拳の価値は〜いじめで人生詰んだ僕がチート超戦士になり国を守る!【現実を異世界にします!?】

俊也

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決意と研鑽

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その夜。
国家権力と反社最大勢力の双方に狙われている、その本人は、それどころではなかった。
「え…。で、出て行く?」
正面でベッドで向き合っているのはアヤナであった。
だれが言い出し決めたわけでもなく、牧野さくらかアヤナがほぼ交互に夜は、高志の寝所を訪れるというのがルーティンとなっていた。
これってそもそも男として、人としてどうなんだ?
正直悩んでいた気持ちはあった。
両者それぞれに自分の意志で、とは言え、特にアヤナは未成年な上に年下なのだ。
いずれ何がしかのけじめを、と思いつつ、高志はずるずると、いわば二人に甘えきって、有耶無耶になってしまっていた。
それが、ここに来てアヤナからの爆弾投下であった。
「うん、もうウィリーのおじさんには言ったー。
実はさ、出て行ったママが再婚してて、一人の時にリモートで再婚相手とも話したりもしてて、まあこいつなら大丈夫かなって。」
「そ、そうか。それは良かった。
新しい家族と幸せに暮らせれば、それが一番だもんな。」
だけど何も、今この時間でなくても。
「なんか、みんなに見送られてとか、苦手だし。
おじさん車用意してくれたし。
…あ、高志が気に病むような事はなんもないよ。
ウチがやりたい事…ちゃんとした事だよ…見つけたから。」
「そ、そうか、それなら。」
止めるべきではない。止められる訳がない。
頭では分かっていても、高志は…
アヤナを強く抱きしめ、なんなら押し倒したい衝動と必死に戦っていた。
それを読み取ったのかどうか。
アヤナは最後に頬にキスをくれた。
「ありがとう。高志が今までで一番優しかったよ。」
そう言って、キャリーバックを引き、ドアを開ける。
「じゃあねー、またどっかで逢おう。」
高志は敢えて立ち上がらず、そのままぎこちない笑顔を返しつつ手を振りかえした。
ドアが閉まる音。
と、ともに、高志は灯りを消し、布団に潜る…。
が、20分後、スマホを手に取る。
「あ、ケンか、すまない、寝てた?
そっか、ごめん、そっちに、ビールとかあるかな?」
「ああ、そんな話か、うん。あるよ。こっちの冷蔵庫に2.3本残ってる。
適当に入って飲んでていいよ。僕はしばらく作業してるから。
ははは気にすんな。今から上のコンビニ行くの面倒くさいもんな…。そんな夜もあるさ。」

翌朝、6時半
シコシコシコ…。
「ご精が出ますね…あっ。」
無言、無心の高志の姿と表情を見て、察したさくらはその場を離れた。
吐く呼吸と同時に、正中線の意識と腹圧を高めて…。
その意識をすれば、何倍にも効果は増す。
この特種錬成トレーニングマシンは。
あとは、徐々に無心の域に…。
負荷自体は重くて20キロ程度。短時間で筋肉に重い負荷で刺激を送り、筋肉繊維を破壊して超回復を促す一般のウエイトとは一線を画する。
筋肉が緩み、伸び、縮む。
ひたすらそのサイクルを反復する。
結果、随意的に力まずとも自然に、空手で言えば突き蹴りの速度が飛躍的に伸びて行く。
そして、全身を一括で高度にコントロールする正中線の意識をより高く、より深く。
今、自分の正中線は、上は成層圏はるか上、下は地球の中心。
そのレベルにはどうやら達しているようだ。
「イメージとは言っても、大脳で思い描く映像的なものと、完成した身体感覚とは全くの別物だ。」
そう東郷先生には説かれている。
だが、これは本物だ。
骨格や筋肉、筋力は確かに大切だが、それら全てを統括する正中線の意識。
これが短期間で急激に発達したのも、特種錬成マシンとの相乗効果。
そして高志本人の強力な意思があったればこそ。
いや、もちろん満足はしない。
まだまだ…さらなる高みへ。
宇宙と完全に繋がる天を貫く正中線を…。
そうすれば世界史クラスの人物達と肩を並べることができる。
さらに…
「宇宙」と言う概念をすら超えようかと言うレベルまで進化すれば…。
ヒトを超えることとて可能…。
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