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第四章 赤き猛る力、青き知性の守り、白き光の慈しみ
37.港での攻防戦
イーラが分かりやすく自分がドラゴンだと言ってくれたおかげで、この場にいた全員が俺のことを信用してくれた。
俺の見た目だとただの旅人にしか見えないだろうから、正直助かる。
「なるほど。最初に言ってほしかったという気持ちもあるが……今はこの場を切り抜けることを優先したい。リサイル、よろしく頼む。アジュラン、お前はオレの援護と他への被害が広がらないように配慮を頼む」
「かしこまりました。サフィシュ殿下はこれからドラゴンになられます。そちらのイーラ様は?」
「俺様も暴れさせてもらう。この港の大きさなら、ドラゴンが二体変化したところで大丈夫だろ」
やはりサフィシュ殿下もドラゴンの姿になれるようだ。俺とエディは視線で会話し、サフィシュ殿下の前へ立つ。
「殿下はやるべきことをなさってください。その間、わたしたちがシードラゴンの気を引きます。殿下の準備が整ったところで、シードラゴンが二度と近寄りたくないと思えるように力をぶつけてみます」
「リサイルも簡単に言ってくれるが……オレが守りだけに徹することができるのは助かる。これで国への被害は出さずに済みそうだな」
「ええ。全てを守りに注ぐ間、無防備になる殿下をお守りするだけで良さそうですね」
本来は攻撃と防御を両方しながら、殿下でも対処できなかったシードラゴンの攻撃をアジュランさんたち騎士が何とかする予定だったのかもしれない。
けれど、俺たちが協力すれば殿下は守りに全てを注ぐことができるというわけか。
「奴らめ。ゆっくり話もさせてはくれなさそうだな。行くぞ!」
サフィシュ殿下の号令で、騎士たちも一斉に散っていく。
そして、殿下も身体を青く光らせながら美しいブルードラゴンの姿へ変化する。
「俺たちも行こう、エディ。イーラ」
「おうよ。俺様もひと暴れといくか! 海のドラゴンだからって、レッドドラゴンを甘くみるんじゃねぇぞ」
イーラはシードラゴンに向けて一吠えし、身体を赤く光らせるとレッドドラゴンへ変化する。
そして、戦いの先陣をきるように豪快な炎をシードラゴンへ浴びせていく。
「ギャオォォォッ!」
シードラゴンも身体を焦がされながら、ひれをバタつかせて波を起こしてくる。
すると、ブルードラゴンが周囲へ響き渡るような咆哮をあげて大波を透明な壁で防ぐ。
攻めのレッドドラゴンと守りのブルードラゴン。二体のドラゴンがそれぞれの役割で戦いを進めていく。
「エディ、一体は俺たちで受け持とう」
「かしこまりました。シードラゴンと言えど、弱点はあります。彼らは普通のドラゴンに比べて皮膚が鱗で覆われておりません。ですから、接近してしまえば良いのです」
エディは言ってからふわりと飛んで、水竜へ斬りかかっていく。
俺はエディの後ろ姿を見送りながら、エディが空中を飛びやすいように杖で空中に氷魔法の魔法陣を描いて足場を作り補助に回る。
エディはトンっと氷の上に片足を乗せながら飛んでいき、一気にシードラゴンまでの距離を詰める。
魔法を発動するだけなら氷魔法を使うと想像し、魔力を杖から放出すれば氷が放たれる。
しかし、威力を増幅させたいのならば……召喚士は陣を描く方が、威力が各段に上がる。
空中に陣を描き、魔法を発動させる。これが――召喚士の神髄だ。
「普通は接近するのが大変なはずなのに、エディは軽々飛んでいくからな。騎士さんたちも敵の竜一体に対して楔を放って……捕らえた!」
「ユー!」
港には人間が使える巨大な魔道具が用意してあった。
その魔道具を作動させてシードラゴンに楔を打ち込み、一旦動きを取れなくさせて攻撃する仕組みだ。
大きな槍のようなものを飛ばす道具も港に備え付けられていて、いつでも戦えるようになっていた。
