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第六章 バグる距離感
51.まだまだお手伝い
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バードも俺が戻ってきたことに気づくと、ニコリと微笑んでくれる。
「ハルさん、ありがとうございます。では、その桶の中でこちらの果物と野菜を洗ってくださいますか?」
「分かった」
バードがもいでいたらしい果物と野菜をいくつか受け取り、ざぶざぶとバケツの中で洗う。
見たことあるような感じもするけど、ニンジンっぽいのに形が丸だとかジャガイモっぽいのに四角に見える。
でも、食べてる感じはそんなに違和感がないから、ゲーム内補正で日本人向けになっているのかもしれない。
だとしたら、かなりありがたい親切設定だよな。
俺は言われた通りに洗った野菜をバードに指示された場所へ置いていく。
ザルの中やまな板の上に次々と野菜と果物が並んでいった。
「これが終わったら?」
「ありがとうございます。次はウィン様と一緒に必要なお皿の準備をお願いします」
「了解」
普段はウィンがバードのことを手伝ってるんだろうな。
ウィンは慣れた感じで最初からバードが必要とする道具を全て準備していた。
バードは手渡した野菜を羽で持った包丁で器用に切っていく。
包丁はバード用の大きさなのに、バードが俺たちの食べやすい大きさに切ってくれてるって何気にすごいかもしれない。
「ハル、その台の下の引き出しにトレーが入ってるから出して」
「分かった」
ウィンに言われた通り、引き出しを開けてトレーを取り出す。
確かにこれはいつも料理が乗っているトレーだ。
「そういえば今作っているのは俺たちの分だってことだけど、バードやウィン。他の精霊たちの分は?」
「心配ない。オレとバードは二人に食事を届けた後にいつも食べてる。他の精霊も自分たちの分は自分たちで用意してる」
「なるほど。でも、俺はここでお手伝いさせてもらってる訳だし。わざわざ運んでもらわなくても、お邪魔じゃなかったらここで食べて後片付けまで手伝っていくよ」
俺がそういうと、二人が同時に俺の方を見る。
何か変なことでも言ったかな? いや、むしろ嬉しそうな感じか?
「ハルさん……お片付けまで申し出てくださるなんて、本当に優しい! お食事はぜひこちらで召し上がっていってください」
「ハルがいいなら、オレたちと一緒に食べる?」
「あ、うん。俺も一緒でよければ」
ウィンが誘ってくれたし、バードも快く食べていっていいと言ってくれたからまんま返事をしたんだけど……二人は何故か羽と手を合わせてハイタッチをする。
「ウィン様、良かったですね!」
「バードも。ハルは最初あんまりご飯を食べてなかったから心配だったけど、食べてくれるなら良かった」
そういうことか。確かに気分が悪かったときわざわざ見に来てくれてたな。
そうだよな。折角作ってくれた料理に手を付けないのって、作ってくれた人からみたら悲しいことだ。
「なんか……ごめん。二人がそこまで食事のことを気にかけてくれてるなんて。軽く思っていたけど、作る側の気持ちを考えてなかったよな」
俺が謝ると、ウィンとバードは同時にふるふると首を振った。
「いえいえ。誰だって食欲がないときはあります。ですから、そのように伝えていただければ大丈夫ですよ」
「それにハルの様子を見に行ったときは食べてた。食べる前と食べた後にお礼も言ってくれてる」
確かにいただきますとごちそうさまは言ってる気がするけど、どうして分かるんだ?
