召喚士一族の落ちこぼれ長男なのに、過保護な従者が離してくれません!

楓乃めーぷる

文字の大きさ
74 / 74
第七章 新たな伝説

73.凱旋

 レイディスの微笑みの意味が知りたくてじっと見つめていると、額に唇が落とされる。
 甘い空気に恥ずかしくなっていると、イーラがまたかよと茶々を入れてくる。

「このまま私たちの関係性を見せつけるのも悪くないのではないでしょうか」
「えっ……?」

 俺は関係性と言われてレイディスと恋人のような関係になったことを見せつけるという意味かと思って慌ててしまったのだけれど……ファーがなるほどと両手を合わせて笑顔を向けてくる。

「エディさんと真の契約を結んだ召喚士様……とても素敵だと思います」

 ファーの言葉を受けて、サフィシュが額に手を当てた。
 ……俺もファーの捉え方があっているとは思えないのだけれど、どうなんだろう?
 サフィシュの意見も聞きたくて、視線を向けてみる。

「ここでオレに話を振るのか? ファーの言うような形に見えなくもないが、その場合はエディがドラゴンであると明かすことになるな。強きドラゴンに抱かれた偉大な召喚士……という見立てにするという目論見か?」

 サフィシュは理論立てて説明してくれたけれど、エディはその返答に対して意外と満足そうな雰囲気だ。

「殿下は頭の回転が早いところはいいですね。私とリサイル様のことを気遣う姿勢は褒めて差し上げます。私の意図はそれ以外も勿論含みますが……私がドラゴンであるということを公言するのも意味はあります」

 俺がいいの? という意味を含めた顔をしていたことに気づいたのだろう。
 エディは大丈夫ですよと、俺を安心させるように優しく呟く。

「あなたのことを蔑んだ者たちへ分からせるのです。元々、敢えてサモナード領へ凱旋するのも良いかと考えていました。そうすれば、リサイル様も憂いなくお好きなことができるはずです」

 エディの考えを聞いて、俺は胸のつかえが取れていく気がした。
 関係ない、気にしていないと言い聞かせていたけれど……俺はやっぱり故郷のことがどこか気になっていたんだ。
 だから――

「そうだな。どうせならみんなにも来てもらうか。その方が伝説の召喚士って感じがする」

 俺も悪戯っぽく笑ってみせると、イーラとサフィシュもファーも。笑顔で頷いてくれた。
 そして、召喚獣たちも一緒だと。俺はまたみんなを召喚する。

「あたしたちも頑張ったところをお伝えしなくちゃ!」
「ユー!」
「……モッ」

 俺の心が伝わっているのか、召喚獣のみんなも張り切ってくれていた。
 俺たちが話している間に、魔物たちとの戦いを終えた騎士たちも手を振って近づいてくる。
 彼らも無事だったことに安堵する。

「ねえ、エディ。俺は……伝説の召喚士になれたのか?」
「その答えは、これからすぐに分かりますよ」

 意味深な言葉だったけれど、その答えは意外と早く伝わってくることになる。

 +++

 俺は伝説の召喚士の再来として、ランシュノー王国とルーブロア公国の国民に心から感謝された。
 それは陛下たちを始め、ファーとサフィシュの取り計らいも多くあったのだけれど……両国での出来事はそのまま周辺国にも伝わっていき、サモナード領にも伝わった。

「お前の目論見通りになったな、エディ。我が国に届いた書簡だ」
「リサイル様、目をお通しください」

 今、俺たちはまたルーブロア公国まで戻ってきていた。
 その理由が……これだ。
 渡されたそれにはサモナードの印章があり、俺も中身に目を通す。

 それは、父さんからの直筆の手紙だった。
 サモナード領は大変な罪を犯してしまったということ、そして……偉大なる伝説の召喚士を追放の取り消しと故郷へ戻ってきてほしいという願いが書かれていた。

「オニキルと義母かあさんが逆に追放になるなんて……父さん……」
「リサイル様はあの二人に対しても心を砕かれるのですね。本当にお優しいことです」

 エディは呆れているけれど、それも俺なのだと理解しているのかそれ以上は何も言わなかった。

「お、じゃあついにやるんだな? 例のアレを」
「イーラさん、もっと具体的に言わないと分からないですよ。伝説の召喚士、リサイル様のお披露目です」

 イーラとファーも最近は仲良く話しているようだ。そこにサフィシュも加わるとまた微笑ましい関係性なのだけれど……。
 エディだけは少し遠巻きな気がする。

「何をおっしゃりたいのかは分かりますが。私が寵愛ちょうあいを受け、そして全てを捧げるのはリサイル様だけです」
「……それはすごく良く分かっているけれど、エディも仲良くしてみたらいいのにと思う時はあるってだけだ」

 俺たちが二人で話していると、イーラがニヤニヤしながら俺たちの方へ近づいてくる。

「また内緒話か? お前らはどれだけ好き合ってるんだよ。はあ……俺様はこんなにリーサちゃんを愛してるっていうのによ」
「イーラ……お前も懲りないな。オレはもうかばわないぞ。適度な距離感というのは大切だとオレは学んだからな」
「ふふふ……そうですね。エディさんとリサイルさん。二人は真の契約を交わしたお二人なのですから当然です。でも、わたしたちもそのおそばにいられるというだけで幸せなのですよ?」

 改めて三人に言われるのも恥ずかしい。けれど、俺はすごく幸せだ。
 レッドドラゴンのイーラ、ブルードラゴンのサフィシュ、ホワイトドラゴンのファー。
 そして――黎明れいめい竜。ドーンドラゴンのレイディス。

 四人のドラゴンと三人の召喚獣に囲まれる伝説の召喚士。
 幼いころから夢見たことは、今、全て叶ったのだから――

 <Fin.>
感想 71

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(71件)

夕宮あまね
2025.11.30 夕宮あまね
ネタバレ含む
2025.11.30 楓乃めーぷる

夕宮さん、ご感想ありがとうございます✨️

このお話をお読みいただけたこと、本当に嬉しかったです✨️

レイディスは、どんどん重くなっていったのですが🤣
これからもリサイルは受け入れていくのだと思います😊

愛の封印、またやることもあるかも……?( *´艸`)
ちゅっちゅ😘していそうです😆

悠久に共にな2人なので、永久にイチャイチャしていると思います(笑)

この度はたくさんの応援とご感想をありがとうございました✨️

解除
颯
2025.11.30
ネタバレ含む
2025.11.30 楓乃めーぷる

颯さん、ご感想ありがとうございます✨️

お祝いのお言葉も、ありがとうございます✨️
重い愛の攻め……実はあまり書いたことがない気がします( *´艸`)

執着大好きなのですが、書いていても本当に楽しかったです!
最高のお言葉……! 嬉しいです~!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!"(ノ*>∀<)ノ

解除
こうらい ゆあ
2025.11.30 こうらい ゆあ
ネタバレ含む
2025.11.30 楓乃めーぷる

ゆあさん、お祝いありがとうございます✨️

完結できたよー!😭
良かったよー!

ゆっくりゆっくり、遊びに来てね( *´艸`)
え🦭は、ゆあたんに捧げます✨️

解除

あなたにおすすめの小説

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

30歳まで独身だったので男と結婚することになった

あかべこ
BL
※未完 4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。 キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者

完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。 その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー? 十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。 転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。 どんでん返しからの甘々ハピエンです。

目立たないでと言われても

みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」 ****** 山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって…… 25話で本編完結+番外編4話

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。