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学園長サーシャ
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「これは私たち家族の問題だ。お前には関係ないだろうサーシャ」
サーシャと呼ばれる幼女はソファーを軽々と飛び越え、俺と父の前に歩み出てくる。
「関係なくはないだろう。呼び出したのはお前だがそれを頼んだのは私だ。それにここは職場ではなかったのか?だとしたら家族の問題を今話すのかおかしいだろう?な?」
グッと喉の奥を鳴らし黙り込む父。
な、なんだこの幼女は!
父さんが他人に言い負かされるところ初めて見た。
驚きを隠せない俺に気が付いたのか幼女は俺に目を向けてニカっと笑う。
悪い人ではないらしい。
むしろ俺を助けてくれたっぽい。
「ってことだからギムレット、たまには家に帰ってゆっくり小言でもなんでも言ってやるといいさ。お前の奥さんもそうして欲しいだろうしな」
「うるさいっ、お前こそ私的な話をするんじゃない!まぁいい、近いうちに帰る。エリサ…母さんにもそう伝えておけアルフレド」
言い包められて面倒になったのか父さんはそう言って腕組をすると口を閉じた。
そして代わりにサーシャと呼ばれる幼女が口を開く。
「という事だ。改めて挨拶をさせてくれ。サーシャ・バル・ヴェンディだ。今後はサーシャと呼べ」
そう言ってすべての色を塗りつぶすような黒い長髪を背に払い、小さな体の小さな胸を思い切り張って見せる。
説得力があるような無いような。
とにかく何とも言えない感覚に陥りつつ
「はい、わかりました」
とだけはしっかりと答える。
先ほど同様に二カっと笑い、「うむ」と大きく頷く。
満足したのならそれでいいが、本題はまだ何も始まってはいない。
さっさと聞いてしまって俺はいい刻も早くここから出たいのだ。
「あの、それでサーシャさんは俺に用があって呼び出したんですよね?」
俺の問いかけに彼女はなぜか明後日の方向を見てスルーを決め込む。
聞こえなかったのかスルーなのか…
じゃぁもう一回とばかりに、
「聞こえてますか?サーシャさん?」
と呼びかけるがスルーされた。
そして一瞬考えてハッと気が付く。
あ、これはあれだ”さん”つけたからだ。
じゃぁ改めて…
「サーシャは俺に何の用事があってきたんですか?」
口の端をニッと上げてこちらを向きしっかりと答える。
「おぉ、そうだったな!お前に話があったんだよ」
なんと白々しい。
なんて言葉が口から出かけるが、ぐっと飲みこむ。
まぁいい…話が進みそうならそれで解決だ。
彼女は機嫌がいいのか笑顔で答える。
「簡単なことだ。ギムレットにはすでに話をしていたんだがおまえは私の学園に通うことになったからそれを伝えたくてな。どうせギムレットのことだ。おまえに何も話をしてないんだろう?だからこうして入学前に来たってわけだ。あ、そうだ入学はこれから4年後だからそれまでにいろいろ準備をしておくといい」
いきなりの入学決定通知。
本当にいきなり。
え?入学?どこに?
俺はてっきり、15歳くらいまで村で過ごしたら冒険に出る的なテンプレ的流れで生きていくものだと思っていたから、まさかこっちサイドのテンプレがやってくるとは思ってもみなかった。
「え?あの、どこに入学ですって?学園?そのいろいろついていけないのですが」
サーシャは、ふむとため息をつき父を軽く睨む。
父はその視線に気づいているだろうが完全に無視する形で書類に目を通している風を装っている。
大きくため息をついたサーシャは、本当に何も話をしていないのだなと軽く悪態をつく。
「そうだな、おまえの立派なお父様がちゃんと話をしていないようだから、私がちゃ~んと教えてやろう。そう、立派なお父様の代わりにな!」
また軽く睨みをきかせるが、またもそれをスルーする父。
ホント都合悪くなるとこれだよ父さんは…
サーシャと呼ばれる幼女はソファーを軽々と飛び越え、俺と父の前に歩み出てくる。
「関係なくはないだろう。呼び出したのはお前だがそれを頼んだのは私だ。それにここは職場ではなかったのか?だとしたら家族の問題を今話すのかおかしいだろう?な?」
グッと喉の奥を鳴らし黙り込む父。
な、なんだこの幼女は!