俺が疑問を口にする前に、あっという間にサラダを作り終えたバードが笑いながら俺の方を見る。
「それはですね、料理に関するいいことだけはウィン様のお力でお声を届けていただいてるからなんですよ」
「そんなこともできるんだ」
「風に乗せて声を届ける。ただし、全部の音を拾うことは禁止されてる。だから、安心して」
便利な能力だけど、全部拾われたんじゃプライバシーも何もない。
いわゆる盗聴と変わらなくなるもんな。それを聞いて少しホッとする。
「ウィン様、そろそろかまどに火をお願いします」
「任せて」
俺と話しながらもバードの手は止まっていない。サラダは完成しているし、他の野菜は全て鍋に入ってるみたいだ。
ウィンは頼まれた通りにかまどに火をつけに行く。
「ハルさん、ありがとうございます。では、その桶の中でこちらの果物と野菜を洗ってくださいますか?」
「分かった」
バードがもいでいたらしい果物と野菜をいくつか受け取り、ざぶざぶとバケツの中で洗う。
見たことあるような感じもするけど、ニンジンっぽいのに形が丸だとかジャガイモっぽいのに四角に見える。
でも、食べてる感じはそんなに違和感がないから、ゲーム内補正で日本人向けになっているのかもしれない。
だとしたら、かなりありがたい親切設定だよな。
俺は言われた通りに洗った野菜をバードに指示された場所へ置いていく。
ザルの中やまな板の上に次々と野菜と果物が並んでいった。
「これが終わったら?」
「ありがとうございます。次はウィン様と一緒に必要なお皿の準備をお願いします」
「了解」
普段はウィンがバードのことを手伝ってるんだろうな。
ウィンは慣れた感じで最初からバードが必要とする道具を全て準備していた。
バードは手渡した野菜を羽で持った包丁で器用に切っていく。
包丁はバード用の大きさなのに、バードが俺たちの食べやすい大きさに切ってくれてるって何気にすごいかもしれない。
「ハル、その台の下の引き出しにトレーが入ってるから出して」
「分かった」
ウィンに言われた通り、引き出しを開けてトレーを取り出す。
確かにこれはいつも料理が乗っているトレーだ。
「そういえば今作っているのは俺たちの分だってことだけど、バードやウィン。他の精霊たちの分は?」
「心配ない。オレとバードは二人に食事を届けた後にいつも食べてる。他の精霊も自分たちの分は自分たちで用意してる」
「なるほど。でも、俺はここでお手伝いさせてもらってる訳だし。わざわざ運んでもらわなくても、お邪魔じゃなかったらここで食べて後片付けまで手伝っていくよ」
俺がそういうと、二人が同時に俺の方を見る。
何か変なことでも言ったかな? いや、むしろ嬉しそうな感じか?
「ハルさん……お片付けまで申し出てくださるなんて、本当に優しい! お食事はぜひこちらで召し上がっていってください」
「ハルがいいなら、オレたちと一緒に食べる?」
「あ、うん。俺も一緒でよければ」
ウィンが誘ってくれたし、バードも快く食べていっていいと言ってくれたからまんま返事をしたんだけど……二人は何故か羽と手を合わせてハイタッチをする。
「ウィン様、良かったですね!」
「バードも。ハルは最初あんまりご飯を食べてなかったから心配だったけど、食べてくれるなら良かった」
そういうことか。確かに気分が悪かったときわざわざ見に来てくれてたな。
そうだよな。折角作ってくれた料理に手を付けないのって、作ってくれた人からみたら悲しいことだ。
「なんか……ごめん。二人がそこまで食事のことを気にかけてくれてるなんて。軽く思っていたけど、作る側の気持ちを考えてなかったよな」
俺が謝ると、ウィンとバードは同時にふるふると首を振った。
「いえいえ。誰だって食欲がないときはあります。ですから、そのように伝えていただければ大丈夫ですよ」
「それにハルの様子を見に行ったときは食べてた。食べる前と食べた後にお礼も言ってくれてる」
確かにいただきますとごちそうさまは言ってる気がするけど、どうして分かるんだ?
俺が疑問を口にする前に、あっという間にサラダを作り終えたバードが笑いながら俺の方を見る。
「それはですね、料理に関するいいことだけはウィン様のお力でお声を届けていただいてるからなんですよ」
「そんなこともできるんだ」
「風に乗せて声を届ける。ただし、全部の音を拾うことは禁止されてる。だから、安心して」
便利な能力だけど、全部拾われたんじゃプライバシーも何もない。
いわゆる盗聴と変わらなくなるもんな。それを聞いて少しホッとする。
「ウィン様、そろそろかまどに火をお願いします」
「任せて」
俺と話しながらもバードの手は止まっていない。サラダは完成しているし、他の野菜は全て鍋に入ってるみたいだ。
ウィンは頼まれた通りにかまどに火をつけに行く。
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