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拉致
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これは…
PC動画の前で、唖然とする高志。
ウェイトトレーニングにおけるビッグ3。
つまりスクワット、デッドリフト、そしてベンチプレス。
マッスル喜多村は、それら全てを、悠々と700キロオーバー挙げるのである。
海外の超人的な筋肉番長達が、500キロ超の所で争っている所を…。
これも1年少し前の動画。アラフォーをとうに過ぎてなお進化している…?
「高志も疑問に思っているかもしれないが、筋肉を人類の極限を超えて進化させても骨の方が負荷500キロ付近で保たない、と科学的には言われているが…。
マッスルはそれをカルシウム、ビタミンDの大量摂取と、その500キロ超での高回数での各ウェイトを長時間…日によっては12時間前後こなす事で、骨密度も人間の限界を振り切ることで、解決したようだ。」
ウィリーの言葉に、ただ繰り返し頷くことしか出来ない高志。
大量の生卵と鳥ささみ、サバ缶をひたすら流し込む食事シーンも…。
凄い、ただただ凄い。圧倒的執念。
ボディビル…ウェイトリフティング…筋肉、パワーを追い求めると言う行為を、一つの武道にまで高めた男。
俺も、独自の鍛錬の方向性があるとは言え、まだまだ甘いな…。
その翌朝…
こちらは愛知県豊橋市。高志の地元である。
「おはよー」
「おはよーなーちゃん。」
いつもの友人達と合流し、学校へ向かう白石七瀬。
楽しげに、南新鮮国のアイドルグループの話題で盛り上がる友人達。
もちろん七瀬も要所で会話に加わるのだが…。
(…ネットの掲示板当たっても、やっぱわかるわけないよね…警察とかプロが捜査して、わかんないんだから…。
神崎くんから連絡…来るわけないか、あの時もほぼ塩対応?しちゃったし。
ええい今は切り替えよう。)
直後、後ろから車が迫る男。
歩道無しの道なので、一同当然端に寄るが…。
黒塗りのワゴン。
どす黒い空気を感じる七瀬。
そのワゴンは七瀬達の側で停まり…。
降りてきた屈強な男達。
どう見ても善良な市民と真逆の人種…
「オラ見せもんじゃねー!!」
他の登校中生徒達を、一人の筋者が威嚇する。
その未知の恐怖に、七瀬も、友人達も身体、声帯ともにすくみ、声も出せない。
そして…
「兄貴、こいつで間違いないっすよね。」
七瀬の髪を掴み、1人の男が車の方に顔を向けさせる。
「ああ、こっちの画像何枚かとも合う。その女だ。」
真木は唇の端を吊り上げる。
オラさっさと積んでけ!
引きずられるままに、七瀬が車内に踏み込みかけた時。
「乱暴しないで…なあちゃん離してあげて。」
振り返ると、グループ内で1番目立たなく気弱な景子ちゃん…。
目には一杯涙を…。
「ありがとう…景ちゃん…。」
お兄さん達、他の子達には手を出さないで。
両脇を抑えられつつ、そう七瀬は言った。
真木は舌打ちしつつ、オラ出せと叱咤する。
もう。信じるしかない。
涙を流しつつも、七瀬の目の光は失われていなかった。
PC動画の前で、唖然とする高志。
ウェイトトレーニングにおけるビッグ3。
つまりスクワット、デッドリフト、そしてベンチプレス。
マッスル喜多村は、それら全てを、悠々と700キロオーバー挙げるのである。
海外の超人的な筋肉番長達が、500キロ超の所で争っている所を…。
これも1年少し前の動画。アラフォーをとうに過ぎてなお進化している…?
「高志も疑問に思っているかもしれないが、筋肉を人類の極限を超えて進化させても骨の方が負荷500キロ付近で保たない、と科学的には言われているが…。
マッスルはそれをカルシウム、ビタミンDの大量摂取と、その500キロ超での高回数での各ウェイトを長時間…日によっては12時間前後こなす事で、骨密度も人間の限界を振り切ることで、解決したようだ。」
ウィリーの言葉に、ただ繰り返し頷くことしか出来ない高志。
大量の生卵と鳥ささみ、サバ缶をひたすら流し込む食事シーンも…。
凄い、ただただ凄い。圧倒的執念。
ボディビル…ウェイトリフティング…筋肉、パワーを追い求めると言う行為を、一つの武道にまで高めた男。
俺も、独自の鍛錬の方向性があるとは言え、まだまだ甘いな…。
その翌朝…
こちらは愛知県豊橋市。高志の地元である。
「おはよー」
「おはよーなーちゃん。」
いつもの友人達と合流し、学校へ向かう白石七瀬。
楽しげに、南新鮮国のアイドルグループの話題で盛り上がる友人達。
もちろん七瀬も要所で会話に加わるのだが…。
(…ネットの掲示板当たっても、やっぱわかるわけないよね…警察とかプロが捜査して、わかんないんだから…。
神崎くんから連絡…来るわけないか、あの時もほぼ塩対応?しちゃったし。
ええい今は切り替えよう。)
直後、後ろから車が迫る男。
歩道無しの道なので、一同当然端に寄るが…。
黒塗りのワゴン。
どす黒い空気を感じる七瀬。
そのワゴンは七瀬達の側で停まり…。
降りてきた屈強な男達。
どう見ても善良な市民と真逆の人種…
「オラ見せもんじゃねー!!」
他の登校中生徒達を、一人の筋者が威嚇する。
その未知の恐怖に、七瀬も、友人達も身体、声帯ともにすくみ、声も出せない。
そして…
「兄貴、こいつで間違いないっすよね。」
七瀬の髪を掴み、1人の男が車の方に顔を向けさせる。
「ああ、こっちの画像何枚かとも合う。その女だ。」
真木は唇の端を吊り上げる。
オラさっさと積んでけ!
引きずられるままに、七瀬が車内に踏み込みかけた時。
「乱暴しないで…なあちゃん離してあげて。」
振り返ると、グループ内で1番目立たなく気弱な景子ちゃん…。
目には一杯涙を…。
「ありがとう…景ちゃん…。」
お兄さん達、他の子達には手を出さないで。
両脇を抑えられつつ、そう七瀬は言った。
真木は舌打ちしつつ、オラ出せと叱咤する。
もう。信じるしかない。
涙を流しつつも、七瀬の目の光は失われていなかった。
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