62 / 119
第六章 バグる距離感
59.心を切り替えて、お手伝い
しおりを挟む
ラウディのした行為については、精霊使いと精霊の間で行われる行為ということで解決できそうだけど……ラウディが声を発するのはやっぱり深い意味があるってことか?
つまり、内部好感度によるって解釈になるのか……?
「ラウディ様は、ハルさんにどう思われても自分のお心に従うと決めたんです。ですから、ハルさんもハルさんのお気持ちのままでいいんですよぉ」
「でも、俺はラウディを悲しませるかもしれなくて……」
「だとしても、ラウディ様はそれも含めて選択されました。あっしは、ラウディ様がご自分で選択されたことを応援するだけですよぉ。ハルさんも、お心のままに行動してくださいですー」
「モグ……」
俺の決心が揺らぐようなことばかり言われてしまう。
どうせなら、俺がいなくなったら存在ごと最初からなかったことになってしまえばいいのに。
「ハルさんはもっとご自分のことを大事にしてあげてください。それに、ハルさんのことみんな好きだと思いますよぉ。ラウディ様のこと、たくさん考えてくださってるじゃないですかぁ」
「ごめんな、俺は自分のことばっかりだ。正直、迷ってる。でも、モグやみんなに話せることじゃないんだ」
「無理しなくていいんです。もし、ハルさんが話してもいいって思った時は聞かせてくださいねぇ。あっしでよければこうしていつでもお話を聞きますよぉ」
「モグ……ホントにありがとな」
俺は嬉しくてモグに頬擦りしてしまう。
モグはくすぐったいですよぉと言いながらも、俺のことを受け入れてくれた。
認めたくなかったけど、俺はこのラブスピ世界のことが好きになってきているんだ。
世界だけじゃなくて、モグやウルフたち下級精霊。
そして、少し面倒で個性豊かだけど根は優しい精霊たち。
みんなのことが気になっているから、自分でどうしていいか分からなくなりつつある。
それでも、俺は元の世界のことも諦められない。
俺がいるべき世界はここではないから――
「そうだハルさん。ここで会ったのもご縁ですし、あっしのお手伝いをしていただけませんかぁ?」
「もちろん。俺もモグに相談できて安心したし、ぜひ手伝わせてほしい」
「ありがとうございますぅ! では、行きましょうハルさん!」
モグは俺の肩の上にトトトっと走ってきて乗ってくれる。
俺もモグを撫でながら、気持ちを切り替えてモグと一緒にお手伝いの場所へ向かうことにした。
+++
モグが連れてきてくれたのは、一面畑の場所だった。
最初にモグと出会った畑だよな。
「今日はこちらの畑のイモモが収穫できそうなので、お手伝いしていただこうと思いましてー」
「分かった。芋掘りか……子どもの頃にやったけど、うまくできるかな」
「そうなんですねぇ! ハルさんは貴族だと聞いてましたが、珍しいですねぇー。芋掘りの記憶は思い出されたということですかぁ」
「へ? あ、ああ。うん。ええと、ほら慈善活動の一部みたいな」
しまった、ライバルのハルが芋掘りなんてするはずないの忘れてた。
俺の記憶を言ったらダメだよな。
慌てて言い直したけど、モグは信じてくれたみたいだ。
「なるほどですー。貴族の方も大変なんですねぇ。カティさんは確か平民の出身だとお聞きしていましたが、ハルさんはお家のこともありますし……」
そこまで言いかけて、モグは話すことをやめてしまった。
そうだよな。俺はきっと家に帰るだろうと思われてるよな。
「まだ決めてないんだけど……その時が来たらきちんと話す。約束する」
「ハルさん……分かりました! あっしもその時までハルさんのことを全力で応援してますからねぇー!」
「ありがとう。俺もモグのお手伝いを全力で頑張るよ」
俺たちは二人で頷き合って、協力して芋掘りをこなしていった。
結構大量に芋が掘り出せたから、後でバードに渡して美味しい芋料理を……じゃなくて、イモモ料理を作ってもらわないとな。
つまり、内部好感度によるって解釈になるのか……?
