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第七章 限界突破のその先は?
65.妹との約束
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哩夢は俺の表情を見て、何かを察したらしい。
また泣きそうになりながら、俺の腕を握ってくる。
「お兄ちゃんが言おうとしてること、分かる。お兄ちゃん、ゲームに関しては完璧主義者だから、このまま中途半端にできないんでしょ?」
「哩夢……俺さ、お前にもいいように使われるし両親にもどうでもいいって思われてるんだろうなって分かってたからさ。ラブスピのみんなが優しくしてくれて嬉しかったんだ」
「お兄ちゃん……」
「でも、哩夢のことは誤解だった。だけど、俺はラブスピ世界のことも放っておけないんだ。ラウディのこと、悲しませたくないんだよ」
苦笑してみせると、妹は泣きそうになりながら妙な表情へ変わる。
なんだか……期待しているような表情だ。
「お兄ちゃんがまさか、哩夢の推し様と良い関係に? ラウディかけるハル?」
「おい、兄貴で掛け算をするなって! いや、そういえばラブスピって……」
「だって、ラブスピはそれがウリだもん。えっちなシーン自体はないけど、ラブラブにはなれる! いいなぁ、ラウディ様とかぁー」
妹の目が完全に腐女子なんだが……さっきまで泣きそうになってた癖に元気になりやがって。
まあ、その方が哩夢らしいのかもしれないな。
「色々疑問はあるけど、修正まで入ったってことは逆にラブスピ世界へ戻れる可能性もあるってことだよな」
「うん。本当は側にいて欲しいけど……異世界転移なら、行き来できるってことだよね。なら、哩夢はラウディ様をこの目で見てみたい。お兄ちゃん、頑張ってラウディ様を連れてきて!」
「あのなあ。言っとくけど、これが本当に俺の妄想だったらどうするんだよ……俺は信じて欲しいけどさ」
「信じてなかったら、お兄ちゃんのこと止めてたって。その代わり、哩夢に推しとお兄ちゃんのマンガ描かせてよね」
哩夢はそういうと、俺に自分のゲーム機を手渡してきた。
手渡されたところで、どうやって戻れるのかも分からないけど……俺は寝ている状態でラブスピの世界へ入り込んだんだよな。
そして、ラブスピの世界でも意識を失ってこっちの現実世界へ戻ってきた。
ということは、おそらく意識を失うということがトリガーになる気がする。
「哩夢、俺のセーブデータは見当たらないんだよな?」
「哩夢が見たときはなかったんだけど……お兄ちゃんが始めたらあるかもしれないし……あ、もしかしたら」
哩夢はそう言って、ゲーム機の課金サービスでもあるセーブデータお預かりサービスを指さした。
なるほど、本体データは消えたとしてもお預かりサービスに残っている可能性はあるな。
「お預かりサービスにあれば、データを引っ張ってこれるよな。ちょっと見せてもらうぞ」
「うん。必死すぎて続きからがなかったことに驚いて、最初からを選んでラブスピを始めちゃった」
「哩夢まで転移しなくて良かったよ。ゲームしながら眠ると危ないかもしれないから、お前は絶対に寝るなよ」
「お兄ちゃんとは違うから寝たりしないって」
喋りながらデータを探すと、俺が始めた日付のラブスピのデータが残っていた。
これで、ラブスピを再開できそうだ。
俺は続きからを選び、カティのデータでゲームを再開する。
「哩夢、心配かけてごめんな。だけど……俺はラブスピをきちんとクリアしたい。絶対に戻る方法を見つけてくるから待っててくれ」
「うん。お兄ちゃんのゲームの腕は信じてる。いつも絶対に完璧にクリアしてくれるから。それに……このことは哩夢とお兄ちゃんとの内緒ってことでしょ」
「ああ。マンガは……俺というかハルミリオンで描くなら……許す」
「ハルもハルミリオンもそっくりなんですけどー? まあ、いっか。お兄ちゃん、行ってらっしゃい」
哩夢が笑顔で俺に手を振る。
俺はその笑顔にぎこちなく笑って返すと、早速ゲーム画面を覗き込む。
映し出された場面は……嵐の後の場面みたいだ。
画面をのぞき込んでボタンに触れると、何故か急な眠気に襲ってくる。
哩夢が眠そうな俺に気づいて、身体を優しくベッドへ寝かせてくれた。
「信じてるから……ゲームをクリアして、必ず帰ってきてね。お兄ちゃん」
