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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
283.逃れられなくて仕方なく
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レイヴンは身体を捻ったり顔を逸らしたりしながら、俺から必死に逃れようとする。
意地を張り続けるレイヴンを構うのは面白くてやめられねぇ。
顎を指先で掴んで俺の方を向かせると、不満そうな瞳と目が合った。
両足でレイヴンの身体を挟み込んで囲み、ニヤニヤと見下ろす。
レイヴンは暫くだんまりを続けて我慢してるみてぇだが、俺は開放する気も一切ねぇし。
いつまで反抗するつもりなのかは知らねぇが、煽るように声をかける。
「このやり取り、いつまで続ける気だ? 俺はいつまででもいいけどよ」
「……知りませんよ、もう。その体勢疲れません?」
「俺の体力舐めるなよ? 腕が痺れようが、どうとでもなるから安心していいぞ」
「うわぁ……俺、このまま寝ようかな」
レイヴンは、まだ我慢比べを続けたいらしいな。
とことん付き合ってやると決めて、沈黙を貫く。
「……フハッ!」
「……」
「なかなかいい作戦だな。違う意味で我慢できねぇ」
目を閉じたまま必死になっているレイヴンを見ていると、耐えられなくなって先に笑い声を漏れちまった。
楽しい気持ちをまんま伝えるように耳元で囁く。
こみあげる笑いと共に、吐息ごと耳の中へと吹き込んだ。
レイヴンは目を閉じていたせいで感覚が鋭敏になっているらしい。
ビク、と、身体で律儀に反応を返してくる。
追撃で耳にも唇を落とし、何度か口付た後にペロと耳を舐める。
「……っ」
「もう少し待ちたかったが、このままお預けされてんのもなァ?」
ピチャリ、と音を立て、耳穴に何度か舌を差し入れた。
ぞわぞわするのか、レイヴンの身体は俺が舐める度にビクビクと震える。
触れてしまえば、その守りが崩れるのもあっという間だ。
レイヴンの体温がじわり、じわり、と上がってくる。
身体は律儀に、この先へ進むことを期待しているに違いねえ。
「なぁ、どうしてほしい?」
「どうも、こうも……別に……」
「そのまま目を閉じたままでいるつもりか? そっちの方が感じるんじゃねぇの?」
揶揄う笑い声が漏れて、レイヴンの鼓膜を揺らす。
大したこともしてねぇってのに、鼓動も早まってくる。
観念してレイヴンが素直に言ったところで、さっさと開放するのもつまんねぇよな。
「言わずにされるのと、言って甘やかされるのと、どっちがお好みだ?」
「どっちもされるじゃないですか……」
「シないという選択肢があるとは思ってねぇだろ? 俺はどっちでもイイけどよ」
「……はぁ。このままじゃ、あと何時間このままか分からないので。もう言いますけど、ガッカリしないでくださいね」
ゆっくりと目を開いたレイヴンが小声で決意表明する。
俺も自然と満足げに笑んで、頬に唇を落とす。
定番のため息の後に、レイヴンはジッと俺と目線を合わせて口を開く。
「テオが珍しく静かだったので、外で発散しているのかなって思っただけです」
「それで?」
「だから、それだけです」
「外で発散しているって何をだ?」
「……これ以上はもういいでしょう?我ながら発想が恥ずかしくて最悪です」
レイヴンは、プイ、と、子どものように赤い顔を横に傾けた。
「そうかそうか」
つまり、寂しくてやきもちを妬いたってことだろ?
それを言いたくないって、どんだけ頑なだったんだか。
嬉しさがまんま、声に滲み出ちまう。
「だから言いたくなかったのに……」
レイヴンは小声で呟くと、長い、長い、息を吐きだす。
そんなに気にしなくてもいいのに、レイヴンは真面目だよなぁ。
意地を張り続けるレイヴンを構うのは面白くてやめられねぇ。
顎を指先で掴んで俺の方を向かせると、不満そうな瞳と目が合った。
両足でレイヴンの身体を挟み込んで囲み、ニヤニヤと見下ろす。
レイヴンは暫くだんまりを続けて我慢してるみてぇだが、俺は開放する気も一切ねぇし。
いつまで反抗するつもりなのかは知らねぇが、煽るように声をかける。
「このやり取り、いつまで続ける気だ? 俺はいつまででもいいけどよ」
「……知りませんよ、もう。その体勢疲れません?」
「俺の体力舐めるなよ? 腕が痺れようが、どうとでもなるから安心していいぞ」
「うわぁ……俺、このまま寝ようかな」
レイヴンは、まだ我慢比べを続けたいらしいな。
とことん付き合ってやると決めて、沈黙を貫く。
「……フハッ!」
「……」
「なかなかいい作戦だな。違う意味で我慢できねぇ」
目を閉じたまま必死になっているレイヴンを見ていると、耐えられなくなって先に笑い声を漏れちまった。
楽しい気持ちをまんま伝えるように耳元で囁く。
こみあげる笑いと共に、吐息ごと耳の中へと吹き込んだ。
レイヴンは目を閉じていたせいで感覚が鋭敏になっているらしい。
ビク、と、身体で律儀に反応を返してくる。
追撃で耳にも唇を落とし、何度か口付た後にペロと耳を舐める。
「……っ」
「もう少し待ちたかったが、このままお預けされてんのもなァ?」
ピチャリ、と音を立て、耳穴に何度か舌を差し入れた。
ぞわぞわするのか、レイヴンの身体は俺が舐める度にビクビクと震える。
触れてしまえば、その守りが崩れるのもあっという間だ。
レイヴンの体温がじわり、じわり、と上がってくる。
身体は律儀に、この先へ進むことを期待しているに違いねえ。
「なぁ、どうしてほしい?」
「どうも、こうも……別に……」
「そのまま目を閉じたままでいるつもりか? そっちの方が感じるんじゃねぇの?」
揶揄う笑い声が漏れて、レイヴンの鼓膜を揺らす。
大したこともしてねぇってのに、鼓動も早まってくる。
観念してレイヴンが素直に言ったところで、さっさと開放するのもつまんねぇよな。
「言わずにされるのと、言って甘やかされるのと、どっちがお好みだ?」
「どっちもされるじゃないですか……」
「シないという選択肢があるとは思ってねぇだろ? 俺はどっちでもイイけどよ」
「……はぁ。このままじゃ、あと何時間このままか分からないので。もう言いますけど、ガッカリしないでくださいね」
ゆっくりと目を開いたレイヴンが小声で決意表明する。
俺も自然と満足げに笑んで、頬に唇を落とす。
定番のため息の後に、レイヴンはジッと俺と目線を合わせて口を開く。
「テオが珍しく静かだったので、外で発散しているのかなって思っただけです」
「それで?」
「だから、それだけです」
「外で発散しているって何をだ?」
「……これ以上はもういいでしょう?我ながら発想が恥ずかしくて最悪です」
レイヴンは、プイ、と、子どものように赤い顔を横に傾けた。
「そうかそうか」
つまり、寂しくてやきもちを妬いたってことだろ?
それを言いたくないって、どんだけ頑なだったんだか。
嬉しさがまんま、声に滲み出ちまう。
「だから言いたくなかったのに……」
レイヴンは小声で呟くと、長い、長い、息を吐きだす。
そんなに気にしなくてもいいのに、レイヴンは真面目だよなぁ。
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