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GO!マッスル!
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激闘から10日と少し、高志は退院した。
終盤は治療と言うより、外部の大学教授達からいろんなデータ収集を受けるのに忙しかった。
もしかしたら何人かには、「少年A」と気づかれたかも知れない。
しかし彼らも、学術的好奇心が、表面的な社会的正義感に優ったようだ。
「最早貴方のそれは、回復力と言うより再生力ですな。
当然世界に論文として発表したい所ですが…。そもそもまともに取り合ってもらえるかどうか笑」
ある医師にはそう言われた。
とにかく高志は、「懐かしの我が家」に帰って来た事になる。
「表向きの空手道場」の地下になるけれど。
昼食を摂り、少し休んでから、特種鍛錬マシンを1時間。
そこから、「原点」たる鉄塊叩き。
「オイオイ。トバし過ぎだろ…。」
ヒデ…芦屋が苦笑しながら近づいて来る。
「仕方ない、動いてしまうものは。」
「…っても、俺も大体そんな感じじゃねーかと思ってよ…。」
道着の帯を締め直す。
「戦るか。久々に。」
「悪いね、態々。」
「なーに俺も先輩としてな。
てか、どーする。ちょうど地下には誰もいない。
立会人がな…。」
「まぁいいさ、ルールはざっくりストリート系、殺しはなしって位で。」
「よっしゃ」
他人が聞いたら物騒極まりないやり取りをしつつ、両者は向かい合う。
「っとまて、二人とも!すまんが先約がある。」ウィリーの声。
ちっと芦屋の舌打ち。
??!
姿は見えない。
だが、ウィリーの奥から漂う気。
なんだ、今まで感じたことのない…。
これは…巨きい!
「高志は初めてだったな。
喜多村和巳三段。警視庁特務班刑事だ。」
「はじめまして、神崎高志君。動画は色々見てますよ。」
ずいっと、今回は星条旗のバンダナを巻き、爽やかな笑みとともに現れた男。
凄い….なんだ…。
マッチョなんて言葉が陳腐に思える。
野球のキャッチャーミットを思わせる手と軽い握手交わしつつ、明らかに圧倒される神崎。
こちらの体重62キロに対し、向こうは150から160!?
しかも体脂肪率は1桁どころか、下手したら3%を切るのではないか。
全身これ、ヒトの筋肉…を超えた何か…。
柔軟にうねる、鋼鉄の生ける巨大なギミック…!?
「僕もお噂はかねがね、宜しくお願いします。喜多村さん。
神崎です。」
「はははっ。マッスルでいいよ。気楽に呼んで下さい。」
ただ爽やかマッチョなどと言うものでなく、理知的なものも感じる瞳(後日出身大学を聞き、たまげることとなる。)
それにしても…彼はどれほど、強いんだ!?
その神崎の思考を読み取った様な、ウィリーの無茶振り?
「さて、我々はスポーツジムの仲間同士ではなく、曲がりなりにも武道団体に籍を置くものだ。
挨拶がわりに互いの実力を試し合う、方法は一つだ。」
いきなりかよ。
この俺…神崎高志が、筋肉の大怪獣と!?
マッスルの方もやや、表情を引き締める。
今日は俺が振られる日か、と、芦屋は嘆息。
やや遅れて入って来た牧野さくらも、本気ですか?とウィリーに問いかけ、驚きを隠せない。
そして、互いに相撃つという事実をどうにか咀嚼し、高志はマッスルと向かい合う。
「素晴らしいな。」
!?
「このマッスル喜多村を恐れず侮らず、冷静に勝ち筋の計算を今この瞬間も進めている。」
「あなたもそうでしょう。」
始め!!
ウィリーの号令と同時に…。
案の定、猛牛となって爆足で突進して来たマッスルを、横の高速運足で受け流…
「づあっ!!?」
あまりにも卓絶した質量と速度の暴力に、高志の身体が宙を舞う。
終盤は治療と言うより、外部の大学教授達からいろんなデータ収集を受けるのに忙しかった。
もしかしたら何人かには、「少年A」と気づかれたかも知れない。
しかし彼らも、学術的好奇心が、表面的な社会的正義感に優ったようだ。
「最早貴方のそれは、回復力と言うより再生力ですな。
当然世界に論文として発表したい所ですが…。そもそもまともに取り合ってもらえるかどうか笑」
ある医師にはそう言われた。
とにかく高志は、「懐かしの我が家」に帰って来た事になる。
「表向きの空手道場」の地下になるけれど。
昼食を摂り、少し休んでから、特種鍛錬マシンを1時間。
そこから、「原点」たる鉄塊叩き。
「オイオイ。トバし過ぎだろ…。」
ヒデ…芦屋が苦笑しながら近づいて来る。
「仕方ない、動いてしまうものは。」
「…っても、俺も大体そんな感じじゃねーかと思ってよ…。」
道着の帯を締め直す。
「戦るか。久々に。」
「悪いね、態々。」
「なーに俺も先輩としてな。
てか、どーする。ちょうど地下には誰もいない。
立会人がな…。」
「まぁいいさ、ルールはざっくりストリート系、殺しはなしって位で。」
「よっしゃ」
他人が聞いたら物騒極まりないやり取りをしつつ、両者は向かい合う。
「っとまて、二人とも!すまんが先約がある。」ウィリーの声。
ちっと芦屋の舌打ち。
??!
姿は見えない。
だが、ウィリーの奥から漂う気。
なんだ、今まで感じたことのない…。
これは…巨きい!
「高志は初めてだったな。
喜多村和巳三段。警視庁特務班刑事だ。」
「はじめまして、神崎高志君。動画は色々見てますよ。」
ずいっと、今回は星条旗のバンダナを巻き、爽やかな笑みとともに現れた男。
凄い….なんだ…。
マッチョなんて言葉が陳腐に思える。
野球のキャッチャーミットを思わせる手と軽い握手交わしつつ、明らかに圧倒される神崎。
こちらの体重62キロに対し、向こうは150から160!?
しかも体脂肪率は1桁どころか、下手したら3%を切るのではないか。
全身これ、ヒトの筋肉…を超えた何か…。
柔軟にうねる、鋼鉄の生ける巨大なギミック…!?
「僕もお噂はかねがね、宜しくお願いします。喜多村さん。
神崎です。」
「はははっ。マッスルでいいよ。気楽に呼んで下さい。」
ただ爽やかマッチョなどと言うものでなく、理知的なものも感じる瞳(後日出身大学を聞き、たまげることとなる。)
それにしても…彼はどれほど、強いんだ!?
その神崎の思考を読み取った様な、ウィリーの無茶振り?
「さて、我々はスポーツジムの仲間同士ではなく、曲がりなりにも武道団体に籍を置くものだ。
挨拶がわりに互いの実力を試し合う、方法は一つだ。」
いきなりかよ。
この俺…神崎高志が、筋肉の大怪獣と!?
マッスルの方もやや、表情を引き締める。
今日は俺が振られる日か、と、芦屋は嘆息。
やや遅れて入って来た牧野さくらも、本気ですか?とウィリーに問いかけ、驚きを隠せない。
そして、互いに相撃つという事実をどうにか咀嚼し、高志はマッスルと向かい合う。
「素晴らしいな。」
!?
「このマッスル喜多村を恐れず侮らず、冷静に勝ち筋の計算を今この瞬間も進めている。」
「あなたもそうでしょう。」
始め!!
ウィリーの号令と同時に…。
案の定、猛牛となって爆足で突進して来たマッスルを、横の高速運足で受け流…
「づあっ!!?」
あまりにも卓絶した質量と速度の暴力に、高志の身体が宙を舞う。
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