こんなてんきには

もとひろ@絵本作家/エッセイスト

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こんなてんきには

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「いいてんきだな」


うさぎは ぼんやりと まどのそとを ながめます


そらは あおく あおく はれています




「こんなてんきには くろねこさんと どこかへ おでかけしたいな」


うさぎは そっと めを とじました




「もりのなかを ゆっくり さんぽしたいな」


うさぎは くろねこさんのとなりを とことこ あるきます


きのあいだから やわらかいひかりが さしこんでいます




『うみを ふたりで ながめていたいな』


どこまでも つづく あおいうみ


よせては かえす なみを うさぎと くろねこさんは じっとみています




「かわで おさかなを みたいな」


かわのなかで じゆうに およぎまわる さかなたちを たのしそうにみています


きらきら かがやく みずのなかを さかなたちは きもちよさそうに およいでいます




「おはなばたけで くろねこさんと あそびたいな」


たくさんの おはなに かこまれている ふたり


いろとりどりの おはなたちは うれしそうに かぜに ふかれています




「くろねこさんに あいにいこう」


うさぎは そっと めを あけました


すると


とんとんとん


ドアを たたくおとが します





うさぎが ドアを あけると そこには くろねこさんが たっていました


「てんきが いいから どこかへ おでかけしましょう」




うさぎは おどろいて めを ぱっちり


でも すぐに にっこり わらって


「もちろん」


と いいました





「そんなに おどろいて どうかしたの?」


くろねこさんは くびを かしげました


「くろねこさんと おでかけしたいって ぼくも おもってたんだ」


うさぎは うれしそうに いいました





「そう」


くろねこさんも ほほえみました




あおい あおい そらのした


ふたりは ゆっくりゆっくり あるいていきました


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