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17.孝志の告白①
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「そう言えばこの前ビーチの時に、愛ちゃんに会ったけど孝志大丈夫だった?」
「奈々ちゃんは知っているの?」
サークルの練習日、みんながコートの準備をしている時に体育館の用具室で大樹たちが俺に話しかけてきたところ、奈々と鉢合わせた。
大樹君たちもすぐに奈々に気が付きバツの悪そうな顔をしている。『ごめん』というアイコンタクトと素振りをしてその場から離れていった。
「タカ君、詳細聞きたい」
無表情で抑揚のない声で奈々が一言呟いた。
「あ、うん。練習終わってからでいい?」
別にやましいことはないが、きっと色んな妄想をして誤解しているだろうなと思い少し気が重かった。
☆
練習前、用具室にアンテナを取りに行くと大樹君たちがいた。
「愛ちゃんに会ったけど孝志大丈夫だった?」「奈々ちゃんは知っているの?」何やら不穏な会話に私はその場で足を止めて立ち尽くした。
私が怒り気味で睨んで二人にしてほしいオーラを出していることに、大樹君たちはすぐに気が付きその場を去っていった。
詳細が聞きたいと言っても、動揺した素振りもなく淡々と話す素振りが気にくわなかった。
「あああーーー!もぉ!!」
練習中もバックアタックは上手く決まらず派手にアウトになる。プレーに集中できずイライラモヤモヤしていた。
(孝志、大丈夫って何?私に何を隠しているの!!!早く聞きたい)
私は怒りでメラメラと燃えていた。
練習終わり、いつもより乱暴にドアを閉めて助手席に乗り込む。タカ君は静かに見守り、シートベルトを付けたことを確認してから発信し始めた。
「ちゃんと話したいから、ちょっと寄り道していい?」
「うん、私もそうして欲しいと思っていた。」
いつもなら私が何かしら鼻歌を歌ったり、一方的に喋って騒がしい車内がこの日は静まり返っていた。沈黙が重かった。時折鳴る車のウインカーの音だけが響き渡る。
しばらくすると夏に砂浜を歩いたあの海辺に来た。駐車場に車を止めてエンジンを切りライトを消すと、静寂と暗闇の中に車も同化していった。あの日は初々しくて幸せそうな高校生のカップルを見てドキドキしたが、今は暗くこれからどんな話をされるのかと違うドキドキでいっぱいだった。
「あのさ、大樹たちが言ってたことなんだけれど奈々が思っているようなやましいことなんてないから」
「私が思っているようなやましいことって何?」
「隠れて愛と付き合っているとか、そういうこと」
「じゃ何を隠しているの?ビーチで会った時もなんか二人の雰囲気違ったよ」
「……前、付き合っていたんだよ」
なんとなく予想はしていた。あの大会の日、大樹君と会った時とは違う愛さんの声のトーンとタカ君の素っ気ない反応でこの二人の間に何かあった、もしかしたら付き合っていたのかもしれないと感じていた。
「そっか。そんな気はしていた。」
「そう。愛とはこのサークルで知り合って6年付き合っていたんだ。」
タカ君は運転席の窓枠に肘をつき、遠い目をして話を続けた。
「奈々ちゃんは知っているの?」
サークルの練習日、みんながコートの準備をしている時に体育館の用具室で大樹たちが俺に話しかけてきたところ、奈々と鉢合わせた。
大樹君たちもすぐに奈々に気が付きバツの悪そうな顔をしている。『ごめん』というアイコンタクトと素振りをしてその場から離れていった。
「タカ君、詳細聞きたい」
無表情で抑揚のない声で奈々が一言呟いた。
「あ、うん。練習終わってからでいい?」
別にやましいことはないが、きっと色んな妄想をして誤解しているだろうなと思い少し気が重かった。
☆
練習前、用具室にアンテナを取りに行くと大樹君たちがいた。
「愛ちゃんに会ったけど孝志大丈夫だった?」「奈々ちゃんは知っているの?」何やら不穏な会話に私はその場で足を止めて立ち尽くした。
私が怒り気味で睨んで二人にしてほしいオーラを出していることに、大樹君たちはすぐに気が付きその場を去っていった。
詳細が聞きたいと言っても、動揺した素振りもなく淡々と話す素振りが気にくわなかった。
「あああーーー!もぉ!!」
練習中もバックアタックは上手く決まらず派手にアウトになる。プレーに集中できずイライラモヤモヤしていた。
(孝志、大丈夫って何?私に何を隠しているの!!!早く聞きたい)
私は怒りでメラメラと燃えていた。
練習終わり、いつもより乱暴にドアを閉めて助手席に乗り込む。タカ君は静かに見守り、シートベルトを付けたことを確認してから発信し始めた。
「ちゃんと話したいから、ちょっと寄り道していい?」
「うん、私もそうして欲しいと思っていた。」
いつもなら私が何かしら鼻歌を歌ったり、一方的に喋って騒がしい車内がこの日は静まり返っていた。沈黙が重かった。時折鳴る車のウインカーの音だけが響き渡る。
しばらくすると夏に砂浜を歩いたあの海辺に来た。駐車場に車を止めてエンジンを切りライトを消すと、静寂と暗闇の中に車も同化していった。あの日は初々しくて幸せそうな高校生のカップルを見てドキドキしたが、今は暗くこれからどんな話をされるのかと違うドキドキでいっぱいだった。
「あのさ、大樹たちが言ってたことなんだけれど奈々が思っているようなやましいことなんてないから」
「私が思っているようなやましいことって何?」
「隠れて愛と付き合っているとか、そういうこと」
「じゃ何を隠しているの?ビーチで会った時もなんか二人の雰囲気違ったよ」
「……前、付き合っていたんだよ」
なんとなく予想はしていた。あの大会の日、大樹君と会った時とは違う愛さんの声のトーンとタカ君の素っ気ない反応でこの二人の間に何かあった、もしかしたら付き合っていたのかもしれないと感じていた。
「そっか。そんな気はしていた。」
「そう。愛とはこのサークルで知り合って6年付き合っていたんだ。」
タカ君は運転席の窓枠に肘をつき、遠い目をして話を続けた。
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