魔物好きゲイテイマーの異世界転生記

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第3章 シュルトーリア

剥ぎ取り再開

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宿に戻ってきた俺はそのまま厩舎へと向かい。ディメンジョンルームを開く。
その中で先ほど買ってきた料理を取り出し、昼食を取ってから剥ぎ取りを再開する。

「それじゃあ剥ぎ取りを再開するけどその前に……。」

俺は奥の壁に向かい、ステータスを開いて残りMPを確認する。

「残り1500か。」

昼を挟んだおかげで今朝消費した分はだいぶ回復している。
俺は先ほど買ってきたマナポーションを取り出し、すぐに飲めるように準備する。

「よし、一気に広げるぞ。」

俺は残りMPをチェックしながら腕輪に魔力を込めていく。

残り1000……800……600……400。
500を切った位から少しずつ気だるさが出てくる。
300…200…100…50…10!

MP枯渇で意識を失うギリギリまで腕輪に込めた魔力は解放と同時にディメンジョンルームの拡張に充てられる。
壁の一面が輝き、どんどん広がっていく空間を見届けながら俺は自分の体を支えきれなくなり、後ろへと倒れた。

ポヨン。

しかし、俺の体は床に叩きつけられず、弾力のあるものに受け止められる。

「(ご主人さまー、大丈夫?)」

どうやらバラムが受け止めたらしい。

俺は朦朧とした意識の中、どうにか取り出しておいたマナポーションを飲み込むと魔力が戻り、意識がはっきりしてくる。

「ありがとう、もう大丈夫だ。」
「(本当にもういいのか?)」
「あぁ、そんなに心配するな。」

俺はガルドに手を引いてもらい起き上がると、広げられた空間を確認する。

「(広くなりましたね。)」
「1.5倍位にはなったかな?拡張に必要な魔力が増えてきな。」

ロアの言う通り、これまでの地道な拡張と今回の拡張で25m×20mに高さが8m程とずいぶん広くなった。

「それでもこれだけ広いならファイアアントは上手く積み上げればほとんど取り出せるし、大型の魔物が仲間になっても大丈夫だろ。」

俺は広げたスペースを存分に使い、ファイアアントを出せるだけ取り出す。

「(今朝の続きで触覚を切り落としていけばよいのだな。)」
「あぁ、明日の昼にギルドに提出したいから悪いけど手伝ってくれ。」

俺達は3人と今朝と同じように剥ぎ取りを行う。

途中マナポーションをもう1本飲んでファイアアントを順番に取り出し、すべての触覚を切り取ってまとめ終わると先に出した80匹と合わせて全部で222匹分とクイーンで223匹分もあった。

「やっと終わった。」

ファイアアントはそのままに、討伐証明の触覚だけ異空間収納に仕舞うとディメンジョンルームを出て大きく伸びをする。厩舎から見える空はすでに赤く染まり始めていた。

「もうこんな時間か。2人の夕飯の支度しないとな。」

俺はディメンジョンホームに戻るといつもの木箱にコンロ、包丁と調理道具と以前オークの集落を壊滅させた時に確保した肉を取り出していく。

「(ご飯ですか?僕、お腹空いちゃいました。)」

ロアが早く、早くと言わんばかりに尻尾を振ってこちらを凝視している。

「今焼くからちょっと待ってな。」

オーク肉を手ごろなサイズにスライスして塩コショウを振っておく。黄色いニンニクのような物をみじん切りにして多めの油を引いたフライパンで炒める。

バチバチとニンニクの水分がはじけ、匂いが立ってきたら先ほどのオーク肉を焼き始める。
片面に焼き目が付いたところでひっくり返し、いい具合に火が通ってくる。

「(なにやら食欲を刺激するいい香りだな。我も空腹感を抑えきれなくなってきたぞ。)」

ガルドが寄ってきてフライパンを覗き込むと鼻をヒクヒクと動かす。

「おっと。いま皿に乗せるから!」

ガルドの顔をグッと押しのけフライパンを持って移動するとガルドとロアの皿に焼いた肉を乗せ、追加でステーキを焼いていく。

「(お主の分はどうしたのだ?)」
「俺は宿の料理が付いてるから後で食べてくるよ。焼いてるステーキは2人で食べてくれ。)」
「(そうか……)」

ガルドはそう言って少し寂しそうにステーキに手を付けた。

そこからは2人が満足するまでひたすらステーキを焼き続けた。



2人が満足したところで俺もようやく一息つく。

「(ありがとう、うまかったぞ。)」
「(おいしかったです。)」
「お粗末様。」

そう言って肉の油で汚れた2人の口元をタオルで拭ってやる。

「(む、すまない。)」
「(ありがとうございます。)」
「それじゃあ片付けて部屋に戻るか。」
「(少し待ってくれ。頼みがあるのだが。)」

出したものを片付けようとするとガルドに引き留められる。

「どうしたんだ?」
「(明日からは一緒に食事を取らぬか?それとこの白い空間も広がったのだからここで一緒に寝られぬのか?昨日の藁が敷かれた場所も良いのだが、こちらの方が長く一緒にいられるであろう?)」
「(いいですね。僕もご飯はご主人様と一緒の方がいいです。)」
「(バラムもご主人様と一緒に寝たい!)」

どうやら3人は少しでも長く俺と一緒の方がいいみたいで何もなくて真っ白な空間のディメンジョンルームよりいいだろうと厩舎を取ったのは余計な気遣いだったみたいだ。

「それじゃあディメンジョンルームで寝るのに宿を取ってるのももったいないし明日の朝、宿は引き払ってこっちで暮らすか。あ~、ただ風呂は入りたいから時々宿を取らないといけないか……。」

宿でやっていたこと、ディメンジョンルームでできることを比較してできないことを考えていると一つの考えが浮かぶ。

「もうここに家を建てるか仕切りで部屋を作れないか?むしろ普段ここを使うのは俺達だけだから誰か入れる時だけ仕切りを取り出すようにすれば普段は仕切りもいらないか?」

俺と従魔の間なら別に仕切りで隠すような必要もない。

「いや、さすがに浴槽を置いて風呂場を作るなら水が飛び散ったりしないように仕切りはいるか。……いや、それだけじゃないな。排水の方法も考えないと。そうするとキッチンの排水もだな。でもそのくらいだよな。これなら何とかなるんじゃないか?」
「(どうしたのだ?やはり無理を言ってしまったか?)」

俯いてディメンジョンルームを生活できる環境に改造する方法をブツブツと垂れ流しにしてたのを心配したのか耳をペタンと寝かせて顔を覗き込んできた。

「いや、大丈夫だ。せっかくだから宿の部屋に負けない生活空間を作ろうと思って考えてただけだ。」

ガルドは頭を撫でてやるとそうかといって照れたように笑った。

「とりあえず宿に戻って夕飯食べてくる。そのあと部屋でディメンジョンルームを開くからこのまま待っててくれ。今晩は宿の部屋から入り口を開くからみんなで寝よう。」

そう言って俺はディメンジョンルームを出ると食事のために宿に戻った。
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