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第十五章 自信満々な魔塔主と更に強くなった弟子
372.予兆
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次の日、俺とレイヴンは身支度を整えて王宮へ足を運んだ。
この急な呼び出しは、空気を読みすぎる魔族さんからのお呼び出しが遂にかかったんだろうな。
俺のところへ使い魔が顔を出してから多少の時間の猶予はあったが、ヤツらも我慢の限界ってところか。
国王に面会させろと、早朝からご丁寧に使い魔が来たらしい。
正面から正当な手続きを踏んだってんだから、愉しみのためには魔族も紳士ってことか。
どうせなら時間帯も空気を読んで欲しかったところなんだがなぁ。
陛下の側にいたヤツが余計なことをせずに、陛下を守ることに徹して一番空気を読んでたってのがまた皮肉だな。
そのせいで俺とレイヴンは朝っぱらから王宮へ出向くわけになったわけだ。
ったく、甘い朝の余韻くらい楽しませろってんだよな。
「テオ……俺は不機嫌だって顔を少しは隠してください。遅かれ早かれこの日はやってくるって分かっていたでしょう?」
「ああ。だが、俺はもう少しレイちゃんを可愛がりたか……」
「こ、ここをどこだと思ってるんですか! 殴りますよ?」
レイヴンが俺の言葉を遮ってまでムキになって恥ずかしがってる姿が、唯一の心の慰めってもんだ。
レイヴンの頭をポンポン撫でながら歩いていると、角を曲がったところで騎士連中に出くわす。
見たくもねぇ顔を見て、チッという舌打ちが自然と漏れ出ちまった。
「おい、人の顔を見て舌打ちをするとはどういうことだ?」
「こっちは可愛いレイちゃんだけが慰めだってのに、なんで朝っぱらから見たくもねぇ顔を拝む羽目になるんだか」
「うわぁ……テオドール様、相変わらずですね。レイヴンが戻ったから機嫌も戻ったかと……っと、俺はお先に失礼します」
バカでかいディーと小賢しいウルガーの二人と出会った訳だが、何故かウルガーは一足先に飛び出そうとする。
コイツ、逃げようったってそうはいかねぇぞ。
「ほう? ウルガーにまで気遣ってもらえるとは光栄だな。ということは、可愛そうな俺のために陛下の相手はウルガーが全て引き受けてくれるってことかァ?」
「不機嫌の矛先をこちらへ向けないでくださいよ! そりゃあ団長は説明下手なので、補佐はしますけど……主役はテオドール様ですよね」
「おい、ウルガー。お前何気なく俺のことを馬鹿にしただろう?」
全く、ディーも細かいことを気にしやがって。
バカにしたんじゃなくて、バカなんだろ脳筋なんだからな。
騎士たちのどうでもいい会話は無視してレイヴンを見遣ると、俺をじっと見上げていた。
「師匠……あなたが魔族と誓いを立てたんですよ? 約束を破ったら……」
レイヴンに不安そうな顔をされちゃ、何も言えなくなっちまう。
まあ、誓いを破ったら俺の命がなくなるって言ってたから当然なんだが。
仕方ねぇ。ディーに八つ当たりもしたし、そろそろ顔出さねぇとな。
「分かってるって。そのために準備を頑張ったの見てただろ? この俺が、一生懸命頑張った。これでいいだろ」
「テオ……お前は子どもか。言いたいことは山ほどあるが、今は陛下の元へ急がなくては」
「ディートリッヒ様、申し訳ありません。後で言い聞かせておきますので」
「ということで、行きますよ。四人集まるといつもこうなるんだよなー」
ぼやいたウルガーは軽く小突いておいて、レイヴンを宥めながら謁見室へ続く扉を潜った。
この急な呼び出しは、空気を読みすぎる魔族さんからのお呼び出しが遂にかかったんだろうな。
俺のところへ使い魔が顔を出してから多少の時間の猶予はあったが、ヤツらも我慢の限界ってところか。
国王に面会させろと、早朝からご丁寧に使い魔が来たらしい。
正面から正当な手続きを踏んだってんだから、愉しみのためには魔族も紳士ってことか。
どうせなら時間帯も空気を読んで欲しかったところなんだがなぁ。
陛下の側にいたヤツが余計なことをせずに、陛下を守ることに徹して一番空気を読んでたってのがまた皮肉だな。
そのせいで俺とレイヴンは朝っぱらから王宮へ出向くわけになったわけだ。
ったく、甘い朝の余韻くらい楽しませろってんだよな。
「テオ……俺は不機嫌だって顔を少しは隠してください。遅かれ早かれこの日はやってくるって分かっていたでしょう?」
「ああ。だが、俺はもう少しレイちゃんを可愛がりたか……」
「こ、ここをどこだと思ってるんですか! 殴りますよ?」
レイヴンが俺の言葉を遮ってまでムキになって恥ずかしがってる姿が、唯一の心の慰めってもんだ。
レイヴンの頭をポンポン撫でながら歩いていると、角を曲がったところで騎士連中に出くわす。
見たくもねぇ顔を見て、チッという舌打ちが自然と漏れ出ちまった。
「おい、人の顔を見て舌打ちをするとはどういうことだ?」
「こっちは可愛いレイちゃんだけが慰めだってのに、なんで朝っぱらから見たくもねぇ顔を拝む羽目になるんだか」
「うわぁ……テオドール様、相変わらずですね。レイヴンが戻ったから機嫌も戻ったかと……っと、俺はお先に失礼します」
バカでかいディーと小賢しいウルガーの二人と出会った訳だが、何故かウルガーは一足先に飛び出そうとする。
コイツ、逃げようったってそうはいかねぇぞ。
「ほう? ウルガーにまで気遣ってもらえるとは光栄だな。ということは、可愛そうな俺のために陛下の相手はウルガーが全て引き受けてくれるってことかァ?」
「不機嫌の矛先をこちらへ向けないでくださいよ! そりゃあ団長は説明下手なので、補佐はしますけど……主役はテオドール様ですよね」
「おい、ウルガー。お前何気なく俺のことを馬鹿にしただろう?」
全く、ディーも細かいことを気にしやがって。
バカにしたんじゃなくて、バカなんだろ脳筋なんだからな。
騎士たちのどうでもいい会話は無視してレイヴンを見遣ると、俺をじっと見上げていた。
「師匠……あなたが魔族と誓いを立てたんですよ? 約束を破ったら……」
レイヴンに不安そうな顔をされちゃ、何も言えなくなっちまう。
まあ、誓いを破ったら俺の命がなくなるって言ってたから当然なんだが。
仕方ねぇ。ディーに八つ当たりもしたし、そろそろ顔出さねぇとな。
「分かってるって。そのために準備を頑張ったの見てただろ? この俺が、一生懸命頑張った。これでいいだろ」
「テオ……お前は子どもか。言いたいことは山ほどあるが、今は陛下の元へ急がなくては」
「ディートリッヒ様、申し訳ありません。後で言い聞かせておきますので」
「ということで、行きますよ。四人集まるといつもこうなるんだよなー」
ぼやいたウルガーは軽く小突いておいて、レイヴンを宥めながら謁見室へ続く扉を潜った。
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