方が見栄えが良く、ドレスも美しく着られるといってもあれは細すぎだわ。
それに髪の毛も銀色で可愛らしいけれど、バサバサしていて手入れがされていないように見えたし、栄養不足なのかアニーちゃんの爪にも影響がみられていたわ。
侯爵家では栄養面も考えられていなかったのかしら?それともヴァルがさっき言ったように経済面が落ち込んでいることが理由?
次に疑問に思った事は、アニーちゃんが持ってきた荷物よ。
これは私が直接見たわけではないけれど、セバスチャンにきいたところかなり少なかったらしいわね。
アニーちゃんはこの縁談に乗り気ではないから?だから最初から長居しないつもりであれだけの手荷物だったのかしら?
それとも他に理由があったのかしら?
次はアニーちゃんの知識量ね。ヴァルから聞いているわ。学園に通っていた時から優秀な人だったと。
でもね学園で得る知識も限界があるというのに、アニーちゃんにはそれ以上の知識があった。
これはうちの教育の鬼と言われているセバスチャンが絶賛するものよ。
あの教育の鬼が嬉々として『この調子なら二カ月…いえ後一カ月で十分ですわい!』といつもの口調を忘れて喜んでたもの。
何故ここまで知識力があるのかと考えた時、私は侯爵の跡継ぎだから?ということを考えたわ。
でもここまで手塩にかけて育てた娘を嫁として寄越したのかわからない。ここまで優秀ならば婿に来てもらった方がいいでしょう?
まぁ勿論私達公爵家としても息子はヴァル一人だけだから婿には出せないし、優秀な子が来てくれるのは万々歳だけれどね」
口を挟むつもりはなかったけれど、これだけの長文を一気に言われて私は思考が停止しかけた。
けれど、お嬢様が悪く言われていない。
寧ろお嬢様を心配していることだけは通じました。
つまり、公爵夫人はまともな人で、お嬢様の味方!
「私達も今侯爵家で何があったのか、調べているところよ。
でも近くにいる者の言葉も聞いた方がいいと思ってね。
そこで暫く間あなたの様子を観察し、貴方が本当にアニーちゃんの味方なのかどうか判断していたわ」
「!!」
(味方だ!!!こっちサイドの人だ!!!)
「私でよければお話しさせてください!!!!」
私はもう食い気味でそう答えた。
この人ならばお嬢様を虐めた_お嬢様はそう思ってはいないかもしれないけど_あの三人を懲らしめてくれるかもしれないと。
「いい返事ね。では侯爵家でのことを貴方が知っている範囲でいいから教えてもらえないかしら?」
「はい!!!まずは……」
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