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第七章 限界突破のその先は?
63.真っ白な空間
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気が付くと俺は真っ白な空間の中でふわりと浮いていた。
今度こそ、本当に死んじゃったとか?
無理しちゃったもんな。
いくらゲームの世界とはいえ、雨の中ずぶ濡れになって倒れたとしたら……低体温症とかになってそのまま……なんてな。
はあ、まだやりたいこともたくさんあったのにな。
今更後悔しても遅いんだけど……。
「ん……アレ? あそこにあるのは光? なんだろう、行ってみるか」
俺は身体を動かすことができるらしい。見えてきた光に向かって泳ぐように進んでいくと光がわっと広がって俺の身体を包んでいく。
急に眩しくなって、何も見えなくなってしまう。
「なんだ? この光……眩しすぎて……」
目を瞑っていると、だんだん光が弱くなってきたことが分かる。
俺は、おそるおそる目を開けてみることにした。
「ん……ここは?」
目を開けると、俺はベッドに寝かされているのが分かる。
鼻をつくのは独特な消毒液の香り。
そして、白い病室……?
まだ少しぼんやりとしているけど、ここはどうみても病院に見える。
「んー……え……うそ、目、開いた? 起きたの……?」
ベッドの脇から声が聞こえた。高めの声だけど、カティじゃない。昔から聞きなじみのある声だ。
「もしかして、哩夢?」
「おに……おにいーちゃ……起きた、起きたよぉ……」
「は? おま、なんで泣いて……」
「だって、だってぇ……おにいちゃ、ずっと寝てて……起きなくて……げいん、わからなっ……」
哩夢は泣きじゃくってて、話が分からない。
俺もさっぱり話が分からないけど、ここはどうやら俺が元いた世界ってことだよな?
で、夢じゃなさそうだし。帰ってきたってことか。
「ごめん、ごめんな? 俺は大丈夫だから。話、聞かせてくれるか?」
身体を起こして哩夢の背中をさすってやると、哩夢は何度も頷いて必死に涙を拭きながら俺に説明を始めてくれた。
俺はやっぱりゲームをしていたことまでは間違いなかった。
ただ、哩夢が帰宅した時には机に伏せたまま眠っていたらしい。
しかも、眠ったままいくら揺すっても起きず焦った哩夢が友達に相談したとのことだった。
両親はちょうど海外出張に行っていて、二人とも携帯の電波の届かない地域での仕事をすることになっていたのだ。
だから、連絡が取ることができず今日まで哩夢と親戚のおばさんが色々と手続きをしてくれたらしい。
「お兄ちゃんはどこも悪くないってお医者さんが言ってたの。だけど……眠り続けて意識だけが戻らないって。このまま寝たきりになるかもしれないって……」
「で、父さんと母さんには連絡は取れたか?」
「メールを送ってたんだけど、さっきやっと連絡が来たの。でも、お兄ちゃんはどうせくだらないゲームをやりすぎて妙な病気にでもなったんだろうって。お金は送るから放っておけって言うの」
あー……だよな。分かってた。
どうせ、そんな反応しかしないって。哩夢じゃなくて良かったってヤツだよな。
俺がため息を吐くと、哩夢はガタンと音を立てて立ち上がり俺を思い切り抱きしめてきた。
「ヒドイ……ヒドイよ! だからね、言ってやったの。お兄ちゃんは今まで哩夢がしてきたことを全部庇ってくれてたんだって。悪かったのは哩夢なんだって」
「は? お前、父さんと母さんに可愛がられたいんじゃないの?」
「それは……おこづかいが欲しかったからだけど。でも、哩夢はお兄ちゃんのことは鈍感受けちゃんみたいで好きなの!」
「はあ? おい、受けちゃんとか言うな! お前の妄想に俺を巻き込むとか……」
哩夢は俺のことが好きだったって? そんなの全く気付かなかった。
いつも俺の前でツンツンしてたし、なんか偉そうだったけど……まさか?
「お兄ちゃんを見てると、お兄ちゃんに相応しい攻め様のことを考えちゃうから……それ言ったら怒るでしょ? だからあんまり関わらない方がいいのかなって」
色々衝撃的すぎるのは気のせいか? まさか妹にまで腐った目線で見られてたとは……。
なんだよ、鈍感受けちゃんってのは。
ただでさえ色々パニクってるってのに。とりあえず、哩夢を落ち着かせるのが先かもしれないな。
今度こそ、本当に死んじゃったとか?
