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第三章 自分のこと、これからのこと
35.色々疲れた時には
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「色々とありがとうございました。最後に、母の名前とその……最後どうなったかを……」
「小鳥さんのお母様の名前は美音さん。眠るように息を引き取られました。ご身内の方はいないと仰っていましたので生前にご相談させていただいて、ご遺体は病院の方で身寄りのない方が眠るお寺へお引渡ししました」
お寺の連絡先と住所も教えてもらうことができた。
南本さんが休憩時間だけだと話しきれてないかもしれないと気にしてくれて、連絡先を交換した。
ずっと私のことを気にしてくれて、しかも私を信じてここまで丁寧に話してくれたし、凄く良い人に出会えて良かった。
年齢も同じくらいだし、またお話できたら普通にお友達になれたらいいな。
正直、頭の中が整理できていなくて勢いのままに詰め込みすぎた気がする。
色々と考えないといけないことだらけだけど、少し落ち着いた方がいいよね。
母のことはかなり詳しく知ることができたし、残るは父のことを調べればいいんだけど……。
さすがに疲れちゃった。
少し、気晴らしがしたいな。
病院から出て新鮮な空気を吸い込む。
もう陽は傾いてきているから、どこかでたまには飲もうかな。
+++
どこに行こうか迷ったけど、会社がある最寄り駅付近は栄えていて食べ物屋やおしゃれな飲み屋も充実している。
特にお店に詳しいわけでもないし、自分が分かるところで探してみることにした。
私は地味なので華やかな人たちが多いこの街では少し浮いている気がする。
それはいつものことなので、気にせずオシャレなお店へ行くのもありかもしれない。
社長が前にちらっと話していた店が確かこの辺にあったはずだ。
シックな感じだけど、立ち飲み屋なので会社帰りにも入りやすいというお店。
「あ、ここかな?」
ノーニーンと言う名が不思議な響きで覚えていた。
人もそこまで多くなさそうだし店内に足を踏み入れる。
開いているテーブルを探して辺りを見回していると、見知った顔に出くわした。
「え……」
仕事帰りなのか、スーツ姿だけど間違いなく氷室さんだった。
私は白のシャツに水色のジャケットを羽織って、下は紺のパンツを履いて少しカジュアルな感じにはしていたけど、氷室さんは私だとすぐに気づいたみたいだった。
氷室さんがいるテーブルは少し空きがあったし、無視するのも変だから隣にお邪魔する。
「小鳥さん、どうしてこの店に?」
「その、少し色々とあったので疲れてしまって。気分転換に」
私の表情で何かを察してくれたのか、そうか、と一言だけ告げてメニューを見せてくれる。
氷室さんは何かの白ワインを飲んでいるみたいで、まだつまみも注文していなかった。
普段は飲み屋にあまり入らないので悩んだけど、上品にワインを飲む気分でもなかったから普通にレモンサワーを頼んだ。
「疲れた顔をしているが、まさか夜まで動いていたとは思わなかった」
「勢いで……でも、父親のことはほとんど分かってません。それに……今日は母親のことでいっぱいいっぱいだったと言うか……」
話しているうちにどんどんと俯いてしまう。
私、やっぱり疲れてるんだな。
「小鳥さんのお母様の名前は美音さん。眠るように息を引き取られました。ご身内の方はいないと仰っていましたので生前にご相談させていただいて、ご遺体は病院の方で身寄りのない方が眠るお寺へお引渡ししました」
お寺の連絡先と住所も教えてもらうことができた。
南本さんが休憩時間だけだと話しきれてないかもしれないと気にしてくれて、連絡先を交換した。
ずっと私のことを気にしてくれて、しかも私を信じてここまで丁寧に話してくれたし、凄く良い人に出会えて良かった。
年齢も同じくらいだし、またお話できたら普通にお友達になれたらいいな。
正直、頭の中が整理できていなくて勢いのままに詰め込みすぎた気がする。
色々と考えないといけないことだらけだけど、少し落ち着いた方がいいよね。
母のことはかなり詳しく知ることができたし、残るは父のことを調べればいいんだけど……。
さすがに疲れちゃった。
少し、気晴らしがしたいな。
病院から出て新鮮な空気を吸い込む。
もう陽は傾いてきているから、どこかでたまには飲もうかな。
+++
どこに行こうか迷ったけど、会社がある最寄り駅付近は栄えていて食べ物屋やおしゃれな飲み屋も充実している。
特にお店に詳しいわけでもないし、自分が分かるところで探してみることにした。
私は地味なので華やかな人たちが多いこの街では少し浮いている気がする。
それはいつものことなので、気にせずオシャレなお店へ行くのもありかもしれない。
社長が前にちらっと話していた店が確かこの辺にあったはずだ。
シックな感じだけど、立ち飲み屋なので会社帰りにも入りやすいというお店。
「あ、ここかな?」
ノーニーンと言う名が不思議な響きで覚えていた。
人もそこまで多くなさそうだし店内に足を踏み入れる。
開いているテーブルを探して辺りを見回していると、見知った顔に出くわした。
「え……」
仕事帰りなのか、スーツ姿だけど間違いなく氷室さんだった。
私は白のシャツに水色のジャケットを羽織って、下は紺のパンツを履いて少しカジュアルな感じにはしていたけど、氷室さんは私だとすぐに気づいたみたいだった。
氷室さんがいるテーブルは少し空きがあったし、無視するのも変だから隣にお邪魔する。
「小鳥さん、どうしてこの店に?」
「その、少し色々とあったので疲れてしまって。気分転換に」
私の表情で何かを察してくれたのか、そうか、と一言だけ告げてメニューを見せてくれる。
氷室さんは何かの白ワインを飲んでいるみたいで、まだつまみも注文していなかった。
普段は飲み屋にあまり入らないので悩んだけど、上品にワインを飲む気分でもなかったから普通にレモンサワーを頼んだ。
「疲れた顔をしているが、まさか夜まで動いていたとは思わなかった」
「勢いで……でも、父親のことはほとんど分かってません。それに……今日は母親のことでいっぱいいっぱいだったと言うか……」
話しているうちにどんどんと俯いてしまう。
私、やっぱり疲れてるんだな。
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