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第七章 限界突破のその先は?
71.良い関係性
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ヴォルカングは今まで俺のことをずっと敵視していた。それはゲーム的にも仕方ないところもあると思う。
主人公とライバル、しかもライバルであるハルは最初から精霊たちとの好感度が最低ランクだ。
だけど、俺がハルミリオンと変わってから何故か他の精霊たちとの内部好感度が変化してしまった。
ヴォルカングは俺に影響を受けず、ただカティのことが好きだっただけだ。
俺はヴォルカングの気持ちに対して、特に何も思っていない。
さすがに炎を投げられた時は怖かったけど……それはそれだ。
「周りがハルに対しての態度を変えてるなとは俺っちも何となく気づいてたんだ。だけど……それはハルの悪だくみで、油断させたところでカティに嫌がらせをするんじゃないかと警戒してた」
ヴォルカングから見れば、俺はカティへ害を及ぼす存在だ。
ハルミリオンが嫌がらせをしていたのは事実だし、俺は嫌がらせの内容を知らないけどハルである以上敵視されるのは当然だろうと思っていた。
だから、嫌われようとどうも感じていなかった。
「でも、ハルは嵐が来てるってのに一人で必死に恵みの樹を守ろうとしてた。今のハルが育成に真っすぐ向き合ってるのを精霊として認めないのはおかしいよな」
「ヴォルカング様……」
「ハル、俺っちの感情が爆発したとはいえ炎をぶつけようとして悪かった。あれは精霊としてやっちゃいけない行為だった。だから、俺っちはお前の育成の姿勢を認める」
ヴォルカングが言い切ると、ウルフがもう一度尻尾でぺちりとヴォルカングを叩く。
まだツッコミどころがあるのだろうか?
「主……もう少し素直に伝えられないのか? 頑張っているハルに敬意を表するとか」
「けいい……?」
「あー……そうだった。主の頭はイマイチだったのを忘れていた。という訳だ、ハル。これからはオレも堂々とハルと会えるな」
ウルフは嬉しそうに吠えて笑ってくれたけど、隣のヴォルカングは不服そうだ。
誰がイマイチだ……とかぶつぶつぼやいてるのが聞こえてきて、思わず俺もつられて笑ってしまった。
「主はアウレリオル様に長く説教を受けたのでな。これでも大分反省したんだ。どうか、許してやってほしい」
ウルフは笑ったあとに真面目に頭を下げてきたので、俺も慌てて首を振る。
ヴォルカングも困ったようにペコっと頭を下げたので、頭をあげてくださいと必死に伝えた。
「俺のことを無理に受け入れる必要はありません。ヴォルカング様はヴォルカング様のままでいいんですよ。カティのことを大切にしてやってください」
「ハル……分かった。俺っちはカティを応援し続ける。お前には負けないからな」
「はい。望むところです」
こういう分かりやすいやり取りの方が、ヴォルカングらしくていい気がする。
ごちゃごちゃ考えるより、正々堂々とライバルとして向き合う形がお互いにとって良さそうだ。
ウルフも頷いてから、俺に身体を寄せてくれた。
「そういうことなら、オレはハルの味方だ。主に遠慮なくハルを応援するぞ」
「おい、ウルフ! お前なぁー。ったく……俺っちの下級精霊ってことをいつも忘れてるだろ?」
「フン。主のことは下級精霊として敬っているつもりだ。だからこそ、間違った方向へ行かないようにしているつもりだ」
「ウルフはしっかり者の兄貴分だもんな。でも、ヴォルカング様の素直な部分は……俺も羨ましいと思ってますよ」
俺が笑いかけると、ヴォルカングは困ったようにそっぽを向いてしまった。
なんというか、全てがストレートでホント分かりやすいんだよな。
怒りも喜びも、嘘なくぶつけてくれるのは悪くない。
俺は言いたいことをずっと我慢してきたから、ヴォルカングの素直さは逆に羨ましいくらいだ。
「それだけ言いに来た。じゃあ、無理すんなよ」
「はい。あ……俺に力を送ってくださってありがとうございました」
「良かったな、主。ハルがお礼を言ってくれたぞ」
