拳の価値は〜いじめで人生詰んだ僕がチート超戦士になり国を守る!【現実を異世界にします!?】

俊也

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筋肉こそ正義

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!!??
「何だ!日本人か!?何を!?」
「約束破って武装警官だったら許さねえぞ!!!」
「安心しろ、警官だが素手だ!」
薄暗い非常口方面に向け…。
目を凝らす犯人達。
何だこいつは!?
人質に取られていた女性行員の一人が、支店長が殺害された時以上の悲鳴をあげる。
筋肉逞しい男、などと生易しいものではない。
圧倒的、超絶的な巨大筋肉の集合体が、人の形をしていた。
そうとしか表現しようがない。
そして、確かに、男は丸腰、素手であった。
なにしろ赤いビキニ一枚だったのであるから…。
「て、テメェ、ボディビルの会場じゃねえんだぞ。」
(とは言え、そちらのジャンルに詳しいものが見ても、『彼』の筋肉は規格外過ぎた。)
「一応私は警官だ。だがご覧の通り手帳は持っていない。」
ガアン!と強盗のリーダー格は『彼』ことマッスル喜多村の足元に銃弾を撃ち込む。
「そんな事は聞いてねえ!政治犯はともかく、金は持って来たのかテメェ!金だ!金!!100億円だ!」
「…あいにくだけど。」
低く押し殺した声。
先刻柏木巡査に対した時とは全く声色も人相も一変していた。
「ボク達誇り高き日本警察は、欲に塗れ腐った卑劣漢どもに払う金は一銭も持ち合わせていない。この僧帽筋もそう言っている。」
…!!!
こめかみに血管を浮かび上がらせ、リーダーはショットガンを向ける。
「糞が死ね!!小日本の犬が!!」
瞬間、マッスルの巨体が消えた。
!!??
コンマ数秒後、男の全身に凄まじい、トレーラーに撥ねられたかのような衝撃!
馬鹿な…こいつとは10メートルの距離…が。
それがリーダー格の男の最期の思考であった。
ごくシンプルなタックル…というよりは相撲のブチかまし。
12メートル先の壁に叩きつけられ、血の花を描く。
再び悲鳴。
そして…華国系強盗団…というよりテロリスト集団も数秒程フリーズしてしまう。
100走世界記録保持者と同等に、実は大相撲の横綱の立ち合いの初速も、秒速8メートル前後。
いずれにせよマッスルのそれは、下手すれば倍以上。
「ボディビル的ニュアンスの筋肉は使えない」などといった議論を嘲笑うかのような超豪脚!!
「舐めるな筋肉達磨!ぶち殺せ!」
再び突進して来たマッスルに向け、無数の銃弾。
確実に数発は胸や腹に当たった!!
瞬間的に何人かはそう確信した、が、マッスルのスピードは落ちない。
何故だ!?
などと思い巡らす間もない内に、10名ほどが一息に、160Kgの巨体の激突に跳ね飛ばされる。
見ると…確かに5発の銃弾は当たっていた。
が、文字通り皮一枚。膨大な筋肉に膜程度に張り付いた皮膚しか抜けず、中途半端に刺さったまま…。
銃弾を通さない超筋肉。
そんなものが実在するだと!?創作ですらもう少し現実に寄せる。
愕然としつつも、今度は頭部に狙いを定めるテロリスト達。
が…。
ぐえああああっ!!?
凄まじいスピードで、投げつけられたのは、顧客用の書類記入台。
あれって引っこ抜けるものなんだと、行員達は思ったという。
その後も敵に発砲の暇も与えず、今度はビッグサイズのソファーを時速100キロ以上で次々と投げつけるマッスル。
もはやテロリスト達にとっては砲撃にも等しい暴威であった。
3分と少しで、完全武装テロリスト30名強が壊滅。
外部でモニターを見ていた警官隊が雪崩れ込み、すでに全員重傷以上のダメージを負った犯人達を捉え、隅で震えていた人質達を保護していく。
呼吸を整えるマッスル。
そこへ石井管理官が歩み寄る。
「ご苦労様。今日の功績に関しては総監から…」
「お喋りでしたら後にしてくれないですか。
カタボリックが始まっちまう。」
「…あ、あ、おう。おい君。」
「はいっ!」
何故か侍っていた柏木巡査が、プロテインシェイカーを差し出す。


その日の夕刻、華国大使は激怒し、日本政府外相を大使館に呼び出そうとした。
が、実際に来たのは外務次官で、こう言い放ったと言う。
「仰せの通りに我々の警察は、銃火器はおろか警棒一本使っておりませんよ?」
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