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第四章 赤き猛る力、青き知性の守り、白き光の慈しみ
42.ランシュノー王国へ
サフィシュとの出会いも貴重な機会だと思っているけれど、俺はもっとたくさんのものを見たり触れたりしたい。
そして、学んでいきたい。だからこその一時の別れだ。
「そうか……できることならば、ずっとそばにいてほしい気持ちは変わらない。だが、リサイルが更に力をつけようとしているのならば、オレも送り出さねばな」
「サフィシュ、俺のために色々とどうもありがとう」
何度も城へ通っているうちに、サフィシュともだいぶ打ち解けることができた。
彼の望み通り、友人のように接して友人のように砕けた口調で自然と話せるようになった。
「当然のことをしたまでだ。オレにできることがあれば、いつでも気にせず呼んでくれ。必ず駆けつける」
「分かった。その時がきたら……頼らせてほしい」
「心配なさらずとも、私が常にリサイル様のおそばにいますので。サフィシュ殿下の出番はございません」
「エディ……お前は最初から最後まで無礼で遠慮のないやつだな。まあいい。いつかお前とも腹を割って話せる日がくることを待つとしよう」
サフィシュはなぜかエディに意味深な笑みを向けてから、気をつけてなと明るく送り出してくれた。
エディは特に表情も変えず、サフィシュに興味はないと言わんばかりに足早に歩き始めてしまった。
サフィシュも、前にイーラもエディに対して何か言おうとしていたみたいだけれど……エディは流すか言わせないようにするかどちらかなので俺もよく分からない。
いつか分かる時がくるのだろうか? 無理に聞き出したくはないし……今はそっとしておいた方がいいのかもしれないな。
+++
城下町で一通り必要なものをそろえて魔法の袋へしまい、武器も少しいいものへ買い替える。
俺の杖も軽量化された銀製の魔法の杖にして、使用しないときは背中へ背負えるようにベルトも用意した。
エディの剣も刃こぼれしていたので、特別な魔法の鉱物で仕上げた軽量だけれど切れ味の優れた長剣にした。
防具の見た目と色味はエディが目立ってはいけないというので、薄灰の付与魔法がかかったフード付き外套に。
エディも動きやすさ重視で、同じ色味の白の立て襟シャツと木炭色のベストで、今まで着ていたものと全く同じ色合いだ。
下も暗い灰色のパンツに焦げ茶のブーツだけれど、それらすべて付与魔法付きのものに新調した。
「ランシュノー王国も比較的近い国。とはいえ、乗合馬車で向かったほうが安全で早く到着できるはずです」
「歩いてもいいけれど、立ち寄れる街や村が少なくなるって言ってたな。だったら、乗合馬車で一気に向かった方がよさそうだ」
「一つ馬車を買い取っても余るくらいの金貨を公王陛下にいただいてしまいましたが、私が馬車を走らせてしまうとランシュノー王国へ入る時に馬車に乗れる身分の者だと明かさねばならないでしょう。できることならば、リサイル様には目立たずに旅をしていただきたいと考えます」
「エディの言う通りだ。俺もわざわざ身分を明かすようなことはしたくない。エディに賛成だ」
エディはいつも俺のことを心配し、俺を優先してくれる。
だからこそ、エディの案は一番安全なものだ。
乗合馬車は旅人が複数人乗る馬車なので、乗り心地はあまり期待できない。
逆に馬車を個人で所持している者は、それなりの身分の者ということになってしまう。
ルーブロア公国では俺のことを信用してもらうためにあえてサモナードの名を名乗ったけれど、俺はサモナード領を追放されている。
できれば身分を隠したまま行動すべきだろう。
「準備もできたし、そろそろ乗合馬車の乗り場へ向かおう」
「かしこまりました」
エディと一緒に乗り場へ向かうと、ちょうどランシュノー王国へ向かう乗合馬車がとまっていた。
御者に銀貨を払って備え付きの木の階段をのぼり、後方の荷台の端の方へ乗り込んで、簡易的な木の板が張られた椅子へ腰かける。
乗合馬車にはほろがついているため、ある程度の雨風避けにはなりそうだ。
エディも俺の隣に腰かけたが、なぜか俺の存在を隠すように俺の肩に腕を伸ばして抱き寄せてくる。
この距離感は……仲間と言うよりは、もっと親しい存在。まるで、恋人のようだ。
「エディ……?」
「乗っている者が善良な者とは限りません。リサイル様は俺に身体をあずけてください」
「分かった。エディの言う通りにする」
俺はエディに寄りかかるような形で、乗合馬車の中で揺られることになった。
走り出した乗合馬車は時々車輪が地面の石を拾いガタンときしみ、車体はぎしぎしと音を鳴らす。
そのたびに、俺は身体がふわりと浮いてエディの方へ身体が傾いてしまう。
エディはその度に俺が落ちてしまわないようにしているのか、抱き寄せる手に力を込めて俺の身体を支えてくれた。
荷台の古さを感じさせる木の香りや少々の埃っぽさも、不思議と気にならない。
俺のそばには、エディがいる。それを間近で感じられることを、どこか嬉しく思っていた。
乗り心地が悪いはずの馬車の中で、エディの鼓動に身を委ねているうちに意識も自然と包み込まれていった。
そして、学んでいきたい。だからこその一時の別れだ。
「そうか……できることならば、ずっとそばにいてほしい気持ちは変わらない。だが、リサイルが更に力をつけようとしているのならば、オレも送り出さねばな」
「サフィシュ、俺のために色々とどうもありがとう」
何度も城へ通っているうちに、サフィシュともだいぶ打ち解けることができた。
彼の望み通り、友人のように接して友人のように砕けた口調で自然と話せるようになった。
「当然のことをしたまでだ。オレにできることがあれば、いつでも気にせず呼んでくれ。必ず駆けつける」
「分かった。その時がきたら……頼らせてほしい」
「心配なさらずとも、私が常にリサイル様のおそばにいますので。サフィシュ殿下の出番はございません」
「エディ……お前は最初から最後まで無礼で遠慮のないやつだな。まあいい。いつかお前とも腹を割って話せる日がくることを待つとしよう」
サフィシュはなぜかエディに意味深な笑みを向けてから、気をつけてなと明るく送り出してくれた。
エディは特に表情も変えず、サフィシュに興味はないと言わんばかりに足早に歩き始めてしまった。
サフィシュも、前にイーラもエディに対して何か言おうとしていたみたいだけれど……エディは流すか言わせないようにするかどちらかなので俺もよく分からない。
いつか分かる時がくるのだろうか? 無理に聞き出したくはないし……今はそっとしておいた方がいいのかもしれないな。
+++
城下町で一通り必要なものをそろえて魔法の袋へしまい、武器も少しいいものへ買い替える。
俺の杖も軽量化された銀製の魔法の杖にして、使用しないときは背中へ背負えるようにベルトも用意した。
エディの剣も刃こぼれしていたので、特別な魔法の鉱物で仕上げた軽量だけれど切れ味の優れた長剣にした。
防具の見た目と色味はエディが目立ってはいけないというので、薄灰の付与魔法がかかったフード付き外套に。
エディも動きやすさ重視で、同じ色味の白の立て襟シャツと木炭色のベストで、今まで着ていたものと全く同じ色合いだ。
下も暗い灰色のパンツに焦げ茶のブーツだけれど、それらすべて付与魔法付きのものに新調した。
「ランシュノー王国も比較的近い国。とはいえ、乗合馬車で向かったほうが安全で早く到着できるはずです」
「歩いてもいいけれど、立ち寄れる街や村が少なくなるって言ってたな。だったら、乗合馬車で一気に向かった方がよさそうだ」
「一つ馬車を買い取っても余るくらいの金貨を公王陛下にいただいてしまいましたが、私が馬車を走らせてしまうとランシュノー王国へ入る時に馬車に乗れる身分の者だと明かさねばならないでしょう。できることならば、リサイル様には目立たずに旅をしていただきたいと考えます」
「エディの言う通りだ。俺もわざわざ身分を明かすようなことはしたくない。エディに賛成だ」
エディはいつも俺のことを心配し、俺を優先してくれる。
だからこそ、エディの案は一番安全なものだ。
乗合馬車は旅人が複数人乗る馬車なので、乗り心地はあまり期待できない。
逆に馬車を個人で所持している者は、それなりの身分の者ということになってしまう。
ルーブロア公国では俺のことを信用してもらうためにあえてサモナードの名を名乗ったけれど、俺はサモナード領を追放されている。
できれば身分を隠したまま行動すべきだろう。
「準備もできたし、そろそろ乗合馬車の乗り場へ向かおう」
「かしこまりました」
エディと一緒に乗り場へ向かうと、ちょうどランシュノー王国へ向かう乗合馬車がとまっていた。
御者に銀貨を払って備え付きの木の階段をのぼり、後方の荷台の端の方へ乗り込んで、簡易的な木の板が張られた椅子へ腰かける。
乗合馬車にはほろがついているため、ある程度の雨風避けにはなりそうだ。
エディも俺の隣に腰かけたが、なぜか俺の存在を隠すように俺の肩に腕を伸ばして抱き寄せてくる。
この距離感は……仲間と言うよりは、もっと親しい存在。まるで、恋人のようだ。
「エディ……?」
「乗っている者が善良な者とは限りません。リサイル様は俺に身体をあずけてください」
「分かった。エディの言う通りにする」
俺はエディに寄りかかるような形で、乗合馬車の中で揺られることになった。
走り出した乗合馬車は時々車輪が地面の石を拾いガタンときしみ、車体はぎしぎしと音を鳴らす。
そのたびに、俺は身体がふわりと浮いてエディの方へ身体が傾いてしまう。
エディはその度に俺が落ちてしまわないようにしているのか、抱き寄せる手に力を込めて俺の身体を支えてくれた。
荷台の古さを感じさせる木の香りや少々の埃っぽさも、不思議と気にならない。
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乗り心地が悪いはずの馬車の中で、エディの鼓動に身を委ねているうちに意識も自然と包み込まれていった。
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