ウルフがからかうと、ヴォルカングは気にするなと呟いて背中を向けて行ってしまった。
俺はウルフを最後にもう一度抱きしめてから、手を振って二人を見送った。
主人公とライバル、しかもライバルであるハルは最初から精霊たちとの好感度が最低ランクだ。
だけど、俺がハルミリオンと変わってから何故か他の精霊たちとの内部好感度が変化してしまった。
ヴォルカングは俺に影響を受けず、ただカティのことが好きだっただけだ。
俺はヴォルカングの気持ちに対して、特に何も思っていない。
さすがに炎を投げられた時は怖かったけど……それはそれだ。
「周りがハルに対しての態度を変えてるなとは俺っちも何となく気づいてたんだ。だけど……それはハルの悪だくみで、油断させたところでカティに嫌がらせをするんじゃないかと警戒してた」
ヴォルカングから見れば、俺はカティへ害を及ぼす存在だ。
ハルミリオンが嫌がらせをしていたのは事実だし、俺は嫌がらせの内容を知らないけどハルである以上敵視されるのは当然だろうと思っていた。
だから、嫌われようとどうも感じていなかった。
「でも、ハルは嵐が来てるってのに一人で必死に恵みの樹を守ろうとしてた。今のハルが育成に真っすぐ向き合ってるのを精霊として認めないのはおかしいよな」
「ヴォルカング様……」
「ハル、俺っちの感情が爆発したとはいえ炎をぶつけようとして悪かった。あれは精霊としてやっちゃいけない行為だった。だから、俺っちはお前の育成の姿勢を認める」
ヴォルカングが言い切ると、ウルフがもう一度尻尾でぺちりとヴォルカングを叩く。
まだツッコミどころがあるのだろうか?
「主……もう少し素直に伝えられないのか? 頑張っているハルに敬意を表するとか」
「けいい……?」
「あー……そうだった。主の頭はイマイチだったのを忘れていた。という訳だ、ハル。これからはオレも堂々とハルと会えるな」
ウルフは嬉しそうに吠えて笑ってくれたけど、隣のヴォルカングは不服そうだ。
誰がイマイチだ……とかぶつぶつぼやいてるのが聞こえてきて、思わず俺もつられて笑ってしまった。
「主はアウレリオル様に長く説教を受けたのでな。これでも大分反省したんだ。どうか、許してやってほしい」
ウルフは笑ったあとに真面目に頭を下げてきたので、俺も慌てて首を振る。
ヴォルカングも困ったようにペコっと頭を下げたので、頭をあげてくださいと必死に伝えた。
「俺のことを無理に受け入れる必要はありません。ヴォルカング様はヴォルカング様のままでいいんですよ。カティのことを大切にしてやってください」
「ハル……分かった。俺っちはカティを応援し続ける。お前には負けないからな」
「はい。望むところです」
こういう分かりやすいやり取りの方が、ヴォルカングらしくていい気がする。
ごちゃごちゃ考えるより、正々堂々とライバルとして向き合う形がお互いにとって良さそうだ。
ウルフも頷いてから、俺に身体を寄せてくれた。
「そういうことなら、オレはハルの味方だ。主に遠慮なくハルを応援するぞ」
「おい、ウルフ! お前なぁー。ったく……俺っちの下級精霊ってことをいつも忘れてるだろ?」
「フン。主のことは下級精霊として敬っているつもりだ。だからこそ、間違った方向へ行かないようにしているつもりだ」
「ウルフはしっかり者の兄貴分だもんな。でも、ヴォルカング様の素直な部分は……俺も羨ましいと思ってますよ」
俺が笑いかけると、ヴォルカングは困ったようにそっぽを向いてしまった。
なんというか、全てがストレートでホント分かりやすいんだよな。
怒りも喜びも、嘘なくぶつけてくれるのは悪くない。
俺は言いたいことをずっと我慢してきたから、ヴォルカングの素直さは逆に羨ましいくらいだ。
「それだけ言いに来た。じゃあ、無理すんなよ」
「はい。あ……俺に力を送ってくださってありがとうございました」
「良かったな、主。ハルがお礼を言ってくれたぞ」
ウルフがからかうと、ヴォルカングは気にするなと呟いて背中を向けて行ってしまった。
俺はウルフを最後にもう一度抱きしめてから、手を振って二人を見送った。
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