拳の価値は〜いじめで人生詰んだ僕がチート超戦士になり国を守る!【現実を異世界にします!?】

俊也

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狂育者を裁け

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翌朝…。
すでにアヤナが主要動画サイトに放流したいじめグループの懺悔&制裁動画は「バズり」まくり、圧倒的支持の声と共に燃え上がった。
その火はもはや一晩にして、いわゆる新聞、週刊誌、テレビのオールドメディアにとっても無視できぬものとなり…
テレビのモニター上では、男子サイドリーダー格の父親、大村健一都議会議員(民自党系)の出庁間際を狙い、報道陣が殺到することになる。
「大村議員、一言!」
「息子さんが執拗に性的暴行をしていたとの事ですが!」
「警視庁に息子さんのスマホが届いたとの事ですが、その中身が動画の内容と一致…」
質問とフラッシュの嵐に、大村は息子は被害者だと繰り返すばかりで、報道陣をどうにか掻き分け、車を辛うじて出す。
(三階幹事長…庇ってくださると言ったのに…)
次期国政進出の夢。
最早それどころではない事を、車中で大村は痛感した。
その後映像は朝のニュースショーのスタジオへと切り替わる。
「さて一連の少年Aによる私刑的連続殺人。これの関与も疑われる炎上騒動ですが、それ以前に今回のいじめ事件があまりにも悪質、というのがあります。
シンさんのご意見は…」
50代くらいの、眼鏡姿の男性大学教授が答える。
「いや、まず、一連の、正義を気取った殺人少年がネットで絶賛され、英雄視されていることが何より問題です。
特に少し前の新鮮総連での拉致問題にかこつけたヘイトスピーチ、ヘイトクライム。これもまた絶賛されていることがもっとも憂慮すべきことかと思われます。
警視庁も逮捕できないでいるのか、現在の民自党政権の意を受けているのか、極めて疑わしいと言いますか…。」
お前は何を言っているんだ。
都心のシティホテルの一室で、高志は朝食後のコーヒーを飲みながら呆れ帰った。
この俺を叩くのはいい。
だが、いたいけな少女の心身へのダメージや、何十年も他国に拉致された人々やご家族の心情を無視とは。
そもそも思想以前に人としてどうなのか。
軽くマグカップの取っ手に力がこもる。
「ねー高志。今は元気みたいだけど、リンちゃん大丈夫かな。」
アヤナの声で我に帰る。
「ああ、そうだな。
心配ではあるが、唐澤弁護士に頼んだ内容証明が加害者の各世帯に届く筈だ。それでしばらくはバカ親どもも足止めできる。
なにしろ『イジメに強い弁護士』だからな。
当然完全に安心とはいかないけど…。
とにかく今日で、トドメを刺す。ところで…」
アヤナに高志は向き直る。
「夕べ、あんな真似をさせて申し訳なかった。」
「あーヘーキヘーキ、慣れてっから。
それより、リンちゃんの事を思えば…」
「うむ、そうだな…」
では征くか。
割高だが、安全の為タクシーを使う。
そして、原リン母子と合流した。
この度は…と深々と母親に頭を下げられるが、こちらも恐縮して頭を下げつつ制する。
「まだ辛い記憶を思いださせてしまうかも知れないけど、いいかな?」
高志の言葉に、大丈夫です。と、小さいがしっかりとした声で、リンは応えた。
アヤナが手を握る。
そして、リンの中学校へと向かう。
今日は当人は休みと伝えてある。
他生徒の目線を避ける為、来賓通用口から入る。
朝の騒動を知っている校長教頭担任は、渋々アポに応じた。
メディアの方は生徒の動揺云々を盾に、なんとかあしらったのだが。
高志はグレーのビジネススーツを着込む。
少しでも、年齢、肩書き不詳で通すことにしたのだ。
実際校長室のある校舎付近に配置されていた警官2名は、リンの従兄弟という説明を鵜呑みにして、身分証の照会すらしなかった。
そもそも校長サイドにこのメンツで行くと伝えて、それと合致していたからというのもある。

そして、校長室…。
校長も教頭も担任も、型通りの挨拶をしたのみで、あとは尊大とすら言える態度。
あんな動画は証拠にならない。私達に責任はないと、あくまでそれで押し通す気なのだろう。
サングラスとマスクを、入室前につけたアヤナが、例によってスマホ三脚を構える。
「録画…いいすよね?」
高志の言葉に校長は、好きになされたら良かろうと返した。
どの道、女親1人とガキと若造3人に大したことはできまいとタカを括っていたのだ。
そして、目の前の青年?が、まさか世間を騒がす連続私刑殺人少年とも思わなかった。
ネット掲示板などには校長教頭はもちろん、SNSで自己顕示欲を満たすことしか頭にない若い女性担任も縁が無かったのだ。
まず、担任の先生に伺いたいのですが、と母親が切り出した。
「この日、娘のTwitterにも書かれているのですが、娘がいじめの相談をした時、今夜デートだからと無下に断ったのは本当ですか?」
「そんなこと、あるわけないでしょう。
細かくはそりゃ覚えてませんけどー、ちゃんと時間は取りましたよ。その時も言ったし、校長達も言われたと思いますけど、リンさんは少々被害妄想が強すぎるんじゃないですか?」
美人ではあるが、常にピリピリした表情を崩さないアラサー女性教師は眉を歪めつつそう返した。

そうですかと母親はあっさり引き下がる。
不審な表情を一瞬浮かべた校長と教頭。
そこへ高志が、いきなり爆弾を投げ込む。
「時に教頭、夕べのタイムスケジュールは如何様でしたか?」
「は、ええと…22時まで執務して、後は家に…。」
「おかしいですねえ!?」
!!??
「先刻奥様にお電話で伺った時は、帰りは午前様だったと。」
「いやそんな!何かの間違い…。」
高志は無言でスマホを突き出す。
そこに映っていたのは、明らかにベッドの上であられもない姿を晒す、教頭とアヤナの痴態であった。
『あっあっ、そんなに…おじさんの(ピーッ)が緊急事態宣言~』
うわああと教頭は頭を抱える。
そこへアヤナがサングラスとマスクを外し、ヤッホーと手を振る。
「昨夜は7万ゴチー。この動画共有してるよねー。
それどころか過去の他のJKJCの子の裸の画像動画一杯見せてきたよね。キモ過ぎぃ!!
いまから表の警官呼んでこようか?立派な児ポ所持、未成年買春だけど?」
どっどうかご勘弁をと、教頭は手を合わせる。
校長…
高志の言葉に、びくりと身体を震わせる校長。
「これらが表になれば流石にあなたの方も無事では済まない。というよりあなたの同様のアキレス腱も、こちらは握っている(これはハッタリ)。
本来いじめ対応の件も含めすべてぶっちゃけてもよいが、リンさんの了承を得て、選ばせてあげましょう。
なんぼかマシでしょ?こんな痴態を全国に晒すよりは、イジメ問題に対する対応ミス、怠慢、忖度を素直に認めて世間とリンさんにお詫びした方が。」
「あ…う…あぐ、わ、分かった、分かりました。
全て…お話します。」
女性担任が床に崩れ落ち、なんでこうなんのよーと泣き伏す。
一通り聞き取り撮影し終えると、高志は無言で床を指差した。
数秒のタイムラグの後、3人の出来損ないの教育者は、リン母子に向け土下座した。
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