「ラウディ様は、ハルさんにどう思われても自分のお心に従うと決めたんです。ですから、ハルさんもハルさんのお気持ちのままでいいんですよぉ」
「でも、俺はラウディを悲しませるかもしれなくて……」
「だとしても、ラウディ様はそれも含めて選択されました。あっしは、ラウディ様がご自分で選択されたことを応援するだけですよぉ。ハルさんも、お心のままに行動してくださいですー」
「モグ……」
俺の決心が揺らぐようなことばかり言われてしまう。
どうせなら、俺がいなくなったら存在ごと最初からなかったことになってしまえばいいのに。
「ハルさんはもっとご自分のことを大事にしてあげてください。それに、ハルさんのことみんな好きだと思いますよぉ。ラウディ様のこと、たくさん考えてくださってるじゃないですかぁ」
「ごめんな、俺は自分のことばっかりだ。正直、迷ってる。でも、モグやみんなに話せることじゃないんだ」
「無理しなくていいんです。もし、ハルさんが話してもいいって思った時は聞かせてくださいねぇ。あっしでよければこうしていつでもお話を聞きますよぉ」
「モグ……ホントにありがとな」
俺は嬉しくてモグに頬擦りしてしまう。
モグはくすぐったいですよぉと言いながらも、俺のことを受け入れてくれた。
認めたくなかったけど、俺はこのラブスピ世界のことが好きになってきているんだ。
世界だけじゃなくて、モグやウルフたち下級精霊。
そして、少し面倒で個性豊かだけど根は優しい精霊たち。
みんなのことが気になっているから、自分でどうしていいか分からなくなりつつある。
それでも、俺は元の世界のことも諦められない。
俺がいるべき世界はここではないから――
「そうだハルさん。ここで会ったのもご縁ですし、あっしのお手伝いをしていただけませんかぁ?」
「もちろん。俺もモグに相談できて安心したし、ぜひ手伝わせてほしい」
「ありがとうございますぅ! では、行きましょうハルさん!」
モグは俺の肩の上にトトトっと走ってきて乗ってくれる。
俺もモグを撫でながら、気持ちを切り替えてモグと一緒にお手伝いの場所へ向かうことにした。
+++
モグが連れてきてくれたのは、一面畑の場所だった。
最初にモグと出会った畑だよな。
「今日はこちらの畑のイモモが収穫できそうなので、お手伝いしていただこうと思いましてー」
「分かった。芋掘りか……子どもの頃にやったけど、うまくできるかな」
「そうなんですねぇ! ハルさんは貴族だと聞いてましたが、珍しいですねぇー。芋掘りの記憶は思い出されたということですかぁ」
「へ? あ、ああ。うん。ええと、ほら慈善活動の一部みたいな」
しまった、ライバルのハルが芋掘りなんてするはずないの忘れてた。
俺の記憶を言ったらダメだよな。
慌てて言い直したけど、モグは信じてくれたみたいだ。
「なるほどですー。貴族の方も大変なんですねぇ。カティさんは確か平民の出身だとお聞きしていましたが、ハルさんはお家のこともありますし……」
そこまで言いかけて、モグは話すことをやめてしまった。
そうだよな。俺はきっと家に帰るだろうと思われてるよな。
「まだ決めてないんだけど……その時が来たらきちんと話す。約束する」
「ハルさん……分かりました! あっしもその時までハルさんのことを全力で応援してますからねぇー!」
「ありがとう。俺もモグのお手伝いを全力で頑張るよ」
俺たちは二人で頷き合って、協力して芋掘りをこなしていった。
結構大量に芋が掘り出せたから、後でバードに渡して美味しい芋料理を……じゃなくて、イモモ料理を作ってもらわないとな。
479
あなたにおすすめの小説
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる