70 / 74
第六章 世界の綻び
69.ゴーレム掃討戦
俺たちの合図で、セルディオス殿下と騎士のみなさんが後方へ下がる。
下がったところでサフィシュが一歩出て、防御結界を張り巡らせた。
「マキーニャ、あなたはリサイル様を守ることだけ考えてください」
「はいっ! おまかせくださいっ」
レイディスとマキーニャは相性がいいみたいだ。マキーニャは賢いので、レイディスも指示がしやすいのかもしれない。
モモモとユーアンもやる気満々で準備ができたようだ。
「っしゃあ! さっさと片づけるぞ」
「暴れすぎてリサイル様に何かあれば……」
「俺様がかわいいリーサちゃんを怪我させるわけないだろうが」
イーラは咆哮をあげると、身体を赤く輝かせてドラゴンの姿に変化した。
俺とレイディスは動き出したゴーレムに注意しながら、体勢を整える。
「ユーアン、イーラが炎を吐いたら一緒に炎で追撃して。モモモは俺たちと一緒に氷属性の突撃を頼む」
「ユーッ!」
「……モ」
戦いの中で召喚獣のみんなとの連携も取れているし、俺は安心して目の前のゴーレムを止めることに集中できる。
イーラが尻尾を揺らしてゴーレムを誘うと、ゴーレムが動きにつられてイーラの方へゆっくりと寄っていく。
そして、十分に引きつけたところで口を開いて豪快に炎を吐いた。
イーラの熱い炎は、イーラの心を現しているようで何回見ても圧倒される。
炎を受けて、ゴーレムのコアが外殻の隙間から覗き始める。
「ユーアン、コアへ向けて炎!」
「ユー……ユーッ!」
ユーアンは尻尾を振ると無数の炎を辺りに生み出し、器用にコアをめがけて炎を追加でぶつけていく。
全体を焦がす業火と隙間を狙う綿密な炎。
炎が重なりあって辺りの温度を一気に上げていく。
「喜んで炎をまき散らしてますね、あの馬鹿は。リサイル様、私たちで頭を冷やしてやりましょう」
「エディ……イーラは敵じゃなくて味方だろう? あの火力はイーラだからこそだ」
「リサイル様は本当に誰にでもお優しいのですね。私以外の者に心を砕くなど、お仕置きして差し上げたいところですが……今は二人で障害を排除いたしましょう」
「……不穏な言葉は聞こえなかったことにするからな? もう……」
俺が杖を構えると、レイディスも俺の杖に手を触れる。
二人で魔力を同調させて、一気にゴーレムを凍らせるためだ。
俺は深く息を吸い込むと、空に氷の魔法陣を描いた。
集中すると、俺の中にレイディスの魔力が流れ込んでくるのが分かる。
大きな力を使おうとしているせいか、右の内ももに付けられたレイディスの印が熱を持ってくる。
この位置が熱くなると色々思い出してしまって集中が乱れそうになるけれど、レイディスがなぜか目線で自分を見るようにと誘導する。
レイディスの視線を追っていくと、レイディスの右の内ももの辺りに魔力を感じる。
もしかして……俺と同じ位置に印があってレイディスも熱を持っているのか?
レイディスは俺の耳にそっと唇を寄せてくる。
「私たちが同時に強い魔力を行使すると、印が浮かび上がるのです。これは、真の契約をした者同士のみに現れるもの。今、あなたと私は魔力を通じて繋がっています」
「そ、それは嬉しいけれど……レイディス、近い……っ」
集中したいのに動揺してしまう。違う意味で鼓動が早くなってくる。
クスという声と共に、集中してくださいという優しい声色と吐息が吹き込まれた。
レイディスは右手で俺の腰を支えてから、杖を握る俺の手に左手を重ねる。
二人分の魔力が、杖の先から魔法陣へ流れ込んでいく――
魔力が重なる感覚は慣れないけれど、レイディスだから……身を委ねても怖くない。
炎がやんだ瞬間に、今度は氷をぶつけていく。
「凍らせろ!」
言の葉を紡ぎ、一気に魔力を放出する。
魔法陣から大量の氷のつぶてが生み出され、熱さで動きがおかしくなっているゴーレムたちを一斉に固めていく。
「モモモっ!」
俺の声を聞いたモモモが巨大化し、生み出された氷のつぶての一部を大きな口を開けて飲み込んでいく。
すると、モモモの身体も俺の魔力を取り入れて氷のように固くなっていく。
「モモモ! やっちゃえー!」
俺を保護し続けてくれているマキーニャが声をあげてモモモを応援すると、モモモは急速に固められたゴーレムに向かって勢いよく突進する。
モモモがゴーレムへぶつかると、パキパキという音を立てて凍らされたゴーレムの氷のかたまりにひびが入っていく。
ひびがゴーレムの身体全体へ広がると、ゴーレムの身体ごとバラバラと氷が崩れる。
コアもひび割れて、ゴーレムは形を保つことができずにサラサラと崩れて砂になっていった。
「モモモ、すごーい!」
「飲み込むだけじゃなくて、体当たりも強いんだな。モモモに任せて良かった」
俺がモモモの活躍を見守っていると、ドラゴンから人間の姿へ戻ったイーラが俺のそばへ戻ってくる。
「おいおい、俺様の活躍をなかったことにしてないか?」
「イーラのことを信頼しているから任せたんだ。発案もイーラだろう?」
俺がイーラのことを褒めると、レイディスが面白くないと言わんばかりに俺の腰を強く抱いてくる。
自然と身体もレイディスに寄り添い、ぴったりとくっついてしまった。
「うまいこと褒めてくれるのはいいが、そこの黒いのはいつまでリーサちゃんの腰を抱いてんだよ」
「抱けるのならば、いつまでもです。リサイル様は私のリサイル様ですので」
イーラとレイディスがにらみあっていると、モモモが全てのゴーレムをくだいて戻ってくる。
後ろで待機してくれていたセルディオス殿下たちからも、感嘆の声がもれる。
俺の隣に来た時にはモモモの大きさも小さくなり、いつもの柔らかいモモモに戻っていた。
下がったところでサフィシュが一歩出て、防御結界を張り巡らせた。
「マキーニャ、あなたはリサイル様を守ることだけ考えてください」
「はいっ! おまかせくださいっ」
レイディスとマキーニャは相性がいいみたいだ。マキーニャは賢いので、レイディスも指示がしやすいのかもしれない。
モモモとユーアンもやる気満々で準備ができたようだ。
「っしゃあ! さっさと片づけるぞ」
「暴れすぎてリサイル様に何かあれば……」
「俺様がかわいいリーサちゃんを怪我させるわけないだろうが」
イーラは咆哮をあげると、身体を赤く輝かせてドラゴンの姿に変化した。
俺とレイディスは動き出したゴーレムに注意しながら、体勢を整える。
「ユーアン、イーラが炎を吐いたら一緒に炎で追撃して。モモモは俺たちと一緒に氷属性の突撃を頼む」
「ユーッ!」
「……モ」
戦いの中で召喚獣のみんなとの連携も取れているし、俺は安心して目の前のゴーレムを止めることに集中できる。
イーラが尻尾を揺らしてゴーレムを誘うと、ゴーレムが動きにつられてイーラの方へゆっくりと寄っていく。
そして、十分に引きつけたところで口を開いて豪快に炎を吐いた。
イーラの熱い炎は、イーラの心を現しているようで何回見ても圧倒される。
炎を受けて、ゴーレムのコアが外殻の隙間から覗き始める。
「ユーアン、コアへ向けて炎!」
「ユー……ユーッ!」
ユーアンは尻尾を振ると無数の炎を辺りに生み出し、器用にコアをめがけて炎を追加でぶつけていく。
全体を焦がす業火と隙間を狙う綿密な炎。
炎が重なりあって辺りの温度を一気に上げていく。
「喜んで炎をまき散らしてますね、あの馬鹿は。リサイル様、私たちで頭を冷やしてやりましょう」
「エディ……イーラは敵じゃなくて味方だろう? あの火力はイーラだからこそだ」
「リサイル様は本当に誰にでもお優しいのですね。私以外の者に心を砕くなど、お仕置きして差し上げたいところですが……今は二人で障害を排除いたしましょう」
「……不穏な言葉は聞こえなかったことにするからな? もう……」
俺が杖を構えると、レイディスも俺の杖に手を触れる。
二人で魔力を同調させて、一気にゴーレムを凍らせるためだ。
俺は深く息を吸い込むと、空に氷の魔法陣を描いた。
集中すると、俺の中にレイディスの魔力が流れ込んでくるのが分かる。
大きな力を使おうとしているせいか、右の内ももに付けられたレイディスの印が熱を持ってくる。
この位置が熱くなると色々思い出してしまって集中が乱れそうになるけれど、レイディスがなぜか目線で自分を見るようにと誘導する。
レイディスの視線を追っていくと、レイディスの右の内ももの辺りに魔力を感じる。
もしかして……俺と同じ位置に印があってレイディスも熱を持っているのか?
レイディスは俺の耳にそっと唇を寄せてくる。
「私たちが同時に強い魔力を行使すると、印が浮かび上がるのです。これは、真の契約をした者同士のみに現れるもの。今、あなたと私は魔力を通じて繋がっています」
「そ、それは嬉しいけれど……レイディス、近い……っ」
集中したいのに動揺してしまう。違う意味で鼓動が早くなってくる。
クスという声と共に、集中してくださいという優しい声色と吐息が吹き込まれた。
レイディスは右手で俺の腰を支えてから、杖を握る俺の手に左手を重ねる。
二人分の魔力が、杖の先から魔法陣へ流れ込んでいく――
魔力が重なる感覚は慣れないけれど、レイディスだから……身を委ねても怖くない。
炎がやんだ瞬間に、今度は氷をぶつけていく。
「凍らせろ!」
言の葉を紡ぎ、一気に魔力を放出する。
魔法陣から大量の氷のつぶてが生み出され、熱さで動きがおかしくなっているゴーレムたちを一斉に固めていく。
「モモモっ!」
俺の声を聞いたモモモが巨大化し、生み出された氷のつぶての一部を大きな口を開けて飲み込んでいく。
すると、モモモの身体も俺の魔力を取り入れて氷のように固くなっていく。
「モモモ! やっちゃえー!」
俺を保護し続けてくれているマキーニャが声をあげてモモモを応援すると、モモモは急速に固められたゴーレムに向かって勢いよく突進する。
モモモがゴーレムへぶつかると、パキパキという音を立てて凍らされたゴーレムの氷のかたまりにひびが入っていく。
ひびがゴーレムの身体全体へ広がると、ゴーレムの身体ごとバラバラと氷が崩れる。
コアもひび割れて、ゴーレムは形を保つことができずにサラサラと崩れて砂になっていった。
「モモモ、すごーい!」
「飲み込むだけじゃなくて、体当たりも強いんだな。モモモに任せて良かった」
俺がモモモの活躍を見守っていると、ドラゴンから人間の姿へ戻ったイーラが俺のそばへ戻ってくる。
「おいおい、俺様の活躍をなかったことにしてないか?」
「イーラのことを信頼しているから任せたんだ。発案もイーラだろう?」
俺がイーラのことを褒めると、レイディスが面白くないと言わんばかりに俺の腰を強く抱いてくる。
自然と身体もレイディスに寄り添い、ぴったりとくっついてしまった。
「うまいこと褒めてくれるのはいいが、そこの黒いのはいつまでリーサちゃんの腰を抱いてんだよ」
「抱けるのならば、いつまでもです。リサイル様は私のリサイル様ですので」
イーラとレイディスがにらみあっていると、モモモが全てのゴーレムをくだいて戻ってくる。
後ろで待機してくれていたセルディオス殿下たちからも、感嘆の声がもれる。
俺の隣に来た時にはモモモの大きさも小さくなり、いつもの柔らかいモモモに戻っていた。
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
※未完
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者
完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?
七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。
その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー?
十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。
転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。
どんでん返しからの甘々ハピエンです。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される
木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。