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第2章:生い立ち編1~訓練施設インシデント~
第23話 インシデント19:想定外の初陣
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ヒュンッ!!!
グザッッ!!
「うぎゃぁぁぁぁーーーー」
バルドの声が森に響いた瞬間、3人目の刺客の右目を矢が貫いた。
「ぐおぉぉぉぉーーーー」
ドサリッッ!
目を矢で貫かれた刺客が矢じりを掴み前方へ倒れ込む。
ザッザザッ!
グッ!グズリッ!!
ヒュッ!
「ぐふぅっっ!!」
短剣が刺客の顎下から後頭部へ突き刺さった。剣先が後頭部から顔を覗かせる。
ガクッ!
ドサリッッ!
刺客は両膝を地面につけるとそのまま前方へ倒れ、ピクピクと全身を痙攣させていた。
ガサッッ!
「安心いたせ・・・・直ぐに楽にしてやるっ!」
ザッサッ!
グッグザッ!!
腹ばいに倒れ痙攣している刺客の両肩にまたがり、左右から首に短剣を突き立て切り裂く。
ブシュゥーーーー!
切り裂いた首から血しぶきが上がる。セルジオだった。木の上に退避してすぐにエリオスに指令を下していた。
「エリオス、いくらバルドとオスカーといえども
手練れの刺客3人に2人では部が悪い。
まして、我らがいては戦闘に集中できまい。
刺客の1人は我らへ向かってくるはずだ。
エリオスは私が合図をしたら刺客の右目目掛けて矢を射よ。
その間に私は短剣で喉を裂く!
エリオスの短剣を1口私に預けてくれっ!」
エリオスは「ぎょっ」とした。まさか、自ら戦闘に加わるとは思いもよらず、どこかで誰かが助けにくると思っていたからだ。
ここはエステール伯爵家領内である。他家の者がしかも刺客が入り込んでいるとは露ほども思っていなかった。
しかし、セルジオは違った。自分より2歳年下のまだ4歳手前である。にもかかわらず、目の前に起きている事象に今、何が必要で自ら戦闘に加わる事を前提としていた。
「・・・・」
エリオスは返事に窮する。
「エリオス!怖気づいたかっ!
今、戦わずして我らのこの先はないっ!
そなたの力を貸してくれっっ!そなたの力が必要なのだっっっ!!」
ブッブワワッ・・・・
セルジオは『青白き炎』を湧き立たせていた。
「セルジオ様・・・・」
エリオスがここまで激しく湧き立つ『青白き炎』を目にしたのは2回目だった。
普段の訓練ではうっすらと炎の輪郭が見える程度であった。
セルジオの全身から湧き立つ『青白き炎』を見たのは3年前の大ネズミ襲撃の時。返り血を浴び血にまみれたセルジオの顔を布で拭った時だった。
エリオスはセルジオをまじまじと見つめ過去を思い返す。
「エリオスっ!頼むっっ!
バルドとオスカーと我ら2人と生きて、
生き延びて、私は騎士となりたいのだっっ!」
セルジオの『青白き炎』は勢いを増した。エリオスは我に返る。
「はっっっ!セルジオ様!承知致しました。
合図を私に!合図をお出しください!」
エリオスはセルジオに指示を仰いた。
「感謝申す!エリオス!
そなたは矢を射ったのち、この場に留まれ!必ず!留まるのだぞ!」
セルジオはエリオスが木の上に留まる事に念を押した。
「承知致しました。
セルジオ様の動きに合わせ矢を放てる様でしたら合図をお示し下さいっっ!」
エリオスは力強く答える。
「わかった。そなたの名前を呼ぶ。合図はそなたの名前だ。エリオス」
ザッザッザッ・・・・
ザッザッザッ・・・・
3人目の刺客が近づき、木の上のセルジオとエリオスへ目を向けた。
「エリオス!今だ!射ぇぇ!」
ヒュンッ!!!
グザッッ!!
エリオスは刺客の右目に向けて矢を射る。見事命中した。
エリオスが今しがた起きた事に木の上で呆然としていると刺客の首を裂いたセルジオの姿がない。言われた通り、そのまま木の上に留まり辺りを見回す。
ザッザザザッ!!
トッスタッスタッ!!
フワッ・・・・
グッグズリッ!!
ブバッ!!!
セルジオはオスカーの背を駆け上っていた。両手に持った短剣を胸の前で交差し、オスカーの肩を踏み台にすると応戦している刺客目掛けて宙を舞った。刺客の両目にセルジオの短剣が突き刺さる。
「ガハッ!!」
ブッ!
ドサリッッ!
スタンッ!!
「オスカーとどめを!首を落としてやってくれ!」
ドタッ・・・・
ゴロッゴロッゴロッ・・・・
スタンッ!
両目にさした短剣をそのままに刺客の後方へ転がり落ちる。
スクッ!
タッタタッ・・・・
シャッ!シャキンッ!
すぐさま体勢を立て直し、仰向けに倒れている刺客の腰の短剣を抜き取るとバルドの方へ走り出した。
オスカーは自らの身体がセルジオの言葉通りに動く感覚を覚える。
ザッザッザッ・・・・
シャキンッ・・・・
ブシャッ!
刺客の手からこぼれた剣で首を落とす。騎士団を退団して7年ぶりに人の首を落とした。
ザッザザッ!
タタッダッタタタッダッ!!
ザッザザザァァァァ・・・・
「バルド!下からいくぞ!」
セルジオは刺客の腰から抜いた短剣を手にバルドの股の下へ滑り込み、刺客の左右足首の腱を切った。刺客は立っていられず膝を折る。
「ぐぅっ!」
ガクンッ・・・・
ドサリッ!
ザッザザザァァァァ
ブワッ!
ブシュゥゥゥゥ・・・・
ブラッブラリッ・・・・
バルドは両手の短剣で左右から刺客の首を突き刺し交差した。首は後方に折れ皮一枚でぶら下がる。
ドッドサッ!
ぶら下がった首と共に身体も後ろへ倒れた。倒れた刺客の先に息を切らしたセルジオが立っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・
バルド・・・・よかった・・はぁ、はぁ・・
今・・度は・・・誰も死なずにすん・・・だ・な・・」
ドサッ!
いい終わらぬ内にセルジオはその場に倒れた。
「セルジオ様っっっ!!」
バルドが駆け寄りセルジオを抱きかかえる。セルジオは気を失っていた。
グザッッ!!
「うぎゃぁぁぁぁーーーー」
バルドの声が森に響いた瞬間、3人目の刺客の右目を矢が貫いた。
「ぐおぉぉぉぉーーーー」
ドサリッッ!
目を矢で貫かれた刺客が矢じりを掴み前方へ倒れ込む。
ザッザザッ!
グッ!グズリッ!!
ヒュッ!
「ぐふぅっっ!!」
短剣が刺客の顎下から後頭部へ突き刺さった。剣先が後頭部から顔を覗かせる。
ガクッ!
ドサリッッ!
刺客は両膝を地面につけるとそのまま前方へ倒れ、ピクピクと全身を痙攣させていた。
ガサッッ!
「安心いたせ・・・・直ぐに楽にしてやるっ!」
ザッサッ!
グッグザッ!!
腹ばいに倒れ痙攣している刺客の両肩にまたがり、左右から首に短剣を突き立て切り裂く。
ブシュゥーーーー!
切り裂いた首から血しぶきが上がる。セルジオだった。木の上に退避してすぐにエリオスに指令を下していた。
「エリオス、いくらバルドとオスカーといえども
手練れの刺客3人に2人では部が悪い。
まして、我らがいては戦闘に集中できまい。
刺客の1人は我らへ向かってくるはずだ。
エリオスは私が合図をしたら刺客の右目目掛けて矢を射よ。
その間に私は短剣で喉を裂く!
エリオスの短剣を1口私に預けてくれっ!」
エリオスは「ぎょっ」とした。まさか、自ら戦闘に加わるとは思いもよらず、どこかで誰かが助けにくると思っていたからだ。
ここはエステール伯爵家領内である。他家の者がしかも刺客が入り込んでいるとは露ほども思っていなかった。
しかし、セルジオは違った。自分より2歳年下のまだ4歳手前である。にもかかわらず、目の前に起きている事象に今、何が必要で自ら戦闘に加わる事を前提としていた。
「・・・・」
エリオスは返事に窮する。
「エリオス!怖気づいたかっ!
今、戦わずして我らのこの先はないっ!
そなたの力を貸してくれっっ!そなたの力が必要なのだっっっ!!」
ブッブワワッ・・・・
セルジオは『青白き炎』を湧き立たせていた。
「セルジオ様・・・・」
エリオスがここまで激しく湧き立つ『青白き炎』を目にしたのは2回目だった。
普段の訓練ではうっすらと炎の輪郭が見える程度であった。
セルジオの全身から湧き立つ『青白き炎』を見たのは3年前の大ネズミ襲撃の時。返り血を浴び血にまみれたセルジオの顔を布で拭った時だった。
エリオスはセルジオをまじまじと見つめ過去を思い返す。
「エリオスっ!頼むっっ!
バルドとオスカーと我ら2人と生きて、
生き延びて、私は騎士となりたいのだっっ!」
セルジオの『青白き炎』は勢いを増した。エリオスは我に返る。
「はっっっ!セルジオ様!承知致しました。
合図を私に!合図をお出しください!」
エリオスはセルジオに指示を仰いた。
「感謝申す!エリオス!
そなたは矢を射ったのち、この場に留まれ!必ず!留まるのだぞ!」
セルジオはエリオスが木の上に留まる事に念を押した。
「承知致しました。
セルジオ様の動きに合わせ矢を放てる様でしたら合図をお示し下さいっっ!」
エリオスは力強く答える。
「わかった。そなたの名前を呼ぶ。合図はそなたの名前だ。エリオス」
ザッザッザッ・・・・
ザッザッザッ・・・・
3人目の刺客が近づき、木の上のセルジオとエリオスへ目を向けた。
「エリオス!今だ!射ぇぇ!」
ヒュンッ!!!
グザッッ!!
エリオスは刺客の右目に向けて矢を射る。見事命中した。
エリオスが今しがた起きた事に木の上で呆然としていると刺客の首を裂いたセルジオの姿がない。言われた通り、そのまま木の上に留まり辺りを見回す。
ザッザザザッ!!
トッスタッスタッ!!
フワッ・・・・
グッグズリッ!!
ブバッ!!!
セルジオはオスカーの背を駆け上っていた。両手に持った短剣を胸の前で交差し、オスカーの肩を踏み台にすると応戦している刺客目掛けて宙を舞った。刺客の両目にセルジオの短剣が突き刺さる。
「ガハッ!!」
ブッ!
ドサリッッ!
スタンッ!!
「オスカーとどめを!首を落としてやってくれ!」
ドタッ・・・・
ゴロッゴロッゴロッ・・・・
スタンッ!
両目にさした短剣をそのままに刺客の後方へ転がり落ちる。
スクッ!
タッタタッ・・・・
シャッ!シャキンッ!
すぐさま体勢を立て直し、仰向けに倒れている刺客の腰の短剣を抜き取るとバルドの方へ走り出した。
オスカーは自らの身体がセルジオの言葉通りに動く感覚を覚える。
ザッザッザッ・・・・
シャキンッ・・・・
ブシャッ!
刺客の手からこぼれた剣で首を落とす。騎士団を退団して7年ぶりに人の首を落とした。
ザッザザッ!
タタッダッタタタッダッ!!
ザッザザザァァァァ・・・・
「バルド!下からいくぞ!」
セルジオは刺客の腰から抜いた短剣を手にバルドの股の下へ滑り込み、刺客の左右足首の腱を切った。刺客は立っていられず膝を折る。
「ぐぅっ!」
ガクンッ・・・・
ドサリッ!
ザッザザザァァァァ
ブワッ!
ブシュゥゥゥゥ・・・・
ブラッブラリッ・・・・
バルドは両手の短剣で左右から刺客の首を突き刺し交差した。首は後方に折れ皮一枚でぶら下がる。
ドッドサッ!
ぶら下がった首と共に身体も後ろへ倒れた。倒れた刺客の先に息を切らしたセルジオが立っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・
バルド・・・・よかった・・はぁ、はぁ・・
今・・度は・・・誰も死なずにすん・・・だ・な・・」
ドサッ!
いい終わらぬ内にセルジオはその場に倒れた。
「セルジオ様っっっ!!」
バルドが駆け寄りセルジオを抱きかかえる。セルジオは気を失っていた。
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