歴史研究者の俺は殺されたと思ったら1000年前の世界に転生しました。

なの

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第四章 後悔すべき時

第10話

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シルヴィ・クラヴェンス


「愛していなかったんです。俺のことを。」






















涙が止まることはなかった。
ルシファー様を慰める気でいたのに、俺が泣いてしまった。情けない。


「シルヴィ…? 泣いているのか?」


「ごめんなさい。」


そう言って袖でごしごしと目を拭った。
だけど、それはただ袖を濡らしただけで、意味もなかった。


「ごめんなさい…。すぐ止めます。」


どれだけ拭っても、どれだけ楽しいことを考えようとしても、それらは逆効果でもっと辛くなってしまう。

早く止まれと、目を擦っていると、























誰かが俺の手を止めた。
それは言うまでもなくルシファー様だった。


「すまない。無神経なことを言った。」


そのまま彼は俺の手を優しく握ってくれた。
その手は温もりがあって、シルヴィの両親と似た暖かさだ。俺の両親は握ってくれなかった。生まれ変わって、この温もりを知った。

そんなことを考えていると、また胸の奥が痛くなって涙が込み上げてきた。


「ふっ…、ふっ…はっ、」


ただ静かに泣くことしかできなかった。
声をあげて泣くなんて第一皇子の前でできない。本当は泣くこともしてはいけないだろうけど、彼の手が温かくて涙が止まらない。











気づいたら、俺は何かに包まれていた。
ルシファー様が優しくでも力強く抱き締めてくれたのだ。


「ごべんなざい…。ぐすっ…ぐすっ…」


こんなことをしたらルシファー様の服が汚れてしまう。
そんなこと、お構いなしに抱きしめ続けてくれた。


































しばらくして俺はやっと涙が止まった。


「ごめんなさい…ルシファー様。お見苦しい所を…..。」


「謝るのは私の方だ。君がそんなに辛い思いをしていたのに、私はあんなことを…。本当にすまない。」


そう言ってルシファー様は頭を下げた。


「な、何してるんですか?!頭を上げてください!
だって、他人の心なんて分かる訳ないんですから!」


「本当か?俺が王族だから許す、なんてことしなくていいんだぞ?」


「本当に大丈夫ですから!」


「そうか…、もう一度謝らせてくれ。本当にすまなかった。」


本当は謝るべきなのは俺の方なのに…。
だって、急に自分のことを話し始めて、急に泣き出すんだから。

…だけど、誰かに痛みを聞いてほしかったのかもしれない。なんだか、いつもより心が楽になった。今までずっと気づいていたことだった。だけど、自分のなかで隠して重りにしていた…。


「本当に、話を聞いてもらえてよかったんです。ずっと、誰に話せば良いのかって思ってて、自分自身にも隠していたことなので。ありがとうございました。」


「…!」


「次に、もしよければルシファー様のことも聞かせてください。今度は俺が聞く番です。」


「…シルヴィ……。」


「聞かせてください。あなたの痛みを。」


「…ああ。……ありがとう、シルヴィ。」


そのまま俺はルシファー様の話を聞くことにした。



外から入ってくる夕日が俺たちを優しく照らした。
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