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15.ビーチバレー大会
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夏の強い日差しが照りつける砂浜は、熱気に包まれていた。今日は、サークル恒例のビーチバレー大会の日。4人一組でエントリーし、俺と奈々はそれぞれ別のチームで砂の上を駆け回っていた。
奈々は大樹と、俺はユキと同じチームだった。
「タカ君と違うチームだねー。一緒がいいなと思ったけど、違うチームなら応援できるしじっくりプレー見れるから嬉しい!!」
「そうだね、俺これから試合だから行ってくるね」
楽しそうに笑いかけてくる奈々の頭をポンポンと撫で、コートへと向かった。
同じチームでも違ってもどちらも良い面をとらえて喜ぶ奈々が可愛かった。
☆
タカ君の試合は両者譲らず3セット目に突入していた。私と大樹君は別コートで2試合目に出る予定だが、そちらの1試合目はもうすぐ終わりそうだ。タカ君たちも気が付いたようで、ラリーが終わった時にお互い小さく手を振ってから移動した。
歩いていると向かい側から頭の高い位置に大きなお団子を結い、競技用のサングラスをかけている女性が手を大きく振っている。誰か知り合いを見つけたようで笑顔だ。
「大樹くん-!!!久しぶり!」
「あーーー!愛ちゃん!」
大樹も気が付き笑顔で駆け寄る。
「愛ちゃんも大会出ていたんだ?」
「そうそう、今もやってるよー大樹君もサークルメンバーと?」
二人は顔見知りのようでとても親しげに言葉を交わしている。他のメンバーも彼女を知っているようでみんなで談笑している。このサークルにいたのだろうか、他のメンバーの名前も次々と話題に出てきた。タカ君の名前も何度か出てきたので一緒にやっていたのだろう。
試合が終わり、休憩中のタカ君に声をかけた。
「そういえば、さっき大樹くんといる時に、愛さんって人に会ったんだけど、すごく仲良さそうに話していたよ。タカ君のことも名前が出ていたけど、知り合いなの?」
「……あ、ああ。このサークルにもいたんだよ。」
タカ君は、私の言葉に一瞬戸惑ったような表情を見せた。その返事は、どこか上の空で歯切れが悪く感じられた。
「なんかみんなとも仲良しだし、明るい感じの人だね!」
「……あ、ああ。そうだね。」
先程と同じように曖昧な返事をした。もしかしたら連戦で疲れているだけなのかもしれない。私はそう思い、それ以上深く追求することはなかった。
大会が終わり私たちは片づけを終え会場を後にしようとすると、また愛さんと出くわしたのだ。
「あ、孝志……」
愛さんの声は、さっき大樹くんと話していた時とは明らかにトーンが違っていた。少し落ち着いた声で先程の親しげな明るさは消え、どこか遠慮がちで少しだけ寂しそうな響きを含んでいた。
「あ、ああ」
タカ君の返事も、先ほどの私への返事以上に素っ気ないものだった。
「久しぶり!元気にしていた?」
それでも愛さんはすぐに、最初に会った時の表情に戻り少しだけ微笑んで話しかけた。
「あ、ああ。おかげさまで。そっちは?子どもいるんだっけ?」
「うん、もう3歳になるよ。」
愛さんは、笑顔で少しだけ俯いて答えた。
「そっか、大変だね、頑張って。じゃあまた。」
タカ君はそう言ってすぐに会話を終わらせようとした。
「うん、また」
愛さんも、それ以上引き止めることなく頷いた。
さっき大樹くんと話していた時の、明るく楽しそうな愛さんと、今の目の前にいるどこか影のある愛さん。そして、彼女に対するタカ君のあまりにもそっけない態度。
私の心には、小さな引っかかりのような漠然とした違和感が残った。二人の間に、何か特別な過去があったのではないか?そんな予感が胸の奥で静かに膨らみ始めていた。
奈々は大樹と、俺はユキと同じチームだった。
「タカ君と違うチームだねー。一緒がいいなと思ったけど、違うチームなら応援できるしじっくりプレー見れるから嬉しい!!」
「そうだね、俺これから試合だから行ってくるね」
楽しそうに笑いかけてくる奈々の頭をポンポンと撫で、コートへと向かった。
同じチームでも違ってもどちらも良い面をとらえて喜ぶ奈々が可愛かった。
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タカ君の試合は両者譲らず3セット目に突入していた。私と大樹君は別コートで2試合目に出る予定だが、そちらの1試合目はもうすぐ終わりそうだ。タカ君たちも気が付いたようで、ラリーが終わった時にお互い小さく手を振ってから移動した。
歩いていると向かい側から頭の高い位置に大きなお団子を結い、競技用のサングラスをかけている女性が手を大きく振っている。誰か知り合いを見つけたようで笑顔だ。
「大樹くん-!!!久しぶり!」
「あーーー!愛ちゃん!」
大樹も気が付き笑顔で駆け寄る。
「愛ちゃんも大会出ていたんだ?」
「そうそう、今もやってるよー大樹君もサークルメンバーと?」
二人は顔見知りのようでとても親しげに言葉を交わしている。他のメンバーも彼女を知っているようでみんなで談笑している。このサークルにいたのだろうか、他のメンバーの名前も次々と話題に出てきた。タカ君の名前も何度か出てきたので一緒にやっていたのだろう。
試合が終わり、休憩中のタカ君に声をかけた。
「そういえば、さっき大樹くんといる時に、愛さんって人に会ったんだけど、すごく仲良さそうに話していたよ。タカ君のことも名前が出ていたけど、知り合いなの?」
「……あ、ああ。このサークルにもいたんだよ。」
タカ君は、私の言葉に一瞬戸惑ったような表情を見せた。その返事は、どこか上の空で歯切れが悪く感じられた。
「なんかみんなとも仲良しだし、明るい感じの人だね!」
「……あ、ああ。そうだね。」
先程と同じように曖昧な返事をした。もしかしたら連戦で疲れているだけなのかもしれない。私はそう思い、それ以上深く追求することはなかった。
大会が終わり私たちは片づけを終え会場を後にしようとすると、また愛さんと出くわしたのだ。
「あ、孝志……」
愛さんの声は、さっき大樹くんと話していた時とは明らかにトーンが違っていた。少し落ち着いた声で先程の親しげな明るさは消え、どこか遠慮がちで少しだけ寂しそうな響きを含んでいた。
「あ、ああ」
タカ君の返事も、先ほどの私への返事以上に素っ気ないものだった。
「久しぶり!元気にしていた?」
それでも愛さんはすぐに、最初に会った時の表情に戻り少しだけ微笑んで話しかけた。
「あ、ああ。おかげさまで。そっちは?子どもいるんだっけ?」
「うん、もう3歳になるよ。」
愛さんは、笑顔で少しだけ俯いて答えた。
「そっか、大変だね、頑張って。じゃあまた。」
タカ君はそう言ってすぐに会話を終わらせようとした。
「うん、また」
愛さんも、それ以上引き止めることなく頷いた。
さっき大樹くんと話していた時の、明るく楽しそうな愛さんと、今の目の前にいるどこか影のある愛さん。そして、彼女に対するタカ君のあまりにもそっけない態度。
私の心には、小さな引っかかりのような漠然とした違和感が残った。二人の間に、何か特別な過去があったのではないか?そんな予感が胸の奥で静かに膨らみ始めていた。
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