無理しちゃったもんな。
いくらゲームの世界とはいえ、雨の中ずぶ濡れになって倒れたとしたら……低体温症とかになってそのまま……なんてな。
はあ、まだやりたいこともたくさんあったのにな。
今更後悔しても遅いんだけど……。
「ん……アレ? あそこにあるのは光? なんだろう、行ってみるか」
俺は身体を動かすことができるらしい。見えてきた光に向かって泳ぐように進んでいくと光がわっと広がって俺の身体を包んでいく。
急に眩しくなって、何も見えなくなってしまう。
「なんだ? この光……眩しすぎて……」
目を瞑っていると、だんだん光が弱くなってきたことが分かる。
俺は、おそるおそる目を開けてみることにした。
「ん……ここは?」
目を開けると、俺はベッドに寝かされているのが分かる。
鼻をつくのは独特な消毒液の香り。
そして、白い病室……?
まだ少しぼんやりとしているけど、ここはどうみても病院に見える。
「んー……え……うそ、目、開いた? 起きたの……?」
ベッドの脇から声が聞こえた。高めの声だけど、カティじゃない。昔から聞きなじみのある声だ。
「もしかして、哩夢?」
「おに……おにいーちゃ……起きた、起きたよぉ……」
「は? おま、なんで泣いて……」
「だって、だってぇ……おにいちゃ、ずっと寝てて……起きなくて……げいん、わからなっ……」
哩夢は泣きじゃくってて、話が分からない。
俺もさっぱり話が分からないけど、ここはどうやら俺が元いた世界ってことだよな?
で、夢じゃなさそうだし。帰ってきたってことか。
「ごめん、ごめんな? 俺は大丈夫だから。話、聞かせてくれるか?」
身体を起こして哩夢の背中をさすってやると、哩夢は何度も頷いて必死に涙を拭きながら俺に説明を始めてくれた。
俺はやっぱりゲームをしていたことまでは間違いなかった。
ただ、哩夢が帰宅した時には机に伏せたまま眠っていたらしい。
しかも、眠ったままいくら揺すっても起きず焦った哩夢が友達に相談したとのことだった。
両親はちょうど海外出張に行っていて、二人とも携帯の電波の届かない地域での仕事をすることになっていたのだ。
だから、連絡が取ることができず今日まで哩夢と親戚のおばさんが色々と手続きをしてくれたらしい。
「お兄ちゃんはどこも悪くないってお医者さんが言ってたの。だけど……眠り続けて意識だけが戻らないって。このまま寝たきりになるかもしれないって……」
「で、父さんと母さんには連絡は取れたか?」
「メールを送ってたんだけど、さっきやっと連絡が来たの。でも、お兄ちゃんはどうせくだらないゲームをやりすぎて妙な病気にでもなったんだろうって。お金は送るから放っておけって言うの」
あー……だよな。分かってた。
どうせ、そんな反応しかしないって。哩夢じゃなくて良かったってヤツだよな。
俺がため息を吐くと、哩夢はガタンと音を立てて立ち上がり俺を思い切り抱きしめてきた。
「ヒドイ……ヒドイよ! だからね、言ってやったの。お兄ちゃんは今まで哩夢がしてきたことを全部庇ってくれてたんだって。悪かったのは哩夢なんだって」
「は? お前、父さんと母さんに可愛がられたいんじゃないの?」
「それは……おこづかいが欲しかったからだけど。でも、哩夢はお兄ちゃんのことは鈍感受けちゃんみたいで好きなの!」
「はあ? おい、受けちゃんとか言うな! お前の妄想に俺を巻き込むとか……」
哩夢は俺のことが好きだったって? そんなの全く気付かなかった。
いつも俺の前でツンツンしてたし、なんか偉そうだったけど……まさか?
「お兄ちゃんを見てると、お兄ちゃんに相応しい攻め様のことを考えちゃうから……それ言ったら怒るでしょ? だからあんまり関わらない方がいいのかなって」
色々衝撃的すぎるのは気のせいか? まさか妹にまで腐った目線で見られてたとは……。
なんだよ、鈍感受けちゃんってのは。
ただでさえ色々パニクってるってのに。とりあえず、哩夢を落ち着かせるのが先かもしれないな。
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