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第一話
しおりを挟む入学式に行く途中だった。目の前で車が通勤中だと思われる男に突っ込んだ。
もちろんその男をぼくは、知らないしこのさきもそれは、変わらないだろう。
「みどり、助けないのか?」
そう尋ねてきた少女の名前は、葛西天音。そしてみどりというのが、僕の名前で、苗字は、平岡だ。
「先生は、彼を助けることに入学式を放棄するだけのメリットがあると考えているのか?」
「いいえ、あなたがどう考えているのか知りたかっただけよ」
そう葛西天音は、僕の先生、正しくは、元家庭教師なのだ。じゃあ今は、どういうご関係なのかと問われれば、まずこれから僕の入学する学校と葛西天音という少女について説明しないとならない。
最初に、学校から話そう。十年くらい前からだろうか長年日本で、行われてきた政治改革が、急加速し日本の政治は、世界中から一目置かれるまでになった。良い政治には、良い政治の体制も必要だが、それと同等かそれ以上に、良い人材の存在が求められた。そこで国際連盟全面協力の下で出来たのが、「国連高校政治科」だ。
国連高校の授業の内容は、普通の高校とは、違い専門的な知識が多く必要になるので、政策秘書を雇える。政策秘書は、生徒一人にたいしひとりまで、国連が負担してくれることになっている。
つまり僕と葛西天音の関係に対する問の答えは、秘書とその雇い主だ。そして葛西天音という少女の年齢は、10才だ。どうしてそんな幼い子供がお前の家庭教師なんかやってんだよと思っただろう。その問いの答えは、簡単だ。彼女は、世界でも有名な神童でありもちろんそこら辺の教授よりも頭がいい。そして彼女は、好奇心が異常に強くいろんなことを経験したがる傾向があるので、家庭教師をしていたのも今回秘書をやりたがったのもそれのせいだろう。これがざっとした、彼女が僕の秘書になった経緯だろう。
「みどりあれが国連高校か?」
どうやらもうつきそうらしい。
「たぶんね」じつは、僕自身実際にくるのは、はじめてだ。パンフレットや事前に届いてた資料から、大体の大きさや場所は、わかっていたが、実際に来るとその規模のでかさに驚かずには、いられなかった。
「前通ってた大学の2,3倍は、あるな」天音は、虫が嫌いらしいので、その大学では、殺虫剤の研究をしていたらしい。その時の名残なのか、いつも腰に鉄砲型の殺虫スプレーぶら下げている。天音によれば、そのスプレーさえあれば、どんな虫もいちころなんだか。
「おいみーどーりなにぼーとっしているんだ!もうついたぞ」
「ごめんごめんちょっと考え事しててさ」「おいおいさっきのおじさん助けるよりも大事な入学式なんだろそんなにぼーっとするなよ」
「それもそうだな」
入学式は、学校の真ん中にある本堂と呼ばれる場所で行われる。本堂は、外も中も国会議事堂そっくりのつくりであった。
「先生、国会議事堂は、作るのに何年くらいかかったのか教えてくれ」
「たしか254万人が動いて20年くらいだ。ちなみに作られ始めた年は、1936年だ。」
天音が天才と呼ばれる要因の一つとして驚異的な記憶力があげられる。興味を持って読んだものは、大体記憶しているらしい。彼女が言うには、完全記憶能力とは、違いどうでもいいこと、興味ないことは、普通に忘れてしまうらしい。そしてこの議事堂にかかっただろう費用を背負うことになると考えると少し怖い
「相変わらずの知識量だな特に政治に関しては、新鮮だもんな」
彼女が、政治に興味を持ったのは、僕と会ってからだ。持ち前の記憶力とセンスで1か月もたたないうちに専門家と対談できるようになったのだとか。議事堂内に入ると学校側の人間に誘導されることになった。
どうやらもうクラスは、決まっているそうだ。連れていかれた場所は、この議事堂内で一番大きいであろう場所だった。そこには、僕と同じ制服に身を包んでいる人たちが明らかに4つに分かれていて座っていた。きっとクラス別に分かれているのだろう。外に他の生徒が見えなかったことからなんとなく予想は、していたが、僕が最後のようだ。そして、左から二番目のグループのところに座るよう言われた。グループの中なら座る場所は、どこでもいいようだ。とりあえず空席だった一番後ろの席に座る。
