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いざ、甲子園へ、そして…
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異様な熱気は試合終了、表彰、閉会式終了後も収まらなかった。
球場裏スペースに詰めかけていたスポーツ誌、週刊誌記者が80名以上殺到する。
ワイドショーのライブカメラまである。
明らかに、普段以上に異常な空気。
明智、成川、山倉が筋骨の壁を作り、彼ら彼女らのお目当て総見寺彩奈を引きずり出そうとする連中からのガード体制。
「ちょっと!君たちじゃ話にならないからどいて!」
「彩奈さんコメントお願いしまーす!」
「まずこっち来て単独インタビューを!」
『基地外かよこいつら』
『ほんとロクでもないよねマスゴミ』
『芸能リポーターが当たり前に混じるなよ。』
ネットSNSでは怒りの声で溢れるが…。
「すみません、高野連の方からも通達あった約束事なので。」
「何もコメントしないとは言ってないだろ?」
明智らが声を張り上げるが…。
「うるさい!世間知らんガキが!」
「視聴者、読者が求めてんだよ!」
「総見寺さん出てきてくださーい!」
完全に無表情になった彩奈を見て、明智がある種の危惧を抱いた刹那。
ぐいっと、押しのけられた。
その本人、総見寺彩奈がマスコミ軍団の前に出てきたのである。
砲撃のようにフラッシュが焚かれ、幾つものマイクやレコーダーが突き出される。
そして収拾がつかない質問の嵐。
だが、彩奈は、全くそれらを意に解さなかった。
埋もれてしまうような背丈なのに、周囲の大喧騒をただの虫ケラの鳴き声のように見下した目。
まるで高次元の超越者のように直立していた。
「えーと…潰します。」
は?
「甲子園は通過点です。
あんた達が思ってる常識は全部破壊します。
どんな強豪校や有名な選手がいるか知りませんが全て制圧蹂躙します。
私にしたらヌルゲーですから。
何なら高校野球ごとぶっ潰します。
はい、以上!終わりっ!
後はどうとでも書いてくださーい!じゃ!」
言いながら彩菜はわずかに空いた隙間から駆け出す。
2テンポ遅れて騒然となり、あらゆるネガティブな質問を繰り出しつつ追いかける報道陣だが、あっという間に見失う。
完全にコケにされたと感じたのか、報道陣の矛先はやり過ごそうとしていた鈴井監督に向く。
「監督!今の発言はあまりにも傲慢じゃーないですかね。」
「普段どう言う教育をされてるんですか!?」
「高野連から処分が降ると思うのですが!?」
「あっあー、そりがその…。」
しどろもどろの監督に替わり、明智が答える。
「申し訳ありません。
彼女は繊細でこうした騒動に特に動揺しやすく、今みたいなメディアスクラムを食らうとパニックになって思ってもないことを口走ってしまうんです。
…って、私たちファラリス学園サイドから何度もご説明して、高野連の公認の元、取材制限の約束事を決めたんですが…なんですか?
先に約束破っているのはあなた方いい年した大人じゃあないですか。どうなんです!?」
何だとお前も…と激昂しかけた記者が何名かいたが、別の記者達がある事に気づいて止める。
そうか、この明智洸太郎も。
昭和の妖怪王、明智信太郎元総理の孫…。
引退後も未だ健在、与党、政府に大きな影響力を持つ男…。のみならず財界、つまりメディアにも…。
その事実が皆が共有するところとなると…。
潮が引くようにイナゴの大群は去っていった。
ふうっ、とため息をつくファラリスナイン一同。
あの様子だと荷物も放置して車で直帰したな。
お嬢様は…。
後で届けに行くかと明智は内心呟く。
多分部屋にこもってゲームか…いや、爆睡だろうな。
それにしても正に猫のように、何を突発的に言ったりしたりするのか分からない子だな。
「よっしゃ!気分変えて順々苑で焼肉祝勝会と行くかー!!明智総理(予定)の奢りで」
「お、おい待て。」
再度湧き上がるナイン。
ロッカーに足を向けつつ、明智はここまでの試合、それにおける彩奈のピッチングを反芻していた。
結局、実戦で「上限」を見せることはなかったな。