返事をしてくれたユーアンをなでながら、今度はユーアンに炎を出すようにお願いする。
殿下の方へ向かいそうな攻撃を、ユーアンの出す無数の炎で誘導するためだ。
「ユーッ!」
ユーアンが尻尾を振ると、無数の炎が俺の周りに浮かぶ。
俺が杖の先で方向を指示すると、ユーアンは真ん中のシードラゴンへ向けて炎を飛ばしていく。
奴は口から水らしきものを吐こうとしていたみたいだが、目の前に飛んできた炎に気を取られ、殿下への攻撃から火消しへ切り替えた。
「ギャァァァッ」
左側の水竜が苦しそうな声をあげる。
エディが身体に張り付いて、直接何度も剣を突き立てているせいだ。
エディは暴れまわるドラゴンの身体から落ちることなく、徹底的に身体を傷つけ続けている。
「エディは一見地味にみえるかもしれないけれど……正確無比な攻撃は、確実に敵を追い詰めていく」
「ユッ!」
ユーアンもエディの仕事ぶりに感心しているらしい。俺は心の中でエディを応援しながら、また周りに目を配る。
「グオォォォッ」
今度はイーラが声を上げて、中央のシードラゴンの首をかぎ爪で殴りつける。
敵も抵抗して水を吐いているが、一向にイーラへ当たらない。
サフィシュ殿下は国全体を守るだけではなく、どうやら戦っている全員に対しても結界を展開している。
守りのドラゴンは抜け目がない。
右のシードラゴンも、騎士たちの絶え間ない攻撃で動きは鈍くなってきている。
あともう一押しで、全体の決着がつきそうだ。
その時、ブルードラゴンの身体がほんのりと青の光に包まれたのが見える。
同時にそばにいたアジュランさんが動く。
「あの光は殿下の準備が整ったという合図です。結界を強固にし、シードラゴンを海へ追い返します。皆さん、退避を!」
アジュランさんは殿下へ飛んでくる攻撃を剣でさばきながら、騎士たちへも同時に指示を飛ばしている。
彼は周り全体を指揮できる、有能な人だということなのだろう。
俺もアジュランさんに頷き返し、ユーアンの炎を弾けさせてエディとイーラへ合図を送った。
俺の見た目だとただの旅人にしか見えないだろうから、正直助かる。
「なるほど。最初に言ってほしかったという気持ちもあるが……今はこの場を切り抜けることを優先したい。リサイル、よろしく頼む。アジュラン、お前はオレの援護と他への被害が広がらないように配慮を頼む」
「かしこまりました。サフィシュ殿下はこれからドラゴンになられます。そちらのイーラ様は?」
「俺様も暴れさせてもらう。この港の大きさなら、ドラゴンが二体変化したところで大丈夫だろ」
やはりサフィシュ殿下もドラゴンの姿になれるようだ。俺とエディは視線で会話し、サフィシュ殿下の前へ立つ。
「殿下はやるべきことをなさってください。その間、わたしたちがシードラゴンの気を引きます。殿下の準備が整ったところで、シードラゴンが二度と近寄りたくないと思えるように力をぶつけてみます」
「リサイルも簡単に言ってくれるが……オレが守りだけに徹することができるのは助かる。これで国への被害は出さずに済みそうだな」
「ええ。全てを守りに注ぐ間、無防備になる殿下をお守りするだけで良さそうですね」
本来は攻撃と防御を両方しながら、殿下でも対処できなかったシードラゴンの攻撃をアジュランさんたち騎士が何とかする予定だったのかもしれない。
けれど、俺たちが協力すれば殿下は守りに全てを注ぐことができるというわけか。
「奴らめ。ゆっくり話もさせてはくれなさそうだな。行くぞ!」
サフィシュ殿下の号令で、騎士たちも一斉に散っていく。
そして、殿下も身体を青く光らせながら美しいブルードラゴンの姿へ変化する。
「俺たちも行こう、エディ。イーラ」
「おうよ。俺様もひと暴れといくか! 海のドラゴンだからって、レッドドラゴンを甘くみるんじゃねぇぞ」
イーラはシードラゴンに向けて一吠えし、身体を赤く光らせるとレッドドラゴンへ変化する。
そして、戦いの先陣をきるように豪快な炎をシードラゴンへ浴びせていく。
「ギャオォォォッ!」
シードラゴンも身体を焦がされながら、ひれをバタつかせて波を起こしてくる。
すると、ブルードラゴンが周囲へ響き渡るような咆哮をあげて大波を透明な壁で防ぐ。
攻めのレッドドラゴンと守りのブルードラゴン。二体のドラゴンがそれぞれの役割で戦いを進めていく。
「エディ、一体は俺たちで受け持とう」
「かしこまりました。シードラゴンと言えど、弱点はあります。彼らは普通のドラゴンに比べて皮膚が鱗で覆われておりません。ですから、接近してしまえば良いのです」
エディは言ってからふわりと飛んで、水竜へ斬りかかっていく。
俺はエディの後ろ姿を見送りながら、エディが空中を飛びやすいように杖で空中に氷魔法の魔法陣を描いて足場を作り補助に回る。
エディはトンっと氷の上に片足を乗せながら飛んでいき、一気にシードラゴンまでの距離を詰める。
魔法を発動するだけなら氷魔法を使うと想像し、魔力を杖から放出すれば氷が放たれる。
しかし、威力を増幅させたいのならば……召喚士は陣を描く方が、威力が各段に上がる。
空中に陣を描き、魔法を発動させる。これが――召喚士の神髄だ。
「普通は接近するのが大変なはずなのに、エディは軽々飛んでいくからな。騎士さんたちも敵の竜一体に対して楔を放って……捕らえた!」
「ユー!」
港には人間が使える巨大な魔道具が用意してあった。
その魔道具を作動させてシードラゴンに楔を打ち込み、一旦動きを取れなくさせて攻撃する仕組みだ。
大きな槍のようなものを飛ばす道具も港に備え付けられていて、いつでも戦えるようになっていた。
返事をしてくれたユーアンをなでながら、今度はユーアンに炎を出すようにお願いする。
殿下の方へ向かいそうな攻撃を、ユーアンの出す無数の炎で誘導するためだ。
「ユーッ!」
ユーアンが尻尾を振ると、無数の炎が俺の周りに浮かぶ。
俺が杖の先で方向を指示すると、ユーアンは真ん中のシードラゴンへ向けて炎を飛ばしていく。
奴は口から水らしきものを吐こうとしていたみたいだが、目の前に飛んできた炎に気を取られ、殿下への攻撃から火消しへ切り替えた。
「ギャァァァッ」
左側の水竜が苦しそうな声をあげる。
エディが身体に張り付いて、直接何度も剣を突き立てているせいだ。
エディは暴れまわるドラゴンの身体から落ちることなく、徹底的に身体を傷つけ続けている。
「エディは一見地味にみえるかもしれないけれど……正確無比な攻撃は、確実に敵を追い詰めていく」
「ユッ!」
ユーアンもエディの仕事ぶりに感心しているらしい。俺は心の中でエディを応援しながら、また周りに目を配る。
「グオォォォッ」
今度はイーラが声を上げて、中央のシードラゴンの首をかぎ爪で殴りつける。
敵も抵抗して水を吐いているが、一向にイーラへ当たらない。
サフィシュ殿下は国全体を守るだけではなく、どうやら戦っている全員に対しても結界を展開している。
守りのドラゴンは抜け目がない。
右のシードラゴンも、騎士たちの絶え間ない攻撃で動きは鈍くなってきている。
あともう一押しで、全体の決着がつきそうだ。
その時、ブルードラゴンの身体がほんのりと青の光に包まれたのが見える。
同時にそばにいたアジュランさんが動く。
「あの光は殿下の準備が整ったという合図です。結界を強固にし、シードラゴンを海へ追い返します。皆さん、退避を!」
アジュランさんは殿下へ飛んでくる攻撃を剣でさばきながら、騎士たちへも同時に指示を飛ばしている。
彼は周り全体を指揮できる、有能な人だということなのだろう。
俺もアジュランさんに頷き返し、ユーアンの炎を弾けさせてエディとイーラへ合図を送った。
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