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正義の味方

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なんかイケメンが痛々しいことを言っているような気がするのは気のせいか?
いや、聞き間違いかもしれない。

「えっと…なんだって?サイバーマキオ?」

「違う!間違うんじゃぁない!セイバー・マキノだ!」


短く刈り上げた茶髪、180センチを超える身長、水晶の様に透き通った青い瞳の爽やかイケメンがそこに立っていた。
めっちゃ決めポーズかまして。

「決まった…」とか何とか言ってますけど、周りは俺の時とは違った意味でフリーズしてますけど。
空気が死ぬってこのことかというのを嫌でも実感する。
ってかこの空気感何とかしてくれよ。


「まぁわかったけど、そのマキタ様が何かご用でしょうか?」

「だからセイバー・マキノだ!フンっ、まぁいい。おまえの所業、見て見ぬふりはできぬ。この私が成敗してくれよう!」

「所業って…うん、まぁ、はいはい。で、おまえも俺に勝って生徒会なくしたいってことでいいか?」


俺に問われたマキオは「何をバカな」と鼻で笑う。
たいていはスルー出来るけどあいつに笑われるとなんかイラっとするな。


「その生徒会と言うものと生徒会長と言うもの、どちらも私にのみ相応しいものなのだ。おまえのような者になどその役割は全うできん!そうなる前にわたしにその地位を渡すのだ」

「え、マジで?できればと言うか是非というか、その頼みは聞いてやりたくて仕方ないんだけど…」


と、いつの間にか高みの見物を決め込んでいるサーシャにちらりと目をくばるとニコニコしながら、口をパクパクさせている。

なになに…
「そ・れ・だ・け・は・ゆ・る・さ・な・い」。
おぉこわっ…
「手を抜いて生徒会長はマキモさんに決定!よろしく!作戦」は許さんという事か…


「はぁ~…、と言う事だから俺にも譲れない、おもいおも~い事情あるんだよ。だからまぁほら、かかっておいで」

「ぐぬっ、仕方ない。ならば真の姿を見せるときが来たようだな!行くぞっ、チェーンジ、グレートセイバーっ!」


マキタ?マキオ?まぁもうどっちでもいいけど、某仮面ラ○ダーに非常に酷似したポーズをとるとまばゆい光に包まれた。
辺りの生徒はそのまばゆさに目をそらすが、俺にとってはそうでもないのでとりあえず出方を待つことにする。

光は一瞬のことで、そこに立っていたのはマキオではなく、赤いヒーロースーツを纏った一人の正義の味方風の男だった。


「グレートセイバーマン、ここに見参っ!非道なる悪党よ、成敗!」

「…まさかそのスーツに着替えたのか?」

「ちっがーう!この大馬鹿者めっ!これがこの私のオーラの力なのだ!その身から溢れんばかりのオーラを凝縮し纏うことで完成する美しいバトルスタイル!それこそがこのグレートセイバーマンなのだよ!」


ほぅ…
オーラってことはこいつ超人か。
オーラっていうのは本当に自由自在に扱えるものなんだな。

で、あれって魔力ではないのか?
と言う疑問が産まれる。
魔力だったら俺にもできるはずと思い、同じようにこぶしに纏ってみようとするが魔力の塊がこぶしを覆っただけ。
違うのか…うむ…気になるな。


「私の美しさに驚いているようだが、そこまでにしてくれたまえ。こないのならこちらから行くぞっ!」

「いや、別に驚いてるとかそうじゃなくて端に検証をだな…」


俺の言葉も聞かず眼前に迫るマキオ。
高速で拳の連撃を放ってくるが、触れるのは特性が分かってからにしたい俺は、そのすべてを躱す。


「やるではないか、ではこれはどうかな?」


またも同様に拳を繰り出してくるが同様に避ける。
が、避けた瞬間その手首から何かが飛び出してくる。
それを手のひらで受け止めようとするが、それをすり抜けて俺の頬をかすめる。

「これも躱すか!やるではないか!」

「お褒め頂き光栄だね、マキオくん」

「だからマキノと言ってるだろう!それに今はグレートセイバーマンだ、いい加減に覚えて欲しいものだ!」

なんて軽口をたたいては見るが、正直驚いたのも事実。
あれは何だった?ナイフか?それとも別の何かか?


「ほ~らほら、ぼ~っとしてると私には勝てないよ?」

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