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632: 俊也:15/03/20(金)21:03:32 ID:mye主 ×
「なんとか了承を得たよ・・・・」
空母、信濃艦橋で出迎えた小沢の第一声であった。

彡(゚)(゚)「西村、志摩の両艦隊、栗田艦隊と合流できそうですか!」


「うむ・・・みすみす旧式戦艦の部隊を分派して突入させたところで短時間で各個撃破されるだけ、陽動や敵兵力の拘束などできぬ相談だからな・・・・。」

彡(゚)(゚)「それができるのは・・・・」

「そう、わが艦隊しかいない。ハルゼーの主力を北方に吊り上げ、栗田艦隊がレイテ湾に突入する間隙を作る・・
・・・君が見てきた未来においても、それに関しては成功したのであろう?」

彡(゚)(゚)「はい。しかし栗田艦隊は迷走と消耗を繰り返した挙句、レイテ湾直前で敵機動部隊を追撃することを
口実とし反転、そのまま敗走します・・・・・」

「なるほど、な・・・われわれの犠牲が無駄になってしまうのだな。そもそも、何がいけなかったと思うかね?」
633: 俊也:15/03/20(金)21:07:16 ID:mye主 ×
彡(゚)(゚)「まずは作戦目的が敵機動部隊殲滅か、敵上陸部隊の撃滅か、
最後まであいまいになってしまったことですね。・・
・・・今次決戦に関して言えば、艦砲射撃による敵上陸部隊の掃滅!この一点に傾注すべきです。
たとえ戦艦部隊が壊滅しても・・・・」

「・・・・そこまでの覚悟でやるべきなのだな」

彡(゚)(゚)「はい!上陸してくる米陸軍第6軍20万名 
これに甚大な被害を与えることが出来れば、アメリカにとってはさすがに戦争計画に大きな綻びとなります。国内世論においても・・・・」

「つまり、この戦争を終わらせる大きな契機となりうるわけだね」

彡(゚)(゚)「御意。ゆえになんとしても勝たねばなりません。」


(まあもっと上の次元では、高度に政治的な判断というのも必要になるんやが・・・・さすがに今のワイではどうしようもない。)
634: 俊也:15/03/20(金)21:12:57 ID:mye主 ×
東京 首相官邸

「陸海軍とも、こたびのフィリピン決戦が天王山となるでしょうな。海軍の見通しはどうですか」
東條英機首相の問いに、嶋田海相兼軍令部総長は余裕の笑みを浮かべた

「ご懸念無く・・・連合艦隊にはまだ大和 武蔵の二大巨艦が健在。空母機動部隊も新鋭機加え復活しておりますれば・・
・・必ずやマリアナ以上の戦果を挙げてごらんにいれましょう。例の未来の知識云々に頼らずとも・・・・」

「あくまで、油断なく頼みますよ。各部隊間の意思疎通もきちんと図るように・・・・」

「はは、心得ております・・・・」

「なんとしても一撃講和!この戦いで実現せねばなりません。ここで講和が出来ねば、
多くの帝国臣民が空襲の災禍に晒される、陛下に申し訳が立たぬ・・・・」



635: 名無し:15/03/20(金)21:15:40 ID:Sbm ×
キターッ!!
636: 名無し:15/03/20(金)21:16:58 ID:Ake ×
お!上がってるゥーんだ!
637: ↓名無し:15/03/20(金)21:20:58 ID:9hW ×
キターーーーーーーーー!


638: 俊也:15/03/20(金)21:22:47 ID:mye主 ×
官邸を辞去した嶋田。軍令部へと向かう。
豊田連合艦隊司令長官と面談があったのである。
「先刻総理にお会いしてきたがね、例の未来予知にかぶれまくってしまって困ったものだよ。まあ確かに先日の地震に関しては驚いたが・・・・。
あと、その予知男を抱えた小沢君が今度の海戦を仕切りかねない勢いで作戦全体に意見してくるというのもな・・・・」

「嶋田さん・・・・それなんですがね。小沢は自ら囮になって戦艦部隊の突入を助ける、とは言ってはいるが、その実、
戦艦部隊を死地に追いやり、自らの子飼いの機動部隊を温存しようとしてるのではないか?と思うのですよ。」
「なるほど・・・・戦艦部隊を米艦隊や陸上兵力と刺し違えさせようって肚か・・・・」
「大戦果を挙げ講和が実現すれば・・・・一躍小沢は連合艦隊最強兵力の長となるわけです。」
「われわれにとって代ろうとしているというのか・・・・未来を知る男をお抱えにして。」
「今回の海戦、むろん勝たねばなりませんが・・・・・」
「小沢の思う形で勝つ、というのは避けねばな。こうなると先日栗田に根回ししておいて正解だったな・・・・」


639: ↓名無し:15/03/20(金)21:25:51 ID:9hW ×
う~ん、この上層部
640: 名無し:15/03/20(金)21:25:57 ID:Sbm ×
風向きが怪しいな