父さんが他人に言い負かされるところ初めて見た。
驚きを隠せない俺に気が付いたのか幼女は俺に目を向けてニカっと笑う。
悪い人ではないらしい。
むしろ俺を助けてくれたっぽい。
「ってことだからギムレット、たまには家に帰ってゆっくり小言でもなんでも言ってやるといいさ。お前の奥さんもそうして欲しいだろうしな」
「うるさいっ、お前こそ私的な話をするんじゃない!まぁいい、近いうちに帰る。エリサ…母さんにもそう伝えておけアルフレド」
言い包められて面倒になったのか父さんはそう言って腕組をすると口を閉じた。
そして代わりにサーシャと呼ばれる幼女が口を開く。
「という事だ。改めて挨拶をさせてくれ。サーシャ・バル・ヴェンディだ。今後はサーシャと呼べ」
そう言ってすべての色を塗りつぶすような黒い長髪を背に払い、小さな体の小さな胸を思い切り張って見せる。
説得力があるような無いような。
とにかく何とも言えない感覚に陥りつつ
「はい、わかりました」
とだけはしっかりと答える。
先ほど同様に二カっと笑い、「うむ」と大きく頷く。
満足したのならそれでいいが、本題はまだ何も始まってはいない。
さっさと聞いてしまって俺はいい刻も早くここから出たいのだ。
「あの、それでサーシャさんは俺に用があって呼び出したんですよね?」
俺の問いかけに彼女はなぜか明後日の方向を見てスルーを決め込む。
聞こえなかったのかスルーなのか…
じゃぁもう一回とばかりに、
「聞こえてますか?サーシャさん?」
と呼びかけるがスルーされた。
そして一瞬考えてハッと気が付く。
あ、これはあれだ”さん”つけたからだ。
じゃぁ改めて…
「サーシャは俺に何の用事があってきたんですか?」
口の端をニッと上げてこちらを向きしっかりと答える。
「おぉ、そうだったな!お前に話があったんだよ」
なんと白々しい。
なんて言葉が口から出かけるが、ぐっと飲みこむ。
まぁいい…話が進みそうならそれで解決だ。
彼女は機嫌がいいのか笑顔で答える。
「簡単なことだ。ギムレットにはすでに話をしていたんだがおまえは私の学園に通うことになったからそれを伝えたくてな。どうせギムレットのことだ。おまえに何も話をしてないんだろう?だからこうして入学前に来たってわけだ。あ、そうだ入学はこれから4年後だからそれまでにいろいろ準備をしておくといい」
いきなりの入学決定通知。
本当にいきなり。
え?入学?どこに?
俺はてっきり、15歳くらいまで村で過ごしたら冒険に出る的なテンプレ的流れで生きていくものだと思っていたから、まさかこっちサイドのテンプレがやってくるとは思ってもみなかった。
「え?あの、どこに入学ですって?学園?そのいろいろついていけないのですが」
サーシャは、ふむとため息をつき父を軽く睨む。
父はその視線に気づいているだろうが完全に無視する形で書類に目を通している風を装っている。
大きくため息をついたサーシャは、本当に何も話をしていないのだなと軽く悪態をつく。
「そうだな、おまえの立派なお父様がちゃんと話をしていないようだから、私がちゃ~んと教えてやろう。そう、立派なお父様の代わりにな!」
また軽く睨みをきかせるが、またもそれをスルーする父。
ホント都合悪くなるとこれだよ父さんは…
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