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第二章 旅立ち
12.湯あみ
俺は仕方なくエディと一緒に湯あみのできる浴場へ向かう。
と言っても、二人で泊まる部屋の中にある狭い空間だ。
屋敷での湯あみといえば室内にある装飾脚突きの水晶でできた浴槽か、もしくは広い水晶造りの大浴場の二択だった。
「木製の浴槽か。一人くらいなら十分入れそうな広さの浴槽だ」
「湯の循環装置も付いてるとは、金額の割には良い部屋でしたね。宿屋の主人の知り合いに魔道具屋でもいるのかもしれません」
自動で湯を運ぶことのできる装置は値が張るもので、魔道具を作ることができる魔道具師が営む魔道具屋で購入するのが一般的だ。
商人や貴族などのお金を持っている民たちは、魔道具を購入していることが多いと聞く。
街の民たちはお金を払って公衆浴場へ行くか、魔道具を使うもしくは火をくべて湯を沸かし浴槽まで運んで湯あみするらしい。
「使い方も分かるし、俺一人でも入れそうだ。エディ、今からでも戻って……」
「いけません。湯あみも私におまかせください。リサイル様はただ身を委ねてくださればいいのです。では、失礼いたします」
「人の話を……ああ、もう早い……」
エディは自身のシャツとパンツをまくると、俺の服を一枚一枚丁寧に脱がせていく。
あっという間に一糸まとわぬ姿にされてしまった。
俺は用意されていた木の椅子へ腰かけるように促され、座ると同時にエディが湯桶で湯をすくい自身の手に湯を少し流して温度を確認したあとに俺の背中を流してくれた。
「ちょうどいい温度だ」
「適温ならば良かったです。では、お身体を洗わせていただきます」
「あ……うん」
エディは何度か俺の身体を湯で流してくれたあとに、そばに置いてあった石鹸を手に取り手のひらで泡立てていく。
屋敷でも液体状の石鹸を布にしみこませてから、俺の身体の隅々まで磨いてくれていたのだけれど……ここには適当な布もおいていない。
「申し訳ありませんが、私の手で直接お身体を洗ってもよろしいでしょうか?」
「手で?」
「やはりお身体の隅々まで私が直に触れるというのは、お嫌でしょうか?」
「そんなことない、けど……」
布越しでもいつも気恥ずかしい思いをしていたのに、直接触れられるなんて。
頬や額を触れられるのとは意味が違う。身体を洗うということは全身を触れられるということだ。
それは……普通の従者と主人の関係性でも行われることなんだろうか?
「決して不愉快な思いはさせませんので」
「不愉快なんて思ってない。その……いや、なんでもない」
色々考えていても仕方がない。俺はエディに全てを委ねることに決めた。
すると、エディもかしこまりましたといつも通りの声色で返してきた。
エディの泡だらけの手が俺の肩に触れる。
そして、身体を優しく解きほぐすように絶妙な力加減で俺の身体を磨き上げていく。
するすると滑る指が心地よくて、強張っていた力も少しずつ抜けてきた。
「ふわぁ……」
「痛くないですか?」
「痛くないどころか、気持ちいいよ。エディの力加減が絶妙で妙な力も抜けてきた感じだ」
「それならば良かったです。このまま続けます」
エディは俺の腕を一本一本丁寧に洗い、次は背中をグッグッと押すように磨き上げていく。
固まっていた背中も、だんだん解きほぐされてぽかぽかと温まってくる。
「疲れも取れそうだ。ありがとう、エディ」
「いえ。まだ途中ですので。背中側が終わりましたら、前側へ移ってもよろしいでしょうか?」
「前?」
前と言えば……お腹のことか?
それとも胸?
前側は特に疲れとは関係なさそうなので断ろうとしたのだけれど、エディの腕は俺のお腹側にも伸びてきた。
「失礼いたします」
「本当に洗うつもり……っ」
エディの指が胸をかすめる度に、俺は変に意識してしまう。
別に綺麗にしてくれていることも分かっているけれど、それ以上にむずむずとした感覚に襲われる。
「前側は念入りにやらなくても、軽くで……」
「そうはいきません。洗い残しがあってはいけませんので丁寧に洗わせていただきます」
「丁寧にって、その……っ、まっ……」
くすぐったい? なんだろう、このざわざわとした感覚。
胸が高鳴って気恥ずかしいような……もどかしい感じだ。
脇腹も両手で滑るように洗われると、くすぐったさがより増してしまい身体が小刻みに震えてくる。
「どこかかゆいところなどありますか?」
「特にないけど……くっ、くすぐったい……」
「この辺りは過敏になりやすい部位なので、もう少し我慢してください」
「そんなこと、言われても……っ、ふぁっ」
あまりのくすぐったさに妙な声が出てしまった。
恥ずかしすぎて口を塞ぐ。
「いけません、お口の周りが泡だらけになってしまいます」
エディが右手だけを湯で流してから、俺の唇についた泡を丁寧に取ろうと指を伸ばす。
エディの指先がふにっと俺の唇に当たり、少しだけついてしまった泡をなでるように拭きとっていった。
と言っても、二人で泊まる部屋の中にある狭い空間だ。
屋敷での湯あみといえば室内にある装飾脚突きの水晶でできた浴槽か、もしくは広い水晶造りの大浴場の二択だった。
「木製の浴槽か。一人くらいなら十分入れそうな広さの浴槽だ」
「湯の循環装置も付いてるとは、金額の割には良い部屋でしたね。宿屋の主人の知り合いに魔道具屋でもいるのかもしれません」
自動で湯を運ぶことのできる装置は値が張るもので、魔道具を作ることができる魔道具師が営む魔道具屋で購入するのが一般的だ。
商人や貴族などのお金を持っている民たちは、魔道具を購入していることが多いと聞く。
街の民たちはお金を払って公衆浴場へ行くか、魔道具を使うもしくは火をくべて湯を沸かし浴槽まで運んで湯あみするらしい。
「使い方も分かるし、俺一人でも入れそうだ。エディ、今からでも戻って……」
「いけません。湯あみも私におまかせください。リサイル様はただ身を委ねてくださればいいのです。では、失礼いたします」
「人の話を……ああ、もう早い……」
エディは自身のシャツとパンツをまくると、俺の服を一枚一枚丁寧に脱がせていく。
あっという間に一糸まとわぬ姿にされてしまった。
俺は用意されていた木の椅子へ腰かけるように促され、座ると同時にエディが湯桶で湯をすくい自身の手に湯を少し流して温度を確認したあとに俺の背中を流してくれた。
「ちょうどいい温度だ」
「適温ならば良かったです。では、お身体を洗わせていただきます」
「あ……うん」
エディは何度か俺の身体を湯で流してくれたあとに、そばに置いてあった石鹸を手に取り手のひらで泡立てていく。
屋敷でも液体状の石鹸を布にしみこませてから、俺の身体の隅々まで磨いてくれていたのだけれど……ここには適当な布もおいていない。
「申し訳ありませんが、私の手で直接お身体を洗ってもよろしいでしょうか?」
「手で?」
「やはりお身体の隅々まで私が直に触れるというのは、お嫌でしょうか?」
「そんなことない、けど……」
布越しでもいつも気恥ずかしい思いをしていたのに、直接触れられるなんて。
頬や額を触れられるのとは意味が違う。身体を洗うということは全身を触れられるということだ。
それは……普通の従者と主人の関係性でも行われることなんだろうか?
「決して不愉快な思いはさせませんので」
「不愉快なんて思ってない。その……いや、なんでもない」
色々考えていても仕方がない。俺はエディに全てを委ねることに決めた。
すると、エディもかしこまりましたといつも通りの声色で返してきた。
エディの泡だらけの手が俺の肩に触れる。
そして、身体を優しく解きほぐすように絶妙な力加減で俺の身体を磨き上げていく。
するすると滑る指が心地よくて、強張っていた力も少しずつ抜けてきた。
「ふわぁ……」
「痛くないですか?」
「痛くないどころか、気持ちいいよ。エディの力加減が絶妙で妙な力も抜けてきた感じだ」
「それならば良かったです。このまま続けます」
エディは俺の腕を一本一本丁寧に洗い、次は背中をグッグッと押すように磨き上げていく。
固まっていた背中も、だんだん解きほぐされてぽかぽかと温まってくる。
「疲れも取れそうだ。ありがとう、エディ」
「いえ。まだ途中ですので。背中側が終わりましたら、前側へ移ってもよろしいでしょうか?」
「前?」
前と言えば……お腹のことか?
それとも胸?
前側は特に疲れとは関係なさそうなので断ろうとしたのだけれど、エディの腕は俺のお腹側にも伸びてきた。
「失礼いたします」
「本当に洗うつもり……っ」
エディの指が胸をかすめる度に、俺は変に意識してしまう。
別に綺麗にしてくれていることも分かっているけれど、それ以上にむずむずとした感覚に襲われる。
「前側は念入りにやらなくても、軽くで……」
「そうはいきません。洗い残しがあってはいけませんので丁寧に洗わせていただきます」
「丁寧にって、その……っ、まっ……」
くすぐったい? なんだろう、このざわざわとした感覚。
胸が高鳴って気恥ずかしいような……もどかしい感じだ。
脇腹も両手で滑るように洗われると、くすぐったさがより増してしまい身体が小刻みに震えてくる。
「どこかかゆいところなどありますか?」
「特にないけど……くっ、くすぐったい……」
「この辺りは過敏になりやすい部位なので、もう少し我慢してください」
「そんなこと、言われても……っ、ふぁっ」
あまりのくすぐったさに妙な声が出てしまった。
恥ずかしすぎて口を塞ぐ。
「いけません、お口の周りが泡だらけになってしまいます」
エディが右手だけを湯で流してから、俺の唇についた泡を丁寧に取ろうと指を伸ばす。
エディの指先がふにっと俺の唇に当たり、少しだけついてしまった泡をなでるように拭きとっていった。
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