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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
125.祭りの夜に
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「随分はしゃいでんなぁ。珍しく」
「周りにつられちゃいますよ。皆、とても楽しそうだから。ね、師匠。今度はこっちのお店も見ましょう?」
「まぁ、楽しまないと損だしな」
素直に楽しむレイヴンはやっぱいいな。
いろんなものから開放されて、年相応のガキっぽくて。
このくらいが丁度いいんだよな。
食べ物の屋台を一通り見てから、今度は手作りのアクセサリーの屋台の前で足が止まる。
「これ、彫りが丁寧で素敵ですね。女性がもらったら喜びそうな髪留めとかありますよ?」
「髪留めって……誰がするんだよ」
「師匠だったら髪の毛長いし、買っても無駄になりませんよ?」
「似合わねぇだろ、そもそも」
今だって適当に結ってるが、何となく伸びたのを放置してるだけだしな。
切り揃えるっつーのも気が進まねぇから、微妙な長さのままだ。
二人で話していると、出店している若造が笑って声を掛けてきた。
「誰かと思ったらテオドール様とレイヴン様でしたか。ウチは普段武器を作っているのですが、祭りの時はアクセサリーも出してるんです。細工物でしたらブレスレットとかどうです? この窪みにはあとで魔石も入れられるようにしてありますし」
「確かに、蔦と葉の模様が上品ですね。素材も軽いし普段遣いでも魔石を入れれば魔法使い的にも良い品かもしれません」
「この細いのはお前にピッタリだろうけど、俺の腕じゃ入らねぇぞ?」
「いや、なんで同じの買おうとしてるんですか……」
「そりゃあ、こういうのは同じの買うんじゃねぇの? お揃いだろ?」
俺の言い分が気に食わねぇのかレイヴンがツッコミを入れようとしたところで、同じ模様に鷲が追加されているもう少し太めのブレスレットがポンと目の前に置かれる。
「こちらならテオドール様でもピッタリではないかと。お安くしておきますよ?」
「なかなか商売上手じゃねぇか。よし、買ってやる」
即決すると、さっさと支払いを済ませてしまう。
お金を受け取った若造は嬉しそうに俺の手を取って頭を下げる。
「ありがとうございます。いやあー、魔塔主様に買って頂けるとは光栄です。俺、武器はまだ打たせてもらえないので、装飾品づくりで修行中なんですよ。オヤジに自慢します」
「職人も大変だろうが頑張れよ」
「はい! レイヴン様も、お手に取って頂きありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございます。大切にしますね」
商売人としちゃ気も効いてるし、なかなか期待できそうじゃねぇか。
こういうヤツは嫌いじゃねぇ。
また機会があったら見に来てやるか。
ブレスレットを受け取り、一旦休憩しようと広場の噴水近くへと移動する。
「周りにつられちゃいますよ。皆、とても楽しそうだから。ね、師匠。今度はこっちのお店も見ましょう?」
「まぁ、楽しまないと損だしな」
素直に楽しむレイヴンはやっぱいいな。
いろんなものから開放されて、年相応のガキっぽくて。
このくらいが丁度いいんだよな。
食べ物の屋台を一通り見てから、今度は手作りのアクセサリーの屋台の前で足が止まる。
「これ、彫りが丁寧で素敵ですね。女性がもらったら喜びそうな髪留めとかありますよ?」
「髪留めって……誰がするんだよ」
「師匠だったら髪の毛長いし、買っても無駄になりませんよ?」
「似合わねぇだろ、そもそも」
今だって適当に結ってるが、何となく伸びたのを放置してるだけだしな。
切り揃えるっつーのも気が進まねぇから、微妙な長さのままだ。
二人で話していると、出店している若造が笑って声を掛けてきた。
「誰かと思ったらテオドール様とレイヴン様でしたか。ウチは普段武器を作っているのですが、祭りの時はアクセサリーも出してるんです。細工物でしたらブレスレットとかどうです? この窪みにはあとで魔石も入れられるようにしてありますし」
「確かに、蔦と葉の模様が上品ですね。素材も軽いし普段遣いでも魔石を入れれば魔法使い的にも良い品かもしれません」
「この細いのはお前にピッタリだろうけど、俺の腕じゃ入らねぇぞ?」
「いや、なんで同じの買おうとしてるんですか……」
「そりゃあ、こういうのは同じの買うんじゃねぇの? お揃いだろ?」
俺の言い分が気に食わねぇのかレイヴンがツッコミを入れようとしたところで、同じ模様に鷲が追加されているもう少し太めのブレスレットがポンと目の前に置かれる。
「こちらならテオドール様でもピッタリではないかと。お安くしておきますよ?」
「なかなか商売上手じゃねぇか。よし、買ってやる」
即決すると、さっさと支払いを済ませてしまう。
お金を受け取った若造は嬉しそうに俺の手を取って頭を下げる。
「ありがとうございます。いやあー、魔塔主様に買って頂けるとは光栄です。俺、武器はまだ打たせてもらえないので、装飾品づくりで修行中なんですよ。オヤジに自慢します」
「職人も大変だろうが頑張れよ」
「はい! レイヴン様も、お手に取って頂きありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございます。大切にしますね」
商売人としちゃ気も効いてるし、なかなか期待できそうじゃねぇか。
こういうヤツは嫌いじゃねぇ。
また機会があったら見に来てやるか。
ブレスレットを受け取り、一旦休憩しようと広場の噴水近くへと移動する。
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