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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
260.弟子の不意打ちにはきっちりとお答えする師匠
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レイヴンが改めて尊敬したという顔をするから、おかしくなってクックッと笑っちまう。
俺の凄さについて、もう少し分かってもらいたいもんだがな。
「まぁ、こういうのは基本、大体同じだからよ。そこから法則を見つけて書き足していけば何とでもなるんだよ。組み合わせとか相性とかはあるが、やる気があれば何年かかったとしてもいつかはできるだろ」
「その法則っていうのが分からないんですよ、普通は。文字の配列一つ見ても、古代文字を訳すところから始めなくちゃいけないじゃないですか」
「でもこの線とこの線が組み合わさったら、こう読む。みたいなのが分かればいいわけだろ? 暗記しちまえばいいんだよ」
「簡単に言いますけど、実際はそんなにサラっとできませんからね? 俺はこの形とこの形の違いは? と言われても、自信はありませんから」
レイヴンだってやればできるはずなんだが、自信がなさすぎなんだよなぁ。
そんなレイちゃんのために、俺が持っている本を使って文字と文字の組み合わせを説明してやる。
何々を召喚するって書いてある召喚陣だったら、その何々がどこかしらに書いてあるはずだ。
文字列の中から同じ形を取り出して、まずは意味を考える。
その繰り返しで、文章と単語を組み立ててみる。
最初は分からなくても召喚陣を見比べていけば、この形が毎回出てくるとか、何かしら特徴があるはずだ。
後は資料を見比べてこの組み合わせだと、何が召喚されるのかが分かれば。
必然的にこの形だと例えばウルフ系の魔物の種類を示している、とか分かるようになるだろ。
レイヴンは俺の説明を真面目に聞き入っている。
一通り説明し終えちまったし、油断しているレイヴンの耳元に息を吹き込んだ。
「……っ!?」
「耳弱いよなぁ」
「……殴りますよ?」
「おおーこわ。まぁ、そんなに難しい顔しなくても俺が手取り足取り教えてやるよ」
俺を思い切り睨んでから、レイヴンは溜め息を盛大に吐き出す。
言葉は相変わらずきっついが、なんか様子がおかしいな。
悔しそうにしてるだけじゃなくて、なんかそわそわしてるっつーか。
俺が顔を覗き込むと、両手で本を持つ俺の両腕に手を置いて背伸びをしたレイヴンに、ちゅっ、と、軽く頬にキスをされる。
不意打ちとは、珍しくやるじゃねぇか。
瞬き一つ返し、本を片手に持ちかえ、左手でレイヴンを抱き寄せる。
そのまま問答無用で唇を塞いだ。
「ん、んむぅー!」
「ったく、そんなにして欲しけりゃもっとしてやるぞ?」
「……っ、はぁ。べ、別にそういう訳じゃ……」
「また後で可愛がってやるから」
目尻にもキスを落としてから、優しく開放する。
レイヴンはほんのりと染まってしまった頬を隠すように顔を背けると、次、行きますよ? と、また本棚へと向き直った。
俺の凄さについて、もう少し分かってもらいたいもんだがな。
「まぁ、こういうのは基本、大体同じだからよ。そこから法則を見つけて書き足していけば何とでもなるんだよ。組み合わせとか相性とかはあるが、やる気があれば何年かかったとしてもいつかはできるだろ」
「その法則っていうのが分からないんですよ、普通は。文字の配列一つ見ても、古代文字を訳すところから始めなくちゃいけないじゃないですか」
「でもこの線とこの線が組み合わさったら、こう読む。みたいなのが分かればいいわけだろ? 暗記しちまえばいいんだよ」
「簡単に言いますけど、実際はそんなにサラっとできませんからね? 俺はこの形とこの形の違いは? と言われても、自信はありませんから」
レイヴンだってやればできるはずなんだが、自信がなさすぎなんだよなぁ。
そんなレイちゃんのために、俺が持っている本を使って文字と文字の組み合わせを説明してやる。
何々を召喚するって書いてある召喚陣だったら、その何々がどこかしらに書いてあるはずだ。
文字列の中から同じ形を取り出して、まずは意味を考える。
その繰り返しで、文章と単語を組み立ててみる。
最初は分からなくても召喚陣を見比べていけば、この形が毎回出てくるとか、何かしら特徴があるはずだ。
後は資料を見比べてこの組み合わせだと、何が召喚されるのかが分かれば。
必然的にこの形だと例えばウルフ系の魔物の種類を示している、とか分かるようになるだろ。
レイヴンは俺の説明を真面目に聞き入っている。
一通り説明し終えちまったし、油断しているレイヴンの耳元に息を吹き込んだ。
「……っ!?」
「耳弱いよなぁ」
「……殴りますよ?」
「おおーこわ。まぁ、そんなに難しい顔しなくても俺が手取り足取り教えてやるよ」
俺を思い切り睨んでから、レイヴンは溜め息を盛大に吐き出す。
言葉は相変わらずきっついが、なんか様子がおかしいな。
悔しそうにしてるだけじゃなくて、なんかそわそわしてるっつーか。
俺が顔を覗き込むと、両手で本を持つ俺の両腕に手を置いて背伸びをしたレイヴンに、ちゅっ、と、軽く頬にキスをされる。
不意打ちとは、珍しくやるじゃねぇか。
瞬き一つ返し、本を片手に持ちかえ、左手でレイヴンを抱き寄せる。
そのまま問答無用で唇を塞いだ。
「ん、んむぅー!」
「ったく、そんなにして欲しけりゃもっとしてやるぞ?」
「……っ、はぁ。べ、別にそういう訳じゃ……」
「また後で可愛がってやるから」
目尻にもキスを落としてから、優しく開放する。
レイヴンはほんのりと染まってしまった頬を隠すように顔を背けると、次、行きますよ? と、また本棚へと向き直った。
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