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第八章 真のハッピーエンディングを目指して
85.アビスヘイヴン
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ラウディの応援もあって、俺は無事に王様への最終報告日と恵みの樹になる実をみんなに食べてもらう収穫祭へ向かうことになった。
カティと俺は恵みの樹の前に立つ。
「二人の精霊使いの卵よ、恵みの樹に向かって手をかざせ。さすれば、恵みの樹はそなたらの手に収まる。それを持って人間界へ行くのだ」
アウレリオルの言う通りに俺とカティが各々の恵みの樹に向かって手をかざすと、まばゆい光が溢れ出す。
恵みの樹は輝きながら少しずつ姿を変えていき、俺たちの手の中で透明な球体の中へ収まった。
「この球体をアビスヘイヴンの地へ置けば、たちまち根付いて実を付けるだろう。ここまでよくやった。どちらが選ばれても、胸を張っていい出来だと我は思う」
「カティ……! 自信を持って行ってこい!」
「ありがとう、ルカン! 行ってきます!」
ルカンがカティに手を振ると、カティも笑顔で手を振り返す。
俺も精霊たちを見ると、皆それぞれの笑顔で送り出してくれていることが分かる。
ラウディも、心配そうな表情の中に俺への熱い想いがあることが分かる。
行ってきますの意味を込めて手を振ると、ラウディも手を振り返してくれた。
「じゃあ、ハル。行こう」
「ああ」
神殿の奥へ進み、二人で祈りを捧げる。
俺はゲームの中でしか見ていないイベントだけど、実際祈りを捧げることで人間界と精霊界を行き来できる。
祈りを捧げると、辺りが光に包まれて同じ神殿へ辿り着いた。
「神殿から出たら、王様たちがいるはずだよ」
「そうだな。行こう」
俺たちはやや緊張しながら神殿の外へ足を踏み出す。すると、迎えの兵士と王様の姿が見えた。
兵士はいかにもといった全身鎧を着込んだ男性だ。
王様はと言うと、頭にちょんと王冠を載せていて高そうな布で作られた豪華な服を着込んでいる。
それにふわふわが付いたマントを身にまとい、髭を生やしたいかにも王様といったお顔だ。
王様は大鏡で見ていたから、まんまの姿なんだけどな。
辺りを見回すと精霊界エーテルヴェールとは違い、荒廃した大地が目の前に広がっていた。
ここが、人間界のアビスヘイヴンってことか。
実際目にすると、とても人が住めるような環境ではないことが分かる。
「リュカティオ・フェアチャイル、ハルミリオン・エヴァーグレイブ。二人の精霊使いの卵よ、よくぞ戻ってきた」
「ただいま戻りました」
「陛下にご挨拶申し上げます」
こういう挨拶ってどういうか忘れてたから、普通に挨拶するしかなかった。
なんちゃらの太陽とか、分かんないしなぁ……王様の名前もうろ覚えだし。
「うむ、今日はめでたい日だ。堅苦しい挨拶は抜きにしよう。さあ、二人の恵みの樹をこのアビスヘイヴンへ根付かせてくれ」
王様が持っていた杖? を振って合図を送ってくる。
俺たちは球体に収まっている恵みの樹をそっと大地へ置いた。
「おお……光が……」
兵士の一人が呟いたのと同時に辺りが光に包まれていく。
すると、あっという間に恵みの樹が姿を取り戻して荒れた大地に根付いていく。
「すごい……見て! 恵みの樹が生えたところから緑が広がっていく!」
カティが興奮気味に指さした先を見ると、確かに俺たちの恵みの樹の側から一面にバーっと緑が広がっていく。
荒廃していた大地は緑一色に切り替わり、恵みの樹はぐんぐんと背を伸ばすといくつもの実を付けていった。
「あれが、恵みの樹になるっていう実だな」
「うん! ボクの実とハルの実の見た目も違うんだね」
俺たちが光景に目を奪われていると、コホンと王様が咳払いをする。
そういえば、王様をほったらかしにしていたのを忘れていた。
「さて、これで収穫祭の準備は整った。これから我らと民代表にカティとハルの実をそれぞれ食べてもらおうと思う。そして、どちらが食を満たし、幸福を授けることができるのか決めてもらう」