641: 俊也:15/03/20(金)21:27:56 ID:mye主 ×
翌16日 レイテ東方海上に米機動艦隊、輸送船団現出。
同日、捷一号作戦が、連合艦隊司令部より正式に発令された


大和 武蔵を擁する栗田艦隊が、ブルネイを進発。同日夕刻に西村、志摩艦隊と合流。
(建前上は、中将間の序列の問題もあり、3つの艦隊はそれぞれ独立したうえでの共同作戦・・・・となる)


栗田艦隊旗艦「愛宕」

「基地航空隊の支援は得られるのかね?」
露骨に不安げな表情を、栗田建男は浮かべた。
「昨日より敵航空兵力とかなり激しくやりあっているようですので・・・今はなんとも・・・

・・シブヤン海通過時にはなんとか第一航空艦隊も戦闘機を回してくれるとは申しておりますが。」

小柳参謀長の言葉も頼りない。


「パラワン水道を通る際、潜水艦の襲撃を受けたら…・やはり西方から回るか、いややはり時間がない・・・・・」




思考の迷路に嵌まり込む栗田。



642: 名無し:15/03/20(金)21:36:25 ID:yq1 ×
栗田さんは無能扱いかあ…
まあ1965までの知識じゃ仕方ないか
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643: 俊也:15/03/20(金)21:37:00 ID:mye主 ×
・・・・やがて、内地の料亭での、嶋田、豊田との出撃前の会合のことを思い出す。



「いやぁ栗田君、今度の決戦では、栄えある第二艦隊の司令。武人の本懐ではないかね。」

「恐れ入ります、総長殿。」

「この豊田も羨ましい限りだ、戦艦部隊を率いての敵機動部隊殲滅という最重要の任務を、君が担えるわけだから・・・・」

「は、長官。しかし主任務は敵輸送船団、上陸部隊の・・・・小沢提督もそのために囮に・・・」

「・・・・栗田君。GFや軍令部内ではそう声高に叫ぶ連中も多いが・・・
・・あくまで主目標は敵艦隊だよ。君だって嫌だろう。輸送船襲撃の為に艦隊を危険にさらすのは・・・・。
わが海軍の宿願は艦隊決戦!栗田君がその主役となるのだよ!」
「は、はあ、いやしかし・・・・」

「敵艦隊に遭遇できないのであれば、割り切って艦隊を保全し、次なる機会に備えるのも将たる者の務めだよ。」

「・・・・・・・!」


「栗田君、君の志は連合艦隊司令長官だそうだね。その夢、この嶋田が叶えてやってもいい。
水上部隊を無用の危険から護ってくれれば、ね・・・・・」


「・・・・・・・ぎ、御意・・・・・・」



「と、とにかく、対潜、対空警戒を厳にせよ!」
夜半のパラワン水道通過を前に、栗田の声は上ずっていた。



644: ↓名無し:15/03/20(金)21:43:33 ID:9hW ×
>>642
そういえばそうやな。1965年やと却って今より資料不足やしなぁ・・・そういう意味ではかなりリアル

この世界でも愛宕が旗艦か



645: 俊也:15/03/20(金)21:43:57 ID:mye主 ×
アメリカ第三艦隊 戦艦ニュージャージ

「敵基地攻撃隊が帰投します。撃墜および地上撃破100機以上・・・・ですがわが方も47機未帰還・・・・」

「フン・・・・ジャップもなかなかしぶとい・・・・まあ、あとは第7艦隊のジープ空母群に任せておくとしよう」

「ハルゼー閣下、敵の水上部隊を捕捉!パラワン、シブヤン海経由でレイテ湾口に突入を図ると予想されます。」

「まずはそいつから叩くか。明朝シブヤン海に入ったところで第2から第4の3個群を以て対応する。準備させろ!・・・
・・そのうちオザワもでてくるだろう」
646: 俊也:15/03/20(金)21:52:46 ID:mye主 ×
第一機動艦隊 旗艦 信濃

「なんとか、早めにこちらに引き付けたいもんだね」


彡(゚)(゚)「はい長官。まあ明日午前中には、ハルゼーの索敵圏内に入ると思います。」

「それでも栗田艦隊は、ある程度叩かれてしまうな。」

彡(゚)(゚)「なんとか、耐えて突破してもらうしかありません。
主力艦を無傷に近い状態でレイテまで持たせられれば・・・・“史実”とくらべて有利なのは、
われわれ全体の初動が早く、うまくいけば上陸間際の敵輸送船団を捕捉できるかもしれないということです。」

「そして・・・・わが機動艦隊も囮とはいえ・・・・!」

彡(゚)(゚)「はい!前回マリアナ時にまさるとも劣らぬ打撃力を有しております!」





空母 信濃 大鳳 瑞鶴 雲竜 葛城 天城 笠置 龍鳳 千代田 千歳


作戦機 410機 

航空戦艦 伊勢 日向

軽巡 多摩 五十鈴 大淀

駆逐艦 10隻

・・・・・正直、雲竜級の新造空母や千代田などの軽空母のなかには、
艦載機が定数割れしている艦もあったが・・・・
それでも、この状況下では破格の機動打撃戦力と言えた。
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