5 / 5
職をください! パート2
しおりを挟む
「お前の希望する役職は何だ?」
先程男が戦っていたコロシアムを背中に、クラエルが周治を睨みながら聞いた。しかし、そんな顔も美しかった。
「解呪術師です!」
「そうか、それではレベルの診断を行う。このコロシアムの真ん中に来てくれ。そこで、お前の実力を測ろう」
そう言われた後、周治は、コロシアムの真ん中に連れて行かれた。そして、クラエルが、コロシアムの奥を指さして、一声を上げた。
「さあ、呪われし獣たちよ!この男を殺ってしまいなさい!」
すると、コロシアムの奥から呪目に侵された獣たちが5匹程度現れ、周治に牙をむいている。角が一本生えていて、それほど大きくないが、今にも突っ込んで来そうな勢いである。
落ち着け、落ち着け、と周治は自分に言い聞かせた。こんなところで屈するわけにはいかない。
周治が戦闘の体制を整えると、獣たちが、よだれを垂らしながら周治に襲いかかってきた。
治癒目を5匹に当てればいい話だ。
毎日のように学校で訓練してきた腕前を舐めてもらっては困る。そう思い、最初に口火を切って突進してきた一匹に治癒目の光線を当てた。見事に命中。すばらしい。そして、次の2匹が同時に襲いかかってきたが、両手で光線を放ち見事に命中。
最後に他の仲間がやられて萎縮していたのか、怯えていた2匹を同時に撃破。
我ながらエクセレントすぎる。
そうして、ドヤ顔でクラエルの方を見た周治だったが、クラエルは微動だにせず、真顔のままだった。
そうして、コロシアムの端にいるクラエルに近づいて、
「出てきた敵は全て倒しました。次の試練にすす…」
と周治が言ったとき、クラエルが口をはさんだ。
「お前はいらない」
へ?周治は驚きのあまり体が固まってしまった。
するとクラエルは蔑みの目でこう告げた。
「お前は、弱すぎる。この世界の住民じゃない。どうせ、カセイか、スイセイか、チキュウの住民だろ?武闘の稽古もしない愚かな民族はこの世界の戦士には相応しくない」
「僕の解呪見てました?!完璧でしょ?無駄のない動きだと思っていたのですが!」
周治は怒りのあまり大声で怒鳴り散らかした。
「ええ、解呪は素晴らしかった。解呪はレベル100といったところかしら。でも、あなたには忍耐力、精神力が足りない。戦い終わった後のあの透かした顔。ドヤ顔なんてしている暇は戦士には無いのよ。今の貴方を戦士にしたところで、出陣一回目で首をかられておしまいになる。そこまで私は見えている。今回は残念だったけど、次の選別では合格できるように頑張りなさい」
そう淡々と告げると、「はい、次の人」といって並んでいる列に向かっていった。
そんな、こんな終わり方ってありかよ!?と怒り狂っていたが、列に並んでいた人たちに睨まれて、その場を後にした。
外の広場に出ると、結果を知らないマニーが、笑顔で周治のことを待っていた。
「おつかれー!どうだった?試練は?」
そう無邪気に聞いてくるマニーに、
「駄目だった。なんで、なんで、なんでなんでなんで?」
周治は頭を抱えて座り込んだ。
するとマニーが、察したのか、座り込んだ周治の横に座って頭を撫でながら、耳元でこう囁いた。
「よしよし、いい子いい子。よく頑張ったね」
その言葉と同時に周治の顔には涙が浮かんだ。そして、マニーに抱きついて、しばらく動かなかった。
はっ。目が覚めると、回りはオレンジ色に染まり、自分とマニーしかその場にいないことに気づいた。
周治は眠っていたのだ。
しかし、そんな周治をマニーはずっと待っていた。
「おはよう。シュージ。さあ、帰ろっか」
何事もなかったかのようにマニーは立ち上がって、周治に手を差し出した。
周治はそれをとって立ち上がった。
「うふふ。起きれて偉いね」
マニーはやはり微笑んでいた。周治が試練に落ちている悲しみを忘れさせるためだったのだろう。
「ありがとう、マニー」
一言そう言うと、二人は無言で家に帰った。
家路につくと、家の外から、村長の大きな声が聞こえた。
その声は張りがあって、とても明るく、元気強かった。
マニーが家のドアを開けて、
「ただいまー!」
と大きな声で言うと、村長がダッシュで玄関まで駆け込んできた。
「おかえり!!!大変だあ、大変だあ」
「どうしたんですか?」
と周治が聞くと、村長は笑顔でこう言った。
「女神様のお帰りだ。この世界に、女神様が、帰ってきたくださったぞお!!!」