王様の言葉に俺たちは顔を合わせて、同時に頷いた。
ここからが、本番だ。
カティと俺は恵みの樹の前に立つ。
「二人の精霊使いの卵よ、恵みの樹に向かって手をかざせ。さすれば、恵みの樹はそなたらの手に収まる。それを持って人間界へ行くのだ」
アウレリオルの言う通りに俺とカティが各々の恵みの樹に向かって手をかざすと、まばゆい光が溢れ出す。
恵みの樹は輝きながら少しずつ姿を変えていき、俺たちの手の中で透明な球体の中へ収まった。
「この球体をアビスヘイヴンの地へ置けば、たちまち根付いて実を付けるだろう。ここまでよくやった。どちらが選ばれても、胸を張っていい出来だと我は思う」
「カティ……! 自信を持って行ってこい!」
「ありがとう、ルカン! 行ってきます!」
ルカンがカティに手を振ると、カティも笑顔で手を振り返す。
俺も精霊たちを見ると、皆それぞれの笑顔で送り出してくれていることが分かる。
ラウディも、心配そうな表情の中に俺への熱い想いがあることが分かる。
行ってきますの意味を込めて手を振ると、ラウディも手を振り返してくれた。
「じゃあ、ハル。行こう」
「ああ」
神殿の奥へ進み、二人で祈りを捧げる。
俺はゲームの中でしか見ていないイベントだけど、実際祈りを捧げることで人間界と精霊界を行き来できる。
祈りを捧げると、辺りが光に包まれて同じ神殿へ辿り着いた。
「神殿から出たら、王様たちがいるはずだよ」
「そうだな。行こう」
俺たちはやや緊張しながら神殿の外へ足を踏み出す。すると、迎えの兵士と王様の姿が見えた。
兵士はいかにもといった全身鎧を着込んだ男性だ。
王様はと言うと、頭にちょんと王冠を載せていて高そうな布で作られた豪華な服を着込んでいる。
それにふわふわが付いたマントを身にまとい、髭を生やしたいかにも王様といったお顔だ。
王様は大鏡で見ていたから、まんまの姿なんだけどな。
辺りを見回すと精霊界エーテルヴェールとは違い、荒廃した大地が目の前に広がっていた。
ここが、人間界のアビスヘイヴンってことか。
実際目にすると、とても人が住めるような環境ではないことが分かる。
「リュカティオ・フェアチャイル、ハルミリオン・エヴァーグレイブ。二人の精霊使いの卵よ、よくぞ戻ってきた」
「ただいま戻りました」
「陛下にご挨拶申し上げます」
こういう挨拶ってどういうか忘れてたから、普通に挨拶するしかなかった。
なんちゃらの太陽とか、分かんないしなぁ……王様の名前もうろ覚えだし。
「うむ、今日はめでたい日だ。堅苦しい挨拶は抜きにしよう。さあ、二人の恵みの樹をこのアビスヘイヴンへ根付かせてくれ」
王様が持っていた杖? を振って合図を送ってくる。
俺たちは球体に収まっている恵みの樹をそっと大地へ置いた。
「おお……光が……」
兵士の一人が呟いたのと同時に辺りが光に包まれていく。
すると、あっという間に恵みの樹が姿を取り戻して荒れた大地に根付いていく。
「すごい……見て! 恵みの樹が生えたところから緑が広がっていく!」
カティが興奮気味に指さした先を見ると、確かに俺たちの恵みの樹の側から一面にバーっと緑が広がっていく。
荒廃していた大地は緑一色に切り替わり、恵みの樹はぐんぐんと背を伸ばすといくつもの実を付けていった。
「あれが、恵みの樹になるっていう実だな」
「うん! ボクの実とハルの実の見た目も違うんだね」
俺たちが光景に目を奪われていると、コホンと王様が咳払いをする。
そういえば、王様をほったらかしにしていたのを忘れていた。
「さて、これで収穫祭の準備は整った。これから我らと民代表にカティとハルの実をそれぞれ食べてもらおうと思う。そして、どちらが食を満たし、幸福を授けることができるのか決めてもらう」
王様の言葉に俺たちは顔を合わせて、同時に頷いた。
ここからが、本番だ。
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