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第三章 ギルド長からのご指名
15.戦闘終了
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ふわ、と身体が空で翻り、一瞬、時が止まったような錯覚に陥る。
戦いの最中だと言うのに、僕は何だか見惚れてしまった――
「何、アレ……」
リューは同じ人間とは思えない動きで空中で銃を抜き、狙いを定める。
魔物からすれば喰われにきたのかとでも思ったのか、花びらを広げてリューという獲物を迎え入れようとする。
リューは落下しながら身体を捻り、牽制のように花弁に何発も銃弾の雨を降らせていく。
「ギィィィィギャァァァァァーーーーーアァァァァアーーーーッッッ!!!!」
何とも言えない声に僕は頭痛がしてくるが、リューは顔色一つ変えずに身体ごと突っ込んで持っていたナイフを勢いよく中心部に突き立てる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーー――――」
断末魔なのか最後まで耳障りな声を残し、魔物は動かなくなった。
花びらに着地していたリューもナイフを引き抜くと、崩れ落ちる花と共に地面へと降り立つ。
「おかえり」
「あぁ」
何事もなかったようにこちらへ帰ってくるリューを、片手を上げて待ってみる。
チラと僕を見てから溜め息をつき、面倒だと言わんばかりの顔で僕の片手を軽く叩いてくれた。
「僕は何もしてないけど、討伐完了ってところかな」
「寄生型だから、後始末はしないといけないが。俺たちの仕事はここまでだ」
「そうだね。近くで見れば見るほど、悪趣味な花だ。気持ち悪い」
僕は地面へと落ちた花へと近づいてヒョイと覗き込む。
花弁はリューによって引き裂かれてはいるが、流れ落ちている液体が何だか妙な香りがして……
「……っ、アルヴァーノ!」
リューの焦ったような声が聞こえたのと同時に、グイっと思い切り腕を引っ張られた。
勢いで尻餅をついてしまうが、気が付いた時にはリューが僕の目の前に立っていた。
ゴバァッ! という音と共に花弁から液体が吹き出して、僕を庇ったリューに液体が吹きかけられてしまう。
ビクンと動いた花弁はそれきりで、今度こそ動かなくなった。
「え……え? リュー? ちょっと、リュー!!」
頭からベタベタになっているリューに不安になり、慌てて駆け寄ろうとする。
「来るな!!」
鋭い声に制されて、踏み出した足で数歩たたらを踏む。
「大丈夫、だ……洗い流してくるから、お前は先にもどれ」
「大丈夫って、ねぇ、溶けたりして、ないよね……?」
「……溶けてない」
確か、この近くに川があったはずだ。
リューもそれを覚えていたのか、フラフラと身体を揺らしながらゆっくりと川の方へ歩いていく。
僕は差し出した手を握り込み、その背を見送ることしかできなかった。
戦いの最中だと言うのに、僕は何だか見惚れてしまった――
「何、アレ……」
リューは同じ人間とは思えない動きで空中で銃を抜き、狙いを定める。
魔物からすれば喰われにきたのかとでも思ったのか、花びらを広げてリューという獲物を迎え入れようとする。
リューは落下しながら身体を捻り、牽制のように花弁に何発も銃弾の雨を降らせていく。
「ギィィィィギャァァァァァーーーーーアァァァァアーーーーッッッ!!!!」
何とも言えない声に僕は頭痛がしてくるが、リューは顔色一つ変えずに身体ごと突っ込んで持っていたナイフを勢いよく中心部に突き立てる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーー――――」
断末魔なのか最後まで耳障りな声を残し、魔物は動かなくなった。
花びらに着地していたリューもナイフを引き抜くと、崩れ落ちる花と共に地面へと降り立つ。
「おかえり」
「あぁ」
何事もなかったようにこちらへ帰ってくるリューを、片手を上げて待ってみる。
チラと僕を見てから溜め息をつき、面倒だと言わんばかりの顔で僕の片手を軽く叩いてくれた。
「僕は何もしてないけど、討伐完了ってところかな」
「寄生型だから、後始末はしないといけないが。俺たちの仕事はここまでだ」
「そうだね。近くで見れば見るほど、悪趣味な花だ。気持ち悪い」
僕は地面へと落ちた花へと近づいてヒョイと覗き込む。
花弁はリューによって引き裂かれてはいるが、流れ落ちている液体が何だか妙な香りがして……
「……っ、アルヴァーノ!」
リューの焦ったような声が聞こえたのと同時に、グイっと思い切り腕を引っ張られた。
勢いで尻餅をついてしまうが、気が付いた時にはリューが僕の目の前に立っていた。
ゴバァッ! という音と共に花弁から液体が吹き出して、僕を庇ったリューに液体が吹きかけられてしまう。
ビクンと動いた花弁はそれきりで、今度こそ動かなくなった。
「え……え? リュー? ちょっと、リュー!!」
頭からベタベタになっているリューに不安になり、慌てて駆け寄ろうとする。
「来るな!!」
鋭い声に制されて、踏み出した足で数歩たたらを踏む。
「大丈夫、だ……洗い流してくるから、お前は先にもどれ」
「大丈夫って、ねぇ、溶けたりして、ないよね……?」
「……溶けてない」
確か、この近くに川があったはずだ。
リューもそれを覚えていたのか、フラフラと身体を揺らしながらゆっくりと川の方へ歩いていく。
僕は差し出した手を握り込み、その背を見送ることしかできなかった。
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