とある騎士の遠い記憶

春華(syunka)

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第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~

第6話 旅の心得

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パカッパカッパカッ・・・
パカッパカッパカッ・・・

バルドがたずなを握る馬にゆられ、セルジオはエステール伯爵領内を北へ向け進んでいた。後ろからオスカーがたずなを握る馬に乗るエリオスが続く。

王都城壁の訓練施設、セルジオ騎士団城塞西の屋敷、そしてサフェス湖湖畔の3か所だけがセルジオとエリオス知るエステール伯爵領だった。

セルジオ騎士団城塞、西の屋敷東門から出て北へのびる丘陵きゅうりょうを越えると街道の両側は牧草地が広がっていた。

さえぎるものが何もない牧草地はシュタイン王国北方に連なるリビアン山から少し冷たい風が吹き抜ける。

「バルド!広い土地があるのだな!
天と地が交わっているように見える」

セルジオはくるりと首を後ろへ向けるとバルドへ見たままの様子を伝えた。

「この牧草地はスピネル准男爵家の管理地となります。
訓練施設にてご一緒のユリウス様のご実家でございます。
羊、山羊、鶏、豚等の畜産ちくさんを管理しております」

「そうなのか!羊等の姿が見えないが・・・」

セルジオは馬上で首を伸ばし遠くを見る。

「セルジオ様、残念ですが街道の近くにはおりません。
エステール領内は各貴族騎士団巡回の最終地点にて、
じっくりご覧頂けますのは来年の今頃にございます。
それまでの楽しみと思うて下さい」

バルドはセルジオをたしなめる。

「承知した。羊の毛刈りを見てみたいと思っていたのだ」

フリードリヒに会って以来、セルジオはバルドに自身が考えていること、思っていることを率直に口に出す様になっていた。

「左様にございましたか。羊の毛刈りは初夏にございます。
エステール領内での見聞には間に合いませんが、
コンクシェル伯爵領での毛刈りには間に合いますね。
様子をみまして毛刈りをご覧頂ける様に手配しておきます」

バルドはセルジオが言葉にした内容の道筋みちすじを伝えるようにしていた。

「そうか。バルド、感謝申す。楽しみにいているぞ」

セルジオはバルドへ礼を言うと再び前方を向いた。

「セルジオ様、この先に果樹園が見えてまいります。
フリードリヒ様侍従のウーリ殿のご実家
セスタイト准男爵家が管理しております。
しかし、昼前にエステール領を抜け、
北門よりラドフォール公爵家領へ向かいませんと
日没までにラドフォール騎士団城塞に到着できません。
そろそろ、馬を走らせます」

バルドは後方で馬にまたがるエリオスとオスカーへ声を掛けた。

「エリオス様、オスカー殿、そろそろ、馬を走らせます。
ご準備下さい」

オスカーが馬上より呼応する。

「承知しました。バルド殿の後に続きます」

オスカーの返答を聞くとバルドはセルジオの身体と結んだ革のベルトを確認する。馬を走らせセルジオが落馬しない様に自身の身体と革のベルトで繋いでいたのだ。

カチャッ・・・・

「セルジオ様、ベルトがきつくございませんか?」

「大事ない・・・・ベルトは大事ないのだが・・・・」

セルジオは口ごもる。

「どうなさいましたか?どこぞ、痛みますか?」

「いや、痛みはしないが・・・・
バルド、少し寒いのだ。風が冷たく、寒い」

「これは!気付きませず失礼を致しました」

カチャッ!

バルドは一旦、馬をとめるとセルジオと結んでいるベルトを外した。

「オスカー殿、リビアン山からの風が少し冷たく感じます。
セルジオ様とエリオス様へ防寒着ぼうかんぎを着けて頂きます」

「どう、どう・・・・」

ブルルゥゥゥ
ストンッ!

バルトはセルジオを抱え、馬から降りた。

ブルルルル・・・・
ストンッ!

オスカーも馬から降りるとエリオスを降ろす。

「左様にございますね。少々冷えてまいりました。
ラドフォール領に入れば更に冷えてまいります。
今の内に我らも防寒着ぼうかんぎを着けておきましょう」

2人は馬の両脇に下げている麻袋からローブを出すとセルジオ騎士団のマントを外す。

カチッ!
フサッ!

「セルジオ様、マントの下にこちらのローブをお着け下さい。
その上にマントを纏いますと風がしのげます」

バルドは自身の動作をセルジオに見せ、セルジオ自身に着衣を整えさせた。

バルドは各貴族騎士団を巡回する役目が決まってからそれまで以上にセルジオが自身のことは自身でまかなえるように接していたのだ。

カチャリッ・・・・
バサバサッ・・・・

セルジオはバルドの動作を見ながら自身でマントを外すとローブを頭からかぶった。


フワッ・・・・
ファサッ!

バルドはローブの上からマントをひるがし、身にまとう。

バサバサッ・・・・

セルジオも同じ様にひるがえそうとするがマントの重みでバルドの様にはいかない。

「・・・・バルドのように・・・・
何と言うか、騎士の様子のようにできぬ・・・・」

エリオスを見ると既にローブもマントも身に纏い、馬上でオスカーと革のベルトの繋ぎに取掛っていた。

「バルド、マントを羽織はおらせてくれぬか?」

セルジオがバルドへマントを手渡そうとするとバルドは首を横に振った。

「いいえ、セルジオ様。
マントは騎士の身体の一部にございます。
ご自身で身にまとうのです。
今は、纏う様子が思う通りでなくともよいではありませんか。
今、我らの第一に行うことは何でございますか?」

バルドはセルジオに判断させる訓練を徹底していた。

「・・・・」

セルジオが返答を考える一瞬の沈黙があった。

シャッ!
コツンッ!

セルジオの喉に短剣の柄が当てられた。

「遅い!!セルジオ様、お命落されましたぞ!」

「・・・・」

セルジオが唖然あぜんとした顔を向ける。

カチャンッ!

バルドは短剣をさやに収めると膝を折り、セルジオの目線に合わせ肩に手を置いた。

「セルジオ様、
ここは訓練施設でもセルジオ騎士団城塞、西の屋敷でもございません。
施設内や城塞内は安全な場所です。
屋外おくがい、まして街道はどこから野盗に襲われるかわかりません」

「エステール領内は確かに安全です。
セルジオ騎士団の騎士と従士が民を守っているため、野盗もおりません」

「されど、他貴族の所領は違います。
野盗もいればオオカミや熊もおります。
森深くには人ならざるものの精霊や妖精、妖魔や闇の者もいると聞きます」

「このように身を隠す場所がない街道は特に注意が必要です。
そのためにはその行いは何のためにしているのかを考えることです。
そして、その考えは常に頭の中を駆け巡らなくてはなりません」

「一瞬の間が命取りとなります。
考えている内に身体が動くことが肝要です。
どのように綿密に準備をしようと
予測は裏切ることがあると認識なさいませ。よろしいですか?」

セルジオはじっとバルドの深い紫色の眼を見つめ聴いていた。

「わかった!
我らが今、第一に行うことは昼までにエステール領北門を抜けることだ。
だから馬を走らせねば間に合わぬ。
マントを纏う様子などに気を取られる愚かなことを
捨て去り早くマントを纏えだな!」

セルジオはマントのひもの両端を左右の手に持つと背負うようにマントを纏った。

「待たせ悪かった」

セルジオはバルドへ頭を下げると馬上で準備万端整えているエリオスとオスカーへも詫びる。

「エリオス、オスカー、待たせ悪かった」

バルドはセルジオを抱き上げると馬に乗せる。
自身も馬にまたがるとセルジオと自身の身体に革のベルトを装着した。

カチャリッ!

「セルジオ様、ベルトはきつくございませんか?」

確認する。

「大事ない!」

セルジオの返答を待つと幉をさばき後ろへ声をかける。

「エリオス様、オスカー殿、
エステール北の森入口まで走ります!ご同道を!」

「承知しました」

オスカーが呼応する。

「セルジオ様、上下の歯を噛みしめて下さいませ。
緩みがありますと舌をかみます。
両手はくらの取っ手を握って下さい。訓練の通りでございます」

「承知した。大事ない!」

ギュッ!

セルジオは両手で鞍の取っ手を強く握った。
早がけの馬に跨る訓練でつくった手のまめがかすかに痛む。

「では、北門まで走ります。ハァッ!」

ヒィヒィィン!!!
ドッ!
パカラッ!パカラッ!

バルドは馬を走らせた。

「ハァッ!」

後ろからオスカーの声が聞えた。

ヒィヒィィン!!!
ドッ!
パカラッ!パカラッ!

セルジオとエリオスの肩までのびた金色の髪は早がけの邪魔になるからとベアトレスが出立前に後ろで一つに束ねていた。

セルジオは感じたことのない振動しんどうと風が耳を通り抜ける音を聴いていた。

パカラッパカラッパカラッ・・・・
ビュオォォォォ・・・・・

『馬のひづめの音が小さく聞こえる。
風の音とはこんなにも大きいものなのか。
エリオスにも聞こえているのだろうか?・・・・目が開けていられぬ』

馬が速さを増すにつれて風が目に入り、目を開けていられなくなる。セルジオはそれでも流れていく景色が見たいと思い、目を細めた。

パカラッパカラッパカラッ・・・・・
パカッパカッパカッ・・・・
パカッパカッパカッ・・・・

小一時間程走るとバルドは徐々に速度を落とし、馬を歩かせた。

セルジオは馬が速度を落としだした所で、鞍の取っ手を握る手をゆるめる。振動でじんじんと感覚がなくなっているもののひりひりとした痛みを感じていた。

バルドに気付かれないようにそっとてのひらを見る。てのひらのまめは血まめになり、その血まめはつぶれていた。鞍の取っ手を見ると握っていた箇所かしょに血が付いている。

セルジオは身体を少し前へ倒し、ローブで取っ手の血を拭った。

『バルドに気付かれては心配をかけるからな』

何事もなかった素振りで前方へ目をやる。
街道は森の中へと続いていた。

「セルジオ様、手のまめがつぶれましたか?」

バルドが頭の上から声をかける。

ピクリッ!

セルジオは首を後ろへ回し、バルドの顔を見た。
バルドはセルジオの行動が全て見えていたと言わんばかりに愛おしそうな微笑みを浮かべていた。

「・・・・バルド、見ていたのか?」

バルドはふっと優しく微笑み呼応する。

「セルジオ様、見て・・いたのか?ではなく、
見えて・・・いたのです。血の臭いもあります。
私はセルジオ様の風下かざしもにおります。
戦場では風上かざかみにいることが不利ふりになることもございます」

「血の臭い、血香けっかは戦う者の本能をさぶり
奮い立たせることもございます。
傷を負った折りは風下かざしもへ身を置くことが肝要かんようです」

バルドはそう言うと後ろからつき随うオスカーへ声をかける。

「オスカー殿、
北の森へ入る前に休憩きゅうけいと致しましょう。
エリオス様のてのひらのまめは大事ございませんか?」


バルドは馬をとめ、セルジオと結んでいる革のベルトを外す。

「バルド殿、
エリオス様もまめをつぶしておいでです。休憩と手当と致しましょう」

オスカーも馬をとめると革ベルトを外し、ひらりと馬から降りた。

「エリオス様、さっ、お手を」

ズッズリリッ!ドサァッ!

エリオスは馬上から転げ落ちる様に手を差し出したオスカー目掛けて下りた。

「!!すまぬ!オスカー。
足が・・・・思う様に動かぬ・・・・」

エリオスを抱きかかえるオスカーへ呟く。

「これだけの時間の早がけは初めてにて、皆がその様になります。
ご案じなさいますな。さっ、エリオス様、
掌の治療ちりょうを致しましょう。
森には血香けっかに敏感な動物があまたおります。
水で洗い流し、血香けっかを取り除きます」

オスカーは麻袋から皮革ひかくの水筒を取り出すとエリオスの掌を水で洗い流す。

ポルデュラから手渡された深緑色の小袋を開いた。二枚貝の入れ物に入ったポルデュラ特製の傷薬をエリオスの両掌に塗る。

「!!つっっ!!」

傷薬がしみるのかエリオスが顔をゆがめる。オスカーはかまわず白い布をあてると包帯で傷口をおおった。

「エリオス様、よう堪えられましたね。
ここまでまめがつぶれていますとポルデュラ様特製の傷薬は
かなり痛みを伴うはずです。お強くなられましたね」

オスカーは優しい微笑みをエリオスへ向ける。

「オスカー、感謝申す。
そうなのか・・・・どおりでヒリヒリと痛むはずだな」

エリオスはふふふと笑った。

セルジオは自身もバルドに手当をしてもらいながらエリオスの様子を見ていた。同じ様にまめがつぶれているはずなのにそれほど痛みは感じない。

バルドが手当てする自身の手元をみる。

「・・・・バルド・・・・」

じっとバルドの手元を見る。

「セルジオ様?どうなさいましたか?痛みますか?」

バルドはセルジオの顔を覗く。

「・・・・いや・・・・そうではなく・・・・
それほど痛みがないのだ・・・・私は・・・・」

正直に自身の状態を話す。

「セルジオ様、感じ方は人それぞれにございます。
同じ様に見えていても同じ痛み、同じ想い、同じ行動とはなりません」

「されば規律きりつが必要となります。
セルジオ様はフリードリヒ様にお会いになられてから
ご自身と他者の感覚を比較ひかくすることを学ばれました。
今はそのことだけで充分にございます」

「さっ、セルジオ様の治療ちりょうも終わりました。
しばし休憩といたしましょう。パンと干し肉がございます。
召し上がりますか?」

バルドは麻袋からパンと干し肉を取り出すとエリオスとオスカーへも渡した。

「いや、パンだけでいい。
干し肉は・・・・遠慮えんりょする」

セルジオはパンだけ受け取ると皮革の水筒から木のコップに白い葡萄ぶどうの果汁を注ぐ。

「ゴクッ!ゴクッ!」

のどを鳴らし、一気に飲み干す。

「バルド!
オットーが持たせてくれた葡萄の果汁は美味しいな。
身体に力が蘇ってくる」

パンを一つまみすると口に入れる箇所を確認する。

「葡萄の果汁とパンの組合せは美味しい。
干し肉は・・・・少し臭いがあるからな・・・・」

いい訳のようにポツリと呟き、パンを口へ運ぶ。

「セルジオ様、エリオス様と同じ様に多くのものを
沢山お召し上がりになれるとよいですね。
干し肉はセルジオ様のお身体の肉そのもととなります。
多少、臭いがあっても、臭いがお気に召さなくとも
食する事で骨も肉も厚く、強くなります。
これよりの旅で食することができるように訓練致しましょう」

バルドは食の細いセルジオが1年の長旅で体調を崩さないか案じていた。

「そうか!骨も肉も厚く、強くなるのか!
ならば食するほかあるまいな!」

エリオスがパンに干し肉を挟みセルジオに差し出す。

「セルジオ様、
この様に挟んで食しますと干し肉の臭いは少なくなります。
ライ麦の香が勝っておりますから食してみて下さいませ」

「そうか!感謝申すぞ、エリオス」

セルジオは前歯の先でエリオスが差し出した干し肉が挟まれたパンを少しだけかじってみる。

エリオスの言う通り、ライ麦の香が干し肉の香を軽減させていた。

「!!エリオス!
本当にライ麦の香りの方が強く感じるぞ。これならば食せそうだ!」

バルドとオスカーは2人のやり取りを微笑み見つめていた。

ピキィィィィン・・・・

北の森の奥からの強い視線がバルドの背中を突き刺している。
バルドは背中の視線を受け止めながらセルジオとエリオスへの危険がないかを感じ取るのだった。
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