先程男が戦っていたコロシアムを背中に、クラエルが周治を睨みながら聞いた。しかし、そんな顔も美しかった。
「解呪術師です!」
「そうか、それではレベルの診断を行う。このコロシアムの真ん中に来てくれ。そこで、お前の実力を測ろう」
そう言われた後、周治は、コロシアムの真ん中に連れて行かれた。そして、クラエルが、コロシアムの奥を指さして、一声を上げた。
「さあ、呪われし獣たちよ!この男を殺ってしまいなさい!」
すると、コロシアムの奥から呪目に侵された獣たちが5匹程度現れ、周治に牙をむいている。角が一本生えていて、それほど大きくないが、今にも突っ込んで来そうな勢いである。
落ち着け、落ち着け、と周治は自分に言い聞かせた。こんなところで屈するわけにはいかない。
周治が戦闘の体制を整えると、獣たちが、よだれを垂らしながら周治に襲いかかってきた。
治癒目を5匹に当てればいい話だ。
毎日のように学校で訓練してきた腕前を舐めてもらっては困る。そう思い、最初に口火を切って突進してきた一匹に治癒目の光線を当てた。見事に命中。すばらしい。そして、次の2匹が同時に襲いかかってきたが、両手で光線を放ち見事に命中。
最後に他の仲間がやられて萎縮していたのか、怯えていた2匹を同時に撃破。
我ながらエクセレントすぎる。
そうして、ドヤ顔でクラエルの方を見た周治だったが、クラエルは微動だにせず、真顔のままだった。
そうして、コロシアムの端にいるクラエルに近づいて、
「出てきた敵は全て倒しました。次の試練にすす…」
と周治が言ったとき、クラエルが口をはさんだ。
「お前はいらない」
へ?周治は驚きのあまり体が固まってしまった。
するとクラエルは蔑みの目でこう告げた。
「お前は、弱すぎる。この世界の住民じゃない。どうせ、カセイか、スイセイか、チキュウの住民だろ?武闘の稽古もしない愚かな民族はこの世界の戦士には相応しくない」
「僕の解呪見てました?!完璧でしょ?無駄のない動きだと思っていたのですが!」
周治は怒りのあまり大声で怒鳴り散らかした。
「ええ、解呪は素晴らしかった。解呪はレベル100といったところかしら。でも、あなたには忍耐力、精神力が足りない。戦い終わった後のあの透かした顔。ドヤ顔なんてしている暇は戦士には無いのよ。今の貴方を戦士にしたところで、出陣一回目で首をかられておしまいになる。そこまで私は見えている。今回は残念だったけど、次の選別では合格できるように頑張りなさい」
そう淡々と告げると、「はい、次の人」といって並んでいる列に向かっていった。
そんな、こんな終わり方ってありかよ!?と怒り狂っていたが、列に並んでいた人たちに睨まれて、その場を後にした。
外の広場に出ると、結果を知らないマニーが、笑顔で周治のことを待っていた。
「おつかれー!どうだった?試練は?」
そう無邪気に聞いてくるマニーに、
「駄目だった。なんで、なんで、なんでなんでなんで?」
周治は頭を抱えて座り込んだ。
するとマニーが、察したのか、座り込んだ周治の横に座って頭を撫でながら、耳元でこう囁いた。
「よしよし、いい子いい子。よく頑張ったね」
その言葉と同時に周治の顔には涙が浮かんだ。そして、マニーに抱きついて、しばらく動かなかった。
はっ。目が覚めると、回りはオレンジ色に染まり、自分とマニーしかその場にいないことに気づいた。
周治は眠っていたのだ。
しかし、そんな周治をマニーはずっと待っていた。
「おはよう。シュージ。さあ、帰ろっか」
何事もなかったかのようにマニーは立ち上がって、周治に手を差し出した。
周治はそれをとって立ち上がった。
「うふふ。起きれて偉いね」
マニーはやはり微笑んでいた。周治が試練に落ちている悲しみを忘れさせるためだったのだろう。
「ありがとう、マニー」
一言そう言うと、二人は無言で家に帰った。
家路につくと、家の外から、村長の大きな声が聞こえた。
その声は張りがあって、とても明るく、元気強かった。
マニーが家のドアを開けて、
「ただいまー!」
と大きな声で言うと、村長がダッシュで玄関まで駆け込んできた。
「おかえり!!!大変だあ、大変だあ」
「どうしたんですか?」
と周治が聞くと、村長は笑顔でこう言った。
「女神様のお帰りだ。この世界に、女神様が、帰ってきたくださったぞお!!!」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる