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第四章 赤き猛る力、青き知性の守り、白き光の慈しみ
46.思いの証
エディと宿探しをしたけれど、俺はなぜかエディの態度が気になって仕方なかった。
いつも通り俺のことを優先し、今回はファーさんの工房にも行きやすい距離にある表通りからは離れた位置にある静かな宿にしてくれた。
金貨もあるので、宿が少し高くてもエディが働く必要もないはずだ。
少しエディと話した方がいい気がする。
宿の手続きをしてくれたエディに俺から声をかける。
「エディ、少し話してもいいかな?」
「はい、私はいつでも構いません」
従者らしい言葉。何も問題はないはずなのに……俺は心の中のざわつきを感じてしまう。
エディの後について部屋へ入ると、室内は白塗りの清潔感のある雰囲気だった。
フード付きの外套を、エディが脱がせて外套掛けへかけてくれる。
俺たちは話をするために、室内にある机をはさんで向かい合って腰かけた。
「エディは……ファーさんの提案に反対? 従者としてではなく、エディ自身の考えを聞かせてほしい」
緊張気味に伝えると、エディは静かに赤紫の瞳を向けてくる。
「私の考えを聞いてどうするおつもりですか?」
「俺がホワイトドラゴンに会いたがっているから、従ってくれているのは分かる。でも、俺が一人で動くことは信用できない? やっぱり俺は一人で判断して対処できるような力がないから……」
俺はどうしたいのだろう? また後ろ向きなことを言ってしまった。
エディに呆れられて……もし、嫌われたら……?
俺は俯いたまま声が出せなくなってしまった。
エディが何も言ってくれないまま、沈黙した空気に耐えられなくなってくる。
自分で話したいといったのに、情けない。
情けなさで心がいっぱいになると、今度は涙が出そうになってくる。
必死に泣くのを我慢していると、椅子が動く音がした。
そっと顔をあげると、エディが俺の隣でひざまずいていた。
「どうしてリサイル様が泣くのです?」
「分からない……でも、俺……エディに認めてもらいたい。けれど、エディに嫌われたくないんだ。エディは、他のドラゴンの話をすると、嫌そうだったから……」
「リサイル様は、私の態度が気になったのですか?」
俺が頷くと、涙がこぼれおちそうなまなじりにそっとエディの指が触れた。
そして、優しく涙を拭ってくれる。
「確かに私は嫌がるような態度をとっていたかもしれません。ですが、それはリサイル様が思っている意味とは違います。私は決して、あなたのことを嫌いになったりしません」
「頭では分かっているはずなんだ。エディはそんな風に思ったりしないって。なのに……急に不安になって……」
ホワイトドラゴンに会える機会をもらえたのは嬉しいはずなのに、エディのことを思うと心がざわついてしまう。
エディが嫌がることをしてまで、会うことはないんじゃないか?
大人しくエディに甘えていれば……って。けれど、俺はエディに及ばずとも一緒に肩を並べていたい。
もっと強くなるためには、ホワイトドラゴンとも契約できたらと思っている。
そして、エディには休めるときには休んでほしい。俺が頑張れば頑張るほど、エディの負担も軽くなるはずだ。
「正直に申し上げて、私は常にリサイル様のおそばにいたいと思っております。ですが、リサイル様が成長したいと思うお気持ちを尊重したいのも事実です」
「本当に……?」
疑っていないはずなのに、確認するように問いかける。
すると、エディは俺の頬に手を当てて表情を和らげてくれた。
「疑り深いご主人様ですね。しかし、私のことを気にしてくださったので今は一旦、大人気ない気持ちを心の奥底へ沈めましょう。それよりも、もっと信用していただかないと」
優しく言い聞かせるような声色は、俺の心に染みわたっていく。
エディに触れられているだけで、俺の気持ちも落ち着いてくるのが分かる。
自然とエディの手に頬を寄り添わせていると、エディの顔が近づいてくる。
「エディ……?」
「私があなたを裏切らないという証です」
久しぶりのエディの優しい表情に見入っていると、ふわりと唇に柔らかいものが触れた。
エディに口づけされたのだと気づくまでに、少しぼんやりしてしまう。
「あ、証……うん。証か。そう、証。俺が不安がっていたから……ありがとう。もう、大丈夫だ」
「それならば、良かったです。不安に思われる時は、いつでも私の思いを証としてお伝えいたしましょう」
エディの証がじわじわと伝わってきて、頬が熱くなってくる。
これは不安がっていた俺を安心させるための行動であって、特別なことではないはずだ。
それなのに、俺を見つめる瞳がいつも以上に嬉しそうに見えてしまう。
「エディの気持ちは伝わってきたから……その……そろそろ休もうか?」
「はい。では湯あみのお手伝いを……」
「今日はこのまま寝ることにする。湯あみは……明日の早朝にしようか!」
俺が動揺を隠すようにエディから身体を離して立ち上がると、エディもゆっくりと立ち上がった。
そして俺の手を取って誘導し、ベッドの上へ座らせる。
「今晩はいかがいたしましょう? よく眠れるように添い寝いたしましょうか」
「添い寝……そうだな。うん、そうしよう」
俺はエディに言われるがままに頷いてしまったけれど……エディに抱きしめられると妙に胸が高鳴ってしまってなかなか寝付けなかった。
それでも、俺はエディが近くにいて温もりを与えてくれることに安心している。
エディに触れられるのは……嫌じゃない。
いつも通り俺のことを優先し、今回はファーさんの工房にも行きやすい距離にある表通りからは離れた位置にある静かな宿にしてくれた。
金貨もあるので、宿が少し高くてもエディが働く必要もないはずだ。
少しエディと話した方がいい気がする。
宿の手続きをしてくれたエディに俺から声をかける。
「エディ、少し話してもいいかな?」
「はい、私はいつでも構いません」
従者らしい言葉。何も問題はないはずなのに……俺は心の中のざわつきを感じてしまう。
エディの後について部屋へ入ると、室内は白塗りの清潔感のある雰囲気だった。
フード付きの外套を、エディが脱がせて外套掛けへかけてくれる。
俺たちは話をするために、室内にある机をはさんで向かい合って腰かけた。
「エディは……ファーさんの提案に反対? 従者としてではなく、エディ自身の考えを聞かせてほしい」
緊張気味に伝えると、エディは静かに赤紫の瞳を向けてくる。
「私の考えを聞いてどうするおつもりですか?」
「俺がホワイトドラゴンに会いたがっているから、従ってくれているのは分かる。でも、俺が一人で動くことは信用できない? やっぱり俺は一人で判断して対処できるような力がないから……」
俺はどうしたいのだろう? また後ろ向きなことを言ってしまった。
エディに呆れられて……もし、嫌われたら……?
俺は俯いたまま声が出せなくなってしまった。
エディが何も言ってくれないまま、沈黙した空気に耐えられなくなってくる。
自分で話したいといったのに、情けない。
情けなさで心がいっぱいになると、今度は涙が出そうになってくる。
必死に泣くのを我慢していると、椅子が動く音がした。
そっと顔をあげると、エディが俺の隣でひざまずいていた。
「どうしてリサイル様が泣くのです?」
「分からない……でも、俺……エディに認めてもらいたい。けれど、エディに嫌われたくないんだ。エディは、他のドラゴンの話をすると、嫌そうだったから……」
「リサイル様は、私の態度が気になったのですか?」
俺が頷くと、涙がこぼれおちそうなまなじりにそっとエディの指が触れた。
そして、優しく涙を拭ってくれる。
「確かに私は嫌がるような態度をとっていたかもしれません。ですが、それはリサイル様が思っている意味とは違います。私は決して、あなたのことを嫌いになったりしません」
「頭では分かっているはずなんだ。エディはそんな風に思ったりしないって。なのに……急に不安になって……」
ホワイトドラゴンに会える機会をもらえたのは嬉しいはずなのに、エディのことを思うと心がざわついてしまう。
エディが嫌がることをしてまで、会うことはないんじゃないか?
大人しくエディに甘えていれば……って。けれど、俺はエディに及ばずとも一緒に肩を並べていたい。
もっと強くなるためには、ホワイトドラゴンとも契約できたらと思っている。
そして、エディには休めるときには休んでほしい。俺が頑張れば頑張るほど、エディの負担も軽くなるはずだ。
「正直に申し上げて、私は常にリサイル様のおそばにいたいと思っております。ですが、リサイル様が成長したいと思うお気持ちを尊重したいのも事実です」
「本当に……?」
疑っていないはずなのに、確認するように問いかける。
すると、エディは俺の頬に手を当てて表情を和らげてくれた。
「疑り深いご主人様ですね。しかし、私のことを気にしてくださったので今は一旦、大人気ない気持ちを心の奥底へ沈めましょう。それよりも、もっと信用していただかないと」
優しく言い聞かせるような声色は、俺の心に染みわたっていく。
エディに触れられているだけで、俺の気持ちも落ち着いてくるのが分かる。
自然とエディの手に頬を寄り添わせていると、エディの顔が近づいてくる。
「エディ……?」
「私があなたを裏切らないという証です」
久しぶりのエディの優しい表情に見入っていると、ふわりと唇に柔らかいものが触れた。
エディに口づけされたのだと気づくまでに、少しぼんやりしてしまう。
「あ、証……うん。証か。そう、証。俺が不安がっていたから……ありがとう。もう、大丈夫だ」
「それならば、良かったです。不安に思われる時は、いつでも私の思いを証としてお伝えいたしましょう」
エディの証がじわじわと伝わってきて、頬が熱くなってくる。
これは不安がっていた俺を安心させるための行動であって、特別なことではないはずだ。
それなのに、俺を見つめる瞳がいつも以上に嬉しそうに見えてしまう。
「エディの気持ちは伝わってきたから……その……そろそろ休もうか?」
「はい。では湯あみのお手伝いを……」
「今日はこのまま寝ることにする。湯あみは……明日の早朝にしようか!」
俺が動揺を隠すようにエディから身体を離して立ち上がると、エディもゆっくりと立ち上がった。
そして俺の手を取って誘導し、ベッドの上へ座らせる。
「今晩はいかがいたしましょう? よく眠れるように添い寝いたしましょうか」
「添い寝……そうだな。うん、そうしよう」
俺はエディに言われるがままに頷いてしまったけれど……エディに抱きしめられると妙に胸が高鳴ってしまってなかなか寝付けなかった。
それでも、俺はエディが近くにいて温もりを与えてくれることに安心している。
エディに触れられるのは……嫌じゃない。
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