最初の出会いで見せた「アレ」が最大値かどうかさえわからない。
総見寺彩奈…。
甲子園の強豪相手にリミッターを解除した時、猫が一転猛虎になる。
何が起こるのか…かすかに戦慄を感じるのであった。
球場裏スペースに詰めかけていたスポーツ誌、週刊誌記者が80名以上殺到する。
ワイドショーのライブカメラまである。
明らかに、普段以上に異常な空気。
明智、成川、山倉が筋骨の壁を作り、彼ら彼女らのお目当て総見寺彩奈を引きずり出そうとする連中からのガード体制。
「ちょっと!君たちじゃ話にならないからどいて!」
「彩奈さんコメントお願いしまーす!」
「まずこっち来て単独インタビューを!」
『基地外かよこいつら』
『ほんとロクでもないよねマスゴミ』
『芸能リポーターが当たり前に混じるなよ。』
ネットSNSでは怒りの声で溢れるが…。
「すみません、高野連の方からも通達あった約束事なので。」
「何もコメントしないとは言ってないだろ?」
明智らが声を張り上げるが…。
「うるさい!世間知らんガキが!」
「視聴者、読者が求めてんだよ!」
「総見寺さん出てきてくださーい!」
完全に無表情になった彩奈を見て、明智がある種の危惧を抱いた刹那。
ぐいっと、押しのけられた。
その本人、総見寺彩奈がマスコミ軍団の前に出てきたのである。
砲撃のようにフラッシュが焚かれ、幾つものマイクやレコーダーが突き出される。
そして収拾がつかない質問の嵐。
だが、彩奈は、全くそれらを意に解さなかった。
埋もれてしまうような背丈なのに、周囲の大喧騒をただの虫ケラの鳴き声のように見下した目。
まるで高次元の超越者のように直立していた。
「えーと…潰します。」
は?
「甲子園は通過点です。
あんた達が思ってる常識は全部破壊します。
どんな強豪校や有名な選手がいるか知りませんが全て制圧蹂躙します。
私にしたらヌルゲーですから。
何なら高校野球ごとぶっ潰します。
はい、以上!終わりっ!
後はどうとでも書いてくださーい!じゃ!」
言いながら彩菜はわずかに空いた隙間から駆け出す。
2テンポ遅れて騒然となり、あらゆるネガティブな質問を繰り出しつつ追いかける報道陣だが、あっという間に見失う。
完全にコケにされたと感じたのか、報道陣の矛先はやり過ごそうとしていた鈴井監督に向く。
「監督!今の発言はあまりにも傲慢じゃーないですかね。」
「普段どう言う教育をされてるんですか!?」
「高野連から処分が降ると思うのですが!?」
「あっあー、そりがその…。」
しどろもどろの監督に替わり、明智が答える。
「申し訳ありません。
彼女は繊細でこうした騒動に特に動揺しやすく、今みたいなメディアスクラムを食らうとパニックになって思ってもないことを口走ってしまうんです。
…って、私たちファラリス学園サイドから何度もご説明して、高野連の公認の元、取材制限の約束事を決めたんですが…なんですか?
先に約束破っているのはあなた方いい年した大人じゃあないですか。どうなんです!?」
何だとお前も…と激昂しかけた記者が何名かいたが、別の記者達がある事に気づいて止める。
そうか、この明智洸太郎も。
昭和の妖怪王、明智信太郎元総理の孫…。
引退後も未だ健在、与党、政府に大きな影響力を持つ男…。のみならず財界、つまりメディアにも…。
その事実が皆が共有するところとなると…。
潮が引くようにイナゴの大群は去っていった。
ふうっ、とため息をつくファラリスナイン一同。
あの様子だと荷物も放置して車で直帰したな。
お嬢様は…。
後で届けに行くかと明智は内心呟く。
多分部屋にこもってゲームか…いや、爆睡だろうな。
それにしても正に猫のように、何を突発的に言ったりしたりするのか分からない子だな。
「よっしゃ!気分変えて順々苑で焼肉祝勝会と行くかー!!明智総理(予定)の奢りで」
「お、おい待て。」
再度湧き上がるナイン。
ロッカーに足を向けつつ、明智はここまでの試合、それにおける彩奈のピッチングを反芻していた。
結局、実戦で「上限」を見せることはなかったな。
最初の出会いで見せた「アレ」が最大値かどうかさえわからない。
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