25 / 85
第二章 社長のための期間限定パートナー
24.疲れたときにはやっぱり甘いもの
しおりを挟む
社長のご家族との食事会の日取りが決まってから、私も慌ただしく動いていた。
氷室さんにも引き続き色々教えてもらったおかげで、少しずつ身に付いてきている気がする。
今日は氷室さんが別件でどうしても外せない用事があって休暇を取っているので、代わりのボディーガードの人と一緒に社長とお得意様のところに出向いて直接会議をしてきた……んだけど。
会社を出てから何か社長の様子がいつもと違うというか。
この後の予定は帰社して、パソコンで支社の人たちとオンライン会議。
赤い手帳を取り出してもう一度確認するけど、やっぱり合ってる。
「社長? お加減が優れないんですか?」
「え? あぁ……大丈夫。いやぁ、昨日お気に入りの子とずっと電話してたから。睡眠時間が少なかったのかも」
「はあ。それならいいんですが」
話していると車は自社の前で止まる。
ボディーガードの人が降りて、運転手が降りて社長のドアを開ける。
私も自分でドアを開けて社長に続く。
「では、行きましょう」
「あともうひと仕事、頑張るかー」
へらっと笑う感じはいつもの社長なんだけど……。
違和感を感じたまま、社長室へと急ぐ。
+++
オンライン会議も無事終わって、やっと就業時間が終わる頃――
受け答えもいつも通り完璧にこなしていたはずの社長が甘めのコーヒーを所望したし、社長も疲れているのかもしれない。
社長お気に入りの豆は浅煎りだけど、あえて深煎りの豆を選んでコーヒーメーカーで挽く。
普段より濃いめに入れて、砂糖とミルクをたっぷり入れていく。
「後で私の分も入れようかな? 疲れている時は甘いもの、だよね」
ついでに頂いた高級チョコレートを二粒小皿に乗せる。
シンプルな味の小さい四角のチョコレートだけど、甘めのコーヒーとならちょうどいいと思う。
社長の元へ戻ると、デスクの上に淹れたてのコーヒーとチョコの小皿をそっと置いた。
「あぁ、ありがとうー。あ、チョコレートも。俺そんなに疲れてる感じに見える?」
「普段よりは元気がないように見えたので。チョコレートはそこまで甘くないはずですが、コーヒーは甘めです」
「確かに。香りは香ばしい感じだけど、ミルクたっぷりで良さそうだね。普段はこういうの飲まないから何か新鮮だな」
社長が少し嬉しそうに笑ってくれたから安心する。
最初はコーヒーもうまく入れられなくって、岬さんに聞いてばかりだったけど。
氷室さんは深煎りのブラックで、社長は浅煎りの砂糖入りが好みだって分かってから豆選びもちょっと楽しくなった。
私もコーヒーはあまり飲まなかったんだけど、淹れたての香りは良い香りだから最近は自分の分も用意して甘めで飲んだりしてる。
社長は私の入れたコーヒーとチョコを摘んで、また綺麗に微笑んでくれた。
氷室さんにも引き続き色々教えてもらったおかげで、少しずつ身に付いてきている気がする。
今日は氷室さんが別件でどうしても外せない用事があって休暇を取っているので、代わりのボディーガードの人と一緒に社長とお得意様のところに出向いて直接会議をしてきた……んだけど。
会社を出てから何か社長の様子がいつもと違うというか。
この後の予定は帰社して、パソコンで支社の人たちとオンライン会議。
赤い手帳を取り出してもう一度確認するけど、やっぱり合ってる。
「社長? お加減が優れないんですか?」
「え? あぁ……大丈夫。いやぁ、昨日お気に入りの子とずっと電話してたから。睡眠時間が少なかったのかも」
「はあ。それならいいんですが」
話していると車は自社の前で止まる。
ボディーガードの人が降りて、運転手が降りて社長のドアを開ける。
私も自分でドアを開けて社長に続く。
「では、行きましょう」
「あともうひと仕事、頑張るかー」
へらっと笑う感じはいつもの社長なんだけど……。
違和感を感じたまま、社長室へと急ぐ。
+++
オンライン会議も無事終わって、やっと就業時間が終わる頃――
受け答えもいつも通り完璧にこなしていたはずの社長が甘めのコーヒーを所望したし、社長も疲れているのかもしれない。
社長お気に入りの豆は浅煎りだけど、あえて深煎りの豆を選んでコーヒーメーカーで挽く。
普段より濃いめに入れて、砂糖とミルクをたっぷり入れていく。
「後で私の分も入れようかな? 疲れている時は甘いもの、だよね」
ついでに頂いた高級チョコレートを二粒小皿に乗せる。
シンプルな味の小さい四角のチョコレートだけど、甘めのコーヒーとならちょうどいいと思う。
社長の元へ戻ると、デスクの上に淹れたてのコーヒーとチョコの小皿をそっと置いた。
「あぁ、ありがとうー。あ、チョコレートも。俺そんなに疲れてる感じに見える?」
「普段よりは元気がないように見えたので。チョコレートはそこまで甘くないはずですが、コーヒーは甘めです」
「確かに。香りは香ばしい感じだけど、ミルクたっぷりで良さそうだね。普段はこういうの飲まないから何か新鮮だな」
社長が少し嬉しそうに笑ってくれたから安心する。
最初はコーヒーもうまく入れられなくって、岬さんに聞いてばかりだったけど。
氷室さんは深煎りのブラックで、社長は浅煎りの砂糖入りが好みだって分かってから豆選びもちょっと楽しくなった。
私もコーヒーはあまり飲まなかったんだけど、淹れたての香りは良い香りだから最近は自分の分も用意して甘めで飲んだりしてる。
社長は私の入れたコーヒーとチョコを摘んで、また綺麗に微笑んでくれた。
34
あなたにおすすめの小説
丘の上の王様とお妃様
よしき
恋愛
木崎珠子(35才)は、大学を卒業後、帝国財閥の子会社に勤めていた、ごくごく平凡なOLだった。しかし、同じ職場の彼に二股をかけられ、職場にも居づらくなり、あげくに両親が交通事故でいっぺんに他界。結局会社を退職し、両親がやっていた喫茶店「坂の上」を引き継ごうと、地元へ帰ってくる。喫茶店の仕事は、会社務めに比べると、珠子にはなんとなくあっているようで...ご近所さんを相手にユルくやっていた。そんな珠子が地元へ戻ってから半年ほどして、喫茶店「坂の上」の隣にある、通称「お化け屋敷」と呼ばれる大豪邸に、帝国財閥の偉い人が越してくると話題になる。珠子は、「別の世界の人間」だからと、あまり意識をしていなかったのだか...
「お化け屋敷」の噂からひと月後。いつもは見ない紳士が、喫茶「坂の上」によってきて。そこから始まる現代シンデレラ物語
憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。
私は密かに先生に「憧れ」ていた。
でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。
そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。
久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。
まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。
しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて…
ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆…
様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。
『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』
「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。
気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて…
ねえ、この出会いに何か意味はあるの?
本当に…「奇跡」なの?
それとも…
晴月グループ
LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長
晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳
×
LUNA BLUホテル東京ベイ
ウエディングプランナー
優木 里桜(ゆうき りお) 25歳
うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。
六畳二間のシンデレラ
如月芳美
恋愛
8ケタの借金を残したまま、突然事故死した両親。
学校は? 家賃は? 生活費は? 借金の返済は?
何もかもがわからなくてパニックになっているところに颯爽と現れた、如何にも貧弱な眼鏡男子。
どうやらうちの学校の先輩らしいんだけど、なんだか頭の回転速度が尋常じゃない!
助けられているのか振り回されているのか、あたしにも判断不能。
あたしの生活はどうなってしまうんだろう?
お父さん、お母さん。あたし、このちょっと変な男子に任せていいんですか?
※まだ成人の年齢が18歳に引き下げられる前のお話なので、現在と少々異なる部分があります。
モース10
藤谷 郁
恋愛
慧一はモテるが、特定の女と長く続かない。
ある日、同じ会社に勤める地味な事務員三原峰子が、彼をネタに同人誌を作る『腐女子』だと知る。
慧一は興味津々で接近するが……
※表紙画像/【イラストAC】NORIMA様
※他サイトに投稿済み
シンデレラは王子様と離婚することになりました。
及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・
なりませんでした!!
【現代版 シンデレラストーリー】
貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。
はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。
しかしながら、その実態は?
離婚前提の結婚生活。
果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
菱沼あゆ
恋愛
ご先祖さまの残した証文のせいで、ホテル王 有坂桔平(ありさか きっぺい)と戸籍上だけの婚姻関係を結んでいる花木真珠(はなき まじゅ)。
一度だけ結婚式で会った桔平に、
「これもなにかの縁でしょう。
なにか困ったことがあったら言ってください」
と言ったのだが。
ついにそのときが来たようだった。
「妻が必要になった。
月末までにドバイに来てくれ」
そう言われ、迎えに来てくれた桔平と空港で待ち合わせた真珠だったが。
……私の夫はどの人ですかっ。
コンタクト忘れていった結婚式の日に、一度しか会っていないのでわかりません~っ。
よく知らない夫と結婚以来、初めての再会でいきなり旅に出ることになった真珠のドバイ旅行記。
ちょっぴりモルディブです。
冷徹社長の「契約」シンデレラ~一夜の過ちから始まる溺愛ルート!? 嘘つきな私と不器用な御曹司のオフィスラブ~
藤森瑠璃香
恋愛
派遣社員の桜井美月は、ある夜、会社の懇親会で泥酔し、翌朝目覚めると隣には「氷の彫刻」と恐れられる若き社長・一条蓮がいた。まさかの一夜の過ち(実際には何もなかったが、美月は勘違い)に青ざめる美月に、蓮は「責任は取る。だがこれは恋愛ではない、契約だ」と、彼の抱えるある事情のため、期間限定で恋人のフリをするよう持ちかける。破格の報酬と蓮の真剣な様子に、美月は契約を受け入れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる