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第三章 新たな出会いと力の片鱗
23.心から感じる喜び
俺は喜びと混乱の気持ちで、エディにつままれている可愛らしい子をじっと見つめる。
ユとかアとか言いながら、ずっとじたばたして何かを訴えているみたいだ。
「エディ、色々起こりすぎて追いつけてないけれど、その子は俺が召喚したってことであってるんだよな?」
「はい。間違いありません。なぜこのようなものが現れたのかは謎ですが……おそらくは東の国に生息しているタヌキと呼ばれる生き物でしょう。東の国では使い魔として重宝されているとか」
「タヌキ? へえ、可愛いな。俺が抱っこしてもいい?」
「仕方ありません。使い魔と召喚獣は同意のもの。リサイル様に権利がありますので、私がこれ以上取り上げる訳にもいきませんね。お返しいたします」
渋々といった表情のエディに杖を手渡し、俺は優しくタヌキを受け取った。
ふわふわとしていて、とても抱き心地がいい。
俺が撫でてやると、アーンと鳴いてすりすりと身体を俺にこすりつけてきた。
「こんな可愛い生き物を召喚したなんて……信じられない。というか、俺……もしかして?」
「まごうことなき、召喚士です」
「うそ……じゃないよな? お前、あったかいもんな?」
「ユー? アーンッ」
手の中のタヌキは人懐っこいのか、ぺろぺろと俺の指を舐めてきた。
その間もエディはなぜか少し不機嫌そうにこちらを見ている。
「何? 俺が召喚士だと嬉しくない?」
「いいえ。リサイル様が力をお持ちなのは分かっていたことです。ですが、そのタヌキは無遠慮にも主人の指を舐めまわしたあげく服を毛だらけにするなど……」
「そんなこと言われても……ん?」
タヌキはユッと鳴いたあと、俺の右の人差し指に鼻を押し付けてきた。すると爪の中に先ほど描いた召喚陣が浮かぶ。
爪が赤く淡い光を放つと、タヌキは嬉しそうにアーンと鳴いて俺に甘えてきた。
「どうやら図々しくも勝手に契約を結んだようです。リサイル様が心を許していたので、正式な契約の召喚に切り替わった証拠ですね」
「確かに。本にも召喚獣と契約を結ぶと、身体の一部に紋章が浮かび上がると書いてあったな。でも、信頼関係が必要だと書いてあったような……?」
「そのタヌキは、リサイル様に呼ばれて嬉しかったようですね。嬉しいから邪魔するなと私に訴えてきています」
「エディ、この子の気持ちが分かるのか。すごいな」
エディは腕の中のタヌキをひとにらみしてから、何となくですがと付け加える。
タヌキの方もエディのことを威嚇しているようだ。
「二人とも仲良くしてほしいのに、仕方ないな。そうだ、名前があった方がいいよな。君は鳴き声が可愛いから……ユとアとン。合わせて、ユーアンでどう?」
「ユ? ユー!」
「どうやら喜んでいるようです。これで、ユーアンはリサイル様の意思で出したり引っ込めたりと自在にできるようになりました」
「そうか……これが、召喚……」
自分が召喚できたという事実が、じわりじわりと実感に変わってくる。
ユーアンは俺の肩に乗って、尻尾でポンポンと優しく叩いてくれた。
「俺、ちゃんとできたんだよな? しかも召喚……」
「はい。間違いありません」
「そっか……そっかあ……」
今頃になって、召喚の事実に両手が震えてきた。
俺は今までずっと落ちこぼれだと言われ続けていて、家族からも蔑まれてきた。
成人の儀では、呪われた力を持つ災いをもたらす者として故郷を追放されて……それでも一歩前に進みたいと願い、エディに手伝ってもらいながら旅を続けてきた。
その結果……俺は、ユーアンを召喚できた。
俺は子どものころから大好きで夢見ていた、おとぎ話にでてくるような憧れの召喚士になれたんだ。
「良かった……諦めなくて、良かった……」
俺は、気づくとエディに抱きついていた。
俺の杖が地面へ転がった気がするけど、エディは俺を受け止めてくれる。
エディの服をぎゅっと握りしめると、優しく頭に手を乗せられた。
「リサイル様は召喚士です。誰の目も気にせず、堂々と生きていいのです。何度でも言います。あなたは召喚士です」
「ありがとう、エディ。呪われた力でも災いをもたらす者でもなく、俺は……ずっと憧れていた召喚士だったんだ」
「ユー……」
自然と泣いている俺を慰めるように、ユーアンも顔をすり寄せてくれる。
エディは俺が泣き止むまで、優しく頭をなで続けてくれた。
+++
「もう大丈夫だ。時間をとらせてごめん。今日のうちにヴァレクリンを抜けられるといいな」
「お気になさらずに。森の中は近道ですが、今のように魔物が出る可能性もありますので。適度に休みながら進んだ方が良いかもしれません」
「急ぎ過ぎず、休み過ぎず。難しそうだけど、なんとかなるか」
「ユ!」
ユーアンは力を使わなければ一緒にいても問題はなさそうなので、このままいてもらうことにした。
エディは不服そうだったけれど、俺が決めたことなら仕方ありませんと同行を認めてくれた。
ユーアンはただそばにいてくれるだけで可愛いし、旅も賑やかになっていいよな。
ユとかアとか言いながら、ずっとじたばたして何かを訴えているみたいだ。
「エディ、色々起こりすぎて追いつけてないけれど、その子は俺が召喚したってことであってるんだよな?」
「はい。間違いありません。なぜこのようなものが現れたのかは謎ですが……おそらくは東の国に生息しているタヌキと呼ばれる生き物でしょう。東の国では使い魔として重宝されているとか」
「タヌキ? へえ、可愛いな。俺が抱っこしてもいい?」
「仕方ありません。使い魔と召喚獣は同意のもの。リサイル様に権利がありますので、私がこれ以上取り上げる訳にもいきませんね。お返しいたします」
渋々といった表情のエディに杖を手渡し、俺は優しくタヌキを受け取った。
ふわふわとしていて、とても抱き心地がいい。
俺が撫でてやると、アーンと鳴いてすりすりと身体を俺にこすりつけてきた。
「こんな可愛い生き物を召喚したなんて……信じられない。というか、俺……もしかして?」
「まごうことなき、召喚士です」
「うそ……じゃないよな? お前、あったかいもんな?」
「ユー? アーンッ」
手の中のタヌキは人懐っこいのか、ぺろぺろと俺の指を舐めてきた。
その間もエディはなぜか少し不機嫌そうにこちらを見ている。
「何? 俺が召喚士だと嬉しくない?」
「いいえ。リサイル様が力をお持ちなのは分かっていたことです。ですが、そのタヌキは無遠慮にも主人の指を舐めまわしたあげく服を毛だらけにするなど……」
「そんなこと言われても……ん?」
タヌキはユッと鳴いたあと、俺の右の人差し指に鼻を押し付けてきた。すると爪の中に先ほど描いた召喚陣が浮かぶ。
爪が赤く淡い光を放つと、タヌキは嬉しそうにアーンと鳴いて俺に甘えてきた。
「どうやら図々しくも勝手に契約を結んだようです。リサイル様が心を許していたので、正式な契約の召喚に切り替わった証拠ですね」
「確かに。本にも召喚獣と契約を結ぶと、身体の一部に紋章が浮かび上がると書いてあったな。でも、信頼関係が必要だと書いてあったような……?」
「そのタヌキは、リサイル様に呼ばれて嬉しかったようですね。嬉しいから邪魔するなと私に訴えてきています」
「エディ、この子の気持ちが分かるのか。すごいな」
エディは腕の中のタヌキをひとにらみしてから、何となくですがと付け加える。
タヌキの方もエディのことを威嚇しているようだ。
「二人とも仲良くしてほしいのに、仕方ないな。そうだ、名前があった方がいいよな。君は鳴き声が可愛いから……ユとアとン。合わせて、ユーアンでどう?」
「ユ? ユー!」
「どうやら喜んでいるようです。これで、ユーアンはリサイル様の意思で出したり引っ込めたりと自在にできるようになりました」
「そうか……これが、召喚……」
自分が召喚できたという事実が、じわりじわりと実感に変わってくる。
ユーアンは俺の肩に乗って、尻尾でポンポンと優しく叩いてくれた。
「俺、ちゃんとできたんだよな? しかも召喚……」
「はい。間違いありません」
「そっか……そっかあ……」
今頃になって、召喚の事実に両手が震えてきた。
俺は今までずっと落ちこぼれだと言われ続けていて、家族からも蔑まれてきた。
成人の儀では、呪われた力を持つ災いをもたらす者として故郷を追放されて……それでも一歩前に進みたいと願い、エディに手伝ってもらいながら旅を続けてきた。
その結果……俺は、ユーアンを召喚できた。
俺は子どものころから大好きで夢見ていた、おとぎ話にでてくるような憧れの召喚士になれたんだ。
「良かった……諦めなくて、良かった……」
俺は、気づくとエディに抱きついていた。
俺の杖が地面へ転がった気がするけど、エディは俺を受け止めてくれる。
エディの服をぎゅっと握りしめると、優しく頭に手を乗せられた。
「リサイル様は召喚士です。誰の目も気にせず、堂々と生きていいのです。何度でも言います。あなたは召喚士です」
「ありがとう、エディ。呪われた力でも災いをもたらす者でもなく、俺は……ずっと憧れていた召喚士だったんだ」
「ユー……」
自然と泣いている俺を慰めるように、ユーアンも顔をすり寄せてくれる。
エディは俺が泣き止むまで、優しく頭をなで続けてくれた。
+++
「もう大丈夫だ。時間をとらせてごめん。今日のうちにヴァレクリンを抜けられるといいな」
「お気になさらずに。森の中は近道ですが、今のように魔物が出る可能性もありますので。適度に休みながら進んだ方が良いかもしれません」
「急ぎ過ぎず、休み過ぎず。難しそうだけど、なんとかなるか」
「ユ!」
ユーアンは力を使わなければ一緒にいても問題はなさそうなので、このままいてもらうことにした。
エディは不服そうだったけれど、俺が決めたことなら仕方ありませんと同行を認めてくれた。
ユーアンはただそばにいてくれるだけで可愛いし、旅も賑やかになっていいよな。
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