悪役過ぎない気まぐれ財閥令嬢が野球と言うスポーツで無双します!?

俊也

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可能性は無限だよ

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山倉、綺麗に三球三振。
「ストレートだとまぐれがある。
だから全部変化球で手玉に取った。
普通に冷静だな、まだ奴は…。」
肩を落として引き上げてくる山倉の肩を、ポンポンと叩く明智。
児島もセカンドフライ。
そして7番渡部。
パワーはそこそこだがミート力は明智や成川に引けを取らない曲者打者。
目が慣れていればあの堂林相手にも期待は出来る。

ん?
なんだ?
審判の動き。
日本の高校野球にも導入された申告敬遠!?
バカな…確かに渡部は好打者だが…。
ファラリスナインの視線はネクストの主将、内田の方に向く。
で、向こうのベンチのヤジである。
「おー次は名ばかり主将さんかー」
「守備固めレベルの実力でよくキャプテンなんて名乗れるなー」
「モテると思った?ドーテーくん?」

内田の顔はかすかに青ざめ、ぎこちない歩調で素振りをしながら打席に向かっていく。
「クソ!嫌がらせか湾岸の奴ら。晒しあげじゃねーか!」
「弱いとこから切り崩して、なんとか現状打破したいのはわかるが…負けてる腹いせだぜこれは。」
なんとか頑張ってくれ、内田。
「ねーねーうっちー」
彩奈?
「そんな力んで大根切りみたいなスイングしちゃあ。いつまで経っても打てないよ?」
「わかってるよ、総見寺さん、でも…」
体格もセンスもない、だから折角色々打撃理論を研究して実践しようにも、監督らがそれを許さない。
お前は守備固め目指してノックだけ受けてろ。
打撃は教科書通り、コンパクトにしろ。
変なことをするな。
逆らえなかった。
だから意地でもと、守備だけを鍛え、不器用なりに堅実に、たまたま二遊間が薄かったセカンドのポジションを勝ちとったのだが…チーム内や監督の扱いは…。
というより、自分の理想や美意識はとっくに捨て去り、レギュラーにしがみつくためだけの練習とキャプテン雑用…

そんな細かい事情を知らない目の前の少女は…
「すぐに色々できないだろうからさ。
2つだけやってみなよ…

…じゃ、頑張れー」

軽く2秒だけ、手を握る彩奈。

いつもの左打席に入る内田俊之。
応援団、ブラバンが型通りの応援をするだけである。
そのまま自動アウト案件だが…。
(手は抜いても舐めプはするな堂林。)
(わかってるぜ小松崎)
初球、145キロアウトローストレート。
カイン!
!?
力無い三塁側ファウルが転がる。
しかし。
当てた…?
微かに顔が歪む。
このクラスのストレートに合わせられる奴だったか?
「いいぞーキャプテン!
…まあしかし当てた本人が1番驚いとるわな笑」
「だけど、今自然にバットが出た。何かが変わったぞ。」
成川に返した明智の言葉に、皆が改めて身を乗り出し、檄を飛ばす。

(その涼しい顔が気に食わねえ。高速スプリットにはいくらなんでも無理だろ)
(よし、確実にワカらせてやれ)
サインのやり取りが済み、堂林の手から2球目。
なんと144キロ。
そこから鋭く落ちる球などプロでも。
キイイイン!
?!?!!!!

な ん だ と ! ?
フライだ。
まさか当てやがるとは!
しかしレフトの定位置。
そんなに甘くねえ…

あれ。
レフト宇野がジリジリ下がっている。
やがてスタンドフェンス寄りに…。
「お、おい、冗談きついぜ?」
堂林も、湾岸高校ベンチもスタンドも静まり返っていた。
レフトはついにスタンドに密着。
ボールはまだ、力を失わない。
「おいやめろ、やめろ、行くな!超えるな!」
ついにジャンプで捕球しようとするレフト。
「やめろおおおおおおー!」
カポーン。
レフトフェンスを超えたボールが芝生上で跳ねる。
塁審の腕が回る。
そう、高校通算打率.134の内田俊之が、なんと超高校級クラスのピッチャーからホームランを打ったのだ!
「うおおおおあおおおお!」
人目をはばからず涙を流し、二塁付近でジャンプ、感情を爆発させる内田。
その感動はファラリス学園ベンチやスタンドにも伝播した。
「内田ー!」
「忘れてた!さすが聖ファラリス学園キャプテンだぜ!」
「気持ち良すぎだろ!」
「内田くんカッコいいー!!」

「うおおすげえ!」
「これは素晴らしいキャプテン!」
チームメイトも狂気乱舞である。
「ワシが育てただけはある!信じていたぞ内田。」
監督の言葉をスルーし、ベンチでハイタッチして迎える面々。
「凄えじゃねえか。どうやったんだ!?」
成川の疑問は皆も悦びとは別に、共有するものであった。
「いや、ただ、ピッチャーが踏み込むのに合わせて前足かかとを踏め、バットを振ろうとせずに身体を正面に向けろ。
そう彩奈さんにいわれて実行したんだけど…」
「シンクロ打法と正面打ちか…。」
明智の言葉に皆が振り返る。
なんですかそれ?
「投手の踏み込み、重心下げるタイミングに合わせてバッターも何か一呼吸動作する。
じゃんけんの入りや相撲の立ち合いと一緒だ、ピッチャーと動きを同調させてしまえば、あと起こることに対応しやすくなる。」
へえー、というしかない一同。
「で、とにかく身体をすっと正面に向ける、そうしようとすると骨盤も鋭くターンして、それにリードされるだけで半分無意識に、スムーズにバットが出る。
そしてボールもより見やすくなる…。
偶然もあったかもしれないが。
とにかく彩奈のことを信じ切って無意識にバットがに任せた内田の勝利だ…。」
理論はよくわからないが、改めて拍手するファラリスナイン。
(しかし、そんな理論をどうやって…付け焼き刃ではないな?)
当の総見寺彩奈は、すでに左打席に入ってる。
問題はマウンドであった。
「敬遠だと?」
監督からの伝令に、湾岸高校エース堂林は大声で威嚇気味に返していた。

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