愛してないから、離婚しましょう 〜悪役令嬢の私が大嫌いとのことです〜

あさとよる

文字の大きさ
3 / 12

3話

しおりを挟む


とある物書きが綴ったメロドラマは、この世の中で爆発的に流行していた。

なんでも不思議な現象で時が戻り、人生をやり直すだとか・・・。


失敗から得る経験は沢山ある。

あの時ああしていれば、こうしていれば、そんなたらればだからこそ、過去に戻れば良い方向に向くかもしれない。そんな期待を持ってしまうのだと思う。

もしも過去に戻れるのなら、私はどうするのだろうか。

この男と初めて会った時に、良好な関係を築いておくべきだったのか?

そもそも、何故ウィリアムは私が嫌いなのか原因が分からない。気付いたら奴が取り巻きを囲み、私だけを侮辱し始めていた。

初めこそは事実無根と否定してくれた同僚も居たが、そんな彼等もウィリアムが騙る私の人物像によって、次第に敵と化していったのだ。


兎に角この男からは、私の存在が気に食わないとだけ犇々と伝わってくる。

彼を無視し続けたから、次第に膨張していったのだ。


お互いそれぞれの感情が・・・。





「本来この場はめでたい席でしょうが、お父様がそこまで私達の心配をするものですから暴露はなしましょう。」

ワイングラスに口を付けて一息つく。隣の男が私のドレスの袖を掴んだが、もう知らない。

「お前っ」
「——私たちにカラダの関係は御座いません。白い関係どころか、この男は私をずっと嫌っていたのです。死ねばいいと・・・ですが、私もやっと決心がつきました。」


心に溜まった黒い塊が、すっと煙を立てながら薄くなる。

ずっと無視してきたこの存在かすが、私の敵なのだと認めてしまおう。

私が要らぬモノはゴミ箱へ。



「・・・そんなに私の事が嫌いなら、喜んで離婚してさしあげましょう。」

今までに浮かべた笑みの中で最高潮に頬が吊り上がっていたに違いない。そもそも笑ったことが殆ど無い。

そんな私を最高に笑わせてくれたこの男には感謝しなくてはな。


掴まれた場所を払い除けて席を立つ。

目の前で顔を真っ赤に染めた両親が、何かを怒鳴っていた気がするが、私の耳には届かない。

もう疲れたのだ・・・何もかも。



この場から退場する際に、私を追いかけようとしてきた夫に向かって、今し方外した指輪を投げつけた。

それは見事に奴の眉間に当たると跳ね返り、甥っ子の居る乳母車へと入っていった。

直ぐに反応を示した兄夫婦が赤子をあやしに行き、私はその場を後にする。




夫が直ぐに追いかけてきたが、次はうんと冷めた口調で諭すのだ。

「待て!レミリア、貴様こんな事が許されると・・・」

「お前みたいなクソ野郎は、こっちもお断りだ。」


親指を立て握り拳を作り、その飛び出た指先で首を裂くする動作を繰り広げた。

この国で離婚するということは珍しく難しい。特に貴族間は・・・片方の意思だけでは認められない。


ほら、これを望んでいたのだろう?


最後に叶えてやるわよ。


嬉しいでしょ?笑いなさいよ。





去り際に見えたウィリアムの目が虚ろに見えた気がした。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く

紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

【完結】 生まれ変わってもあなたと

紬あおい
恋愛
政略結婚の筈が、いつの間にかあなたを愛していた。 あなたには溺愛する人が居るのに。 前世と今世で縺れる運命。

貴方の記憶が戻るまで

cyaru
恋愛
「君と結婚をしなくてはならなくなったのは人生最大の屈辱だ。私には恋人もいる。君を抱くことはない」 初夜、夫となったサミュエルにそう告げられたオフィーリア。 3年経ち、子が出来ていなければ離縁が出来る。 それを希望に間もなく2年半となる時、戦場でサミュエルが負傷したと連絡が入る。 大怪我を負ったサミュエルが目を覚ます‥‥喜んだ使用人達だが直ぐに落胆をした。 サミュエルは記憶を失っていたのだった。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※作者都合のご都合主義です。作者は外道なので気を付けてください(何に?‥いろいろ) ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

【完結】 女に弄ばれた夫が妻を溺愛するまで

紬あおい
恋愛
亡き兄の恋人を愛し、二年後に側室に迎えようと政略結婚をした男。 それを知りつつ夫を愛し、捨てられないように公爵夫人の地位を確立しようと執務に励む女。 そんな二人が心を通わせるまでのお話。

【10話完結】 忘れ薬 〜忘れた筈のあの人は全身全霊をかけて私を取り戻しにきた〜

紬あおい
恋愛
愛する人のことを忘れられる薬。 絶望の中、それを口にしたセナ。 セナが目が覚めた時、愛する皇太子テオベルトのことだけを忘れていた。 記憶は失っても、心はあなたを忘れない、離したくない。 そして、あなたも私を求めていた。

処理中です...