小学生を連れている僕は、みんなからの視線を集めることになった。それから間もなくして校長が話を始める。つまらない説教話は、ほとんどなく学校についての説明がほとんどだった。話の内容は、大きく分けて3つあり1つ目は、クラスについてだった。国連高校ではクラスを党と呼び、各学年A党からd党までの4党ずつが存在している。
「みどり私たちは、b党だな」
そう、天音が言う通り僕の所属は、b党だ。クラスに大きい意味があるのかといわれればまだよくはわからないが自分が評価される一つの大きな場であることは、確かなようだ。そして2つ目の話は、政策秘書についてだった。政策秘書を選ぶ時誰でもいいというわけでは、ないようだ。そもそも政策秘書になるためには、学校主催の特別政策担当秘書適性試験を合格している必要があるため、選べる人物が限られてくる。そのため、僕のように事前に秘書が決まっている人は、ほとんどいないようだ。だが、学校側が取り計らってくれるそうなので、あまり問題は、なさそうだ。3つ目の話は、配布物についてだった。国連高校で、学生証の代わりに渡されたのは、スマートフォンと名刺だった。また秘書にも配られたのだが、スマホが配られた
理由は、校長が公言しておりハッキング防止だそうだ。国連高校は、不正を許さないよう、学校中に監視カメラを張りめぐらせるほど不正防止に徹底しているらしい。しかし持参したスマホなどを使うことは、特に禁止されてはない。それは、ハッキングされても自己責任でということだろう。
入学式が終わると各講義室へ移動することになったので、しびれた足に鞭を打ち立ち上がった。
入学初日の行事が全て終わったので、家から送っておいた荷物が届いているのか確認しに自分の部屋に行くことにした。
「ちょっと自分の部屋に行きたい。先生は、ついてくるか?」
「そこに、私の分の荷物も纏めて届いているのだろ。ならいくさ」
僕の部屋と天音の部屋は、隣同士だった。「はい、これが先生の分。意外と多いな」「まあな色々研究中の者があってな」
「良かったら運ぶのを手伝うか?」
「ああ、頼む」
段ボール箱3つを縦積みにして隣の部屋まで運ぶのは、そこそこの労力を使った。天音は、さっそく段ボールを開けだした。中からは、対虫用の化学兵器がたくさん出てきた。「そんなもの使ったら先生までしにますよ」「大丈夫それで虫が死ぬなら本望さ」
天音の脳には、多額の保険金がかかっているので、あまり笑えない話だ。
「じゃあ、私は、部屋に色々仕掛けるものがあるのでな。わざわざありがとうな」
僕は、自分の部屋に戻って、片付けを始めたが、もともと荷物が少なかったので三十分もたたないうちに終わってしまった。
国連高校の朝は、特段早いわけではないようだ。朝7時に起き朝食をとって制服に着替える。
「みどりー起きろ!」
ドア越しに聞こえる天音の声。
「もう起きているから」
ドアを開けると天音が立っておりおそいおそいと軽く叱咤される。そこから10分ほどかけて、講義室へついた。b党は、全6人の男3人女3人で構成されている。もうすでに5人いたところを見るとまたもや僕が最後だったらしい。
「みなさんおはようございます。私がb党専属案内役を担当している張間修造だ。」
いきなりの登場にクラスの人たちは、困惑している様子だった。
「突然だがお前たちの実力を図りたい。そこでA党と討論してもらうことにした。準備期間は、三日間詳しい資料は、お前らのスマホに今送るでは、せいぜい頑張りな」
そう言うと張間は、講義室を出ていった。そして携帯に通知が来る。第一回クラス対抗ディベート詳細。
「みんな聞いてくれ、俺たちは、今回の課題では、チームだ。まず協力しよう」
「それもそうだな、まず自己紹介でもしようじゃないか。俺の名前は、北瀬昂輝だ。」
北瀬は、眼鏡をかけておりいかにも真面目な感じだった。そのあとも続きついに僕の番になった。
「僕の名前は、平岡 みどりまずは、情報を整理したほうがいいと思う」
「そうだね。ちょうどホワイトボードもあるし情報を纏めることから始めよう」
「ディベートね、要するに討論ってことだろ、論題が何かだよな」
「論題は、日本は、死刑制度を廃止するべきである是か非かで、俺らの党は、否定か」
死刑制度については、俺も思うところは、あるが今回のディベートで学校側が見るのは、たぶんあれだろう。
「とりあえず今日は、資料を読み漁るってことで」今日の作業が決まったようだ。
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