哩夢の言葉が遠くで聞こえたのを最後に、俺の意識は眠りに引き込まれていった。
また泣きそうになりながら、俺の腕を握ってくる。
「お兄ちゃんが言おうとしてること、分かる。お兄ちゃん、ゲームに関しては完璧主義者だから、このまま中途半端にできないんでしょ?」
「哩夢……俺さ、お前にもいいように使われるし両親にもどうでもいいって思われてるんだろうなって分かってたからさ。ラブスピのみんなが優しくしてくれて嬉しかったんだ」
「お兄ちゃん……」
「でも、哩夢のことは誤解だった。だけど、俺はラブスピ世界のことも放っておけないんだ。ラウディのこと、悲しませたくないんだよ」
苦笑してみせると、妹は泣きそうになりながら妙な表情へ変わる。
なんだか……期待しているような表情だ。
「お兄ちゃんがまさか、哩夢の推し様と良い関係に? ラウディかけるハル?」
「おい、兄貴で掛け算をするなって! いや、そういえばラブスピって……」
「だって、ラブスピはそれがウリだもん。えっちなシーン自体はないけど、ラブラブにはなれる! いいなぁ、ラウディ様とかぁー」
妹の目が完全に腐女子なんだが……さっきまで泣きそうになってた癖に元気になりやがって。
まあ、その方が哩夢らしいのかもしれないな。
「色々疑問はあるけど、修正まで入ったってことは逆にラブスピ世界へ戻れる可能性もあるってことだよな」
「うん。本当は側にいて欲しいけど……異世界転移なら、行き来できるってことだよね。なら、哩夢はラウディ様をこの目で見てみたい。お兄ちゃん、頑張ってラウディ様を連れてきて!」
「あのなあ。言っとくけど、これが本当に俺の妄想だったらどうするんだよ……俺は信じて欲しいけどさ」
「信じてなかったら、お兄ちゃんのこと止めてたって。その代わり、哩夢に推しとお兄ちゃんのマンガ描かせてよね」
哩夢はそういうと、俺に自分のゲーム機を手渡してきた。
手渡されたところで、どうやって戻れるのかも分からないけど……俺は寝ている状態でラブスピの世界へ入り込んだんだよな。
そして、ラブスピの世界でも意識を失ってこっちの現実世界へ戻ってきた。
ということは、おそらく意識を失うということがトリガーになる気がする。
「哩夢、俺のセーブデータは見当たらないんだよな?」
「哩夢が見たときはなかったんだけど……お兄ちゃんが始めたらあるかもしれないし……あ、もしかしたら」
哩夢はそう言って、ゲーム機の課金サービスでもあるセーブデータお預かりサービスを指さした。
なるほど、本体データは消えたとしてもお預かりサービスに残っている可能性はあるな。
「お預かりサービスにあれば、データを引っ張ってこれるよな。ちょっと見せてもらうぞ」
「うん。必死すぎて続きからがなかったことに驚いて、最初からを選んでラブスピを始めちゃった」
「哩夢まで転移しなくて良かったよ。ゲームしながら眠ると危ないかもしれないから、お前は絶対に寝るなよ」
「お兄ちゃんとは違うから寝たりしないって」
喋りながらデータを探すと、俺が始めた日付のラブスピのデータが残っていた。
これで、ラブスピを再開できそうだ。
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「哩夢、心配かけてごめんな。だけど……俺はラブスピをきちんとクリアしたい。絶対に戻る方法を見つけてくるから待っててくれ」
「うん。お兄ちゃんのゲームの腕は信じてる。いつも絶対に完璧にクリアしてくれるから。それに……このことは哩夢とお兄ちゃんとの内緒ってことでしょ」
「ああ。マンガは……俺というかハルミリオンで描くなら……許す」
「ハルもハルミリオンもそっくりなんですけどー? まあ、いっか。お兄ちゃん、行ってらっしゃい」
哩夢が笑顔で俺に手を振る。
俺はその笑顔にぎこちなく笑って返すと、早速ゲーム画面を覗き込む。
映し出された場面は……嵐の後の場面みたいだ。
画面をのぞき込んでボタンに触れると、何故か急な眠気に襲ってくる。
哩夢が眠そうな俺に気づいて、身体を優しくベッドへ寝かせてくれた。
「信じてるから……ゲームをクリアして、必ず帰ってきてね。お兄ちゃん」
哩夢の言葉が遠くで聞こえたのを最後に、俺の意識は眠りに引き込まれていった。
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