存サバ!

砂藤

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いざ、家の外へ

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さて、どうしたものか。
この家で過ごすこと数ヶ月。
あのバスカヴィル感染爆発から結構な日が経った。

結論から言おう。
なんでか知らないが俺は感染はしたが、各地でいまだにうろついている生き返った人…というかもうゾンビでいいや。
とにかくゾンビにはならなかった。

咳も出たし肌の色も赤黒くなったし、死ぬほど血も吐いたし苦しみもしたが死にはしなかったらしい。たぶん…
気を失って起きた時には日本は崩壊していた。

現実を受け入れるのも受け止めるのもなかなかに辛かったが、とりあえず前向きに考えることにした。
仕事もいかなくていいし、ある意味お金の心配もしなくてもいい。
小さい頃に両親も事故で死んでいるし、兄弟もいない。
しかも妻となる女性もいない!!ははっ…
悲しくなるからこれ以上はやめよう…うん…
まぁとりあえず天涯孤独だが今となってはこの上なく自由だというわけだ。


さて唐突だが、まずは現状を分かりやすくまとめてみることにしてみる。
というか生活を充実させるために足りないものはすでに書き出してはいる。
が、面倒でとりあえずその日暮らしで何とかやってきたのだがそれももう厳しくなってきた。

まず第一に食料と水が足りない。
このまま節約しつつ保存食を食べ続けたとしても3日ともたない気がする。
20代の若い体にはこの量では圧倒的に足りないのだ。

その点住むところに関しては今のところ安心だ。
所得が少ない人が市に申請して運よく当たると格安で住めるという市営住宅に当選して住んでいるため、意外と広い一軒家に一人で住めている。
しかも辺鄙なところにその市営住宅があったせいか周りには田んぼや畑しかない。
本当に俺だけしか住んでいないのでは?とマジで錯覚するほどだ。

そんでもって家の詳細だが、部屋数は5部屋。
一人にはもったいないくらいの12畳のリビングに、4畳半の物置兼小部屋が2部屋。
後はトイレ一部屋と風呂。
トイレと風呂は部屋でカウントしていいのか不明だが、その計5部屋である。

で次にサバイバルに必要な物資だ。
水浴びするのにも冷たいままじゃ嫌だし、飯を食うにも冷えたままじゃ嫌だということで薪かそれに代わる燃料などが欲しい。
今のところはカセットコンロとBBQ用に買った木炭で何とかしているがこれもすぐになくなってしまうだろう。
あと、電気があると何かと便利だし薪などの燃料の代わりにもなるものが使えるようになるということで、ソーラーパネルとか発電機がいる。
とはいえ、そういった電化製品はすでに生き残った人々が家電屋に押しかけて奪っていってしまっただろうからどこかから調達しなくてはいけない。

あと、一番重要なもの。
武器である。
今の手持ちはというと一般的な包丁2本とサバイバルナイフ一本。
あとは学生時代に修学旅行で買った木刀が2本。
……実に心もとない。
ゾンビが来た時もそうだが、食料などを奪いに来た人から身を守るにはもっと火力がある武器がいるのだ。
最終的には銃が欲しいところだが現実的ではないので運がよかったら程度に考えておこう。
まずは大きめの刃物…鉈や農具で使う鎌や鍬があれば加工できそうだ。


ということでまず今日やることだが、家の外に出て探索することだ。
食料を第一に、次に燃料などなどで、最後に武器とかかなと順序を決める。
皮のジャケットを着て、BBQの物資入れに使うために買った大き目のリュックを背負い、鉄板入りの安全靴を履く。
装備は包丁一本と木刀一本。

ドアのカギをあけ、そっと開けたドアの隙間から覗く限りは誰もいない。
口の中に溜まる唾をごくりと飲み込むと同時に、思い切ってドアをあけ放ち、外へでた。
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