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第2章
時を超えたダンス
しおりを挟む舞踏会場の中央で、ラファエルとエリザベスは優雅に踊っていた。彼らの姿は、多くの視線を集めていた。
「あれは誰?」
「ウィンターヘイブン家の娘では?」
「ヘイスティングス家のラファエル様と踊っているなんて…」
噂の声が広がる中、セシリアとヴィクトリアは怒りと嫉妬に顔を歪めていた。
「あの恥知らず!」
ヴィクトリアは憤慨した。
「今すぐ止めさせなければ」
セシリアは母親の腕を掴んだ。
「待ってお母様。今は目立つだけよ。後でエリザベスを痛い目に合わせましょう」
一方、ダンスの輪の中で、エリザベスは不思議な感覚に包まれていた。ラファエルと踊ることが、まるで長い間待ち望んでいたことであるかのように感じられた。
「私たち、以前に会ったことがありますか?」
彼女は思わず尋ねた。
ラファエルは彼女をじっと見つめ、「いいえ」と答えた。
「だが、私もずっと前から知っているような気がする」
エリザベスは頷いた。
「私も同じ感覚です。不思議ですね」
「運命かもしれないな」
彼は静かに言った。
曲が終わり、彼らはダンスを止めた。しかし、ラファエルはエリザベスの手を離さなかった。
「明日、時間はあるか?」
彼は尋ねた。
「話したいことがある」
エリザベスは戸惑った。彼女は夢が醒めたようにヘイスティングス家の公子様と二人きりで会うなど、考えられないことだと現実を見た。そうでなくても、今夜の出来事で継母の怒りは避けられないだろう。
「私は…」
「ラファエル様!」
セシリアの声が二人の会話を遮った。彼女は作り笑いを浮かべながら近づいてきた。
「素敵なダンスでしたわ。次は私と踊っていただけませんか?」
ラファエルは冷徹に答えた。
「申し訳ないが、彼女以外と踊る気はない」
セシリアの表情が強張った。彼女は断られたことに怒りを覚えたが、公の場では感情を隠した。代わりに、彼女はエリザベスの腕を強く掴んだ。
「お母様が呼んでいるわ」
彼女は微笑みながらも、冷たい声で言った。
エリザベスは仕方なく頷き、ラファエルに別れを告げた。
「お相手いただき、ありがとうございました」
ラファエルは彼女の手を離す前に、紳士的に口づけした。
「必ずまた会おう」
彼の声には、約束と決意が込められていた。
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