「こんにちは」から始まる異次元ライフ〜陰キャたちの大逆転物語〜 

わたあめめろん

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序章〜はじまりのおはなし〜

二次元ってさどんな世界?

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 薔薇の咲き誇っている花壇。新築で壁一面真っ白の校舎。雑草が一つもない校庭。ここが、最近開校されたばかりの私立光律創天学園高等学校である。光をもたらし、自らを律し、未来を創造し、天まで高く跳ぶ。という意味がある。

 しかし、実際にこの校訓に沿っている生徒はこの学校には多くない。いや、少ない。
 
 間違いなくこの学校は進学校なのである。偏差値も高ければ、大学への進学実績もそこそこ良い。だが、そんなところにも遊び呆けて自堕落な生活を送り、それをあたかも学校が悪いかのように振る舞っている者が一定数いる。津田高生(つだたかお)ら一行もその仲間である。

 「俺たちは、生まれる次元を間違えたんだよ」
 教室内で高生が、いつものメンバーに向かって言った。
 「二次元はいいよなァ。てきとーに暮らしとけば、やれ、可愛い彼女ができるわ、国のトップになるわ」
 傍から聞くと、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだが、メンバー三人は激しく首を縦に振った。
 「そうだ!そうだー!三次元で生きていても、出会いなんてねーよ!もう女の子とは三ヶ月も連絡とってねーぜ」
 メンバーの一人、辻原信(つじはらまこと)は大きな声でこう嘆いた。その大きな声に反応したのか、教室の奥から一人の男と女が笑って高生たちを見ている。嘲笑っているのか?そう思った高生はその二人に聞こえるような大きな声で、
 「陽キャイケメンは苦労しなくてもいいよな!すぐに横に女が寄ってきて。俺等は「こんにちは亅すら言えないんだぞ!」

 高生は、幼稚園の頃から、「こんにちは」は魔法の言葉だと教わってきた。小学校から、中学校前半くらいまではその魔法が使えていたのだが、中学校後半あたりからその魔法を上手く使えなくなり、高校に入学した頃には、同じく魔法を使えなくなった賢者たち、現代語訳すると、「陰キャ」たちの間でしか使えなくなっていた。

 そんな僕たちの間で最近流行っていることが、二次元について想像することである。『創造より想像』をモットーに高生たちは無駄話ばかりしていた。
 「二次元の奴らってどんな感覚なんだろうな?」
 「見る→好きになる→付き合う→結婚的なww」
 「バトル系の漫画ってさ、主人公たいてい勝つからさ、天狗になってんじゃねーの?俺が一番強い!!みたいに」
 このように、二次元の主人公に対して高生たちはどうすることもできない憎悪を持っていた。それでも、彼らの本心は、
 「二次元で彼女を作りたい!」
 だったのである。(心の底では、三次元で彼女を作ってみんなの前でイキりたい。なのだが、彼らのひねくれた性格のせいで彼女が出来ないと思い込んでいるのである)
 
 放課後、彼らはいつもの場所に向かっていた。そう、ゲーセンである。やはり、陰キャのすることといえば音ゲーである。スマホで音ゲーを嗜むこともあるのだが、スマホ音ゲーを教室でしていると、陽キャたちから変な目で見られるのである。くそ、お前たちだってスポーツのゲームをしているじゃないか!

 そんなこんなで、彼らはゲーセンに着き、いつものようにアーケード音ゲーを楽しんでいた。ここが、彼らの楽園であり、救いの場所なのである。その中でも、四人組の一人の潮道進向(しおみちすすむ)はゲームの台の中に「推し」がいるのである。
 「ああ、愛しのトアたん今日も待たせてごめんねえ」
 進向はゲーム台の前で手を合わせて言った。そんな進向に高生は、
 「お前、本当にトアちゃんのこと好きだよな」
 と言うと、顔を興奮させて、
 「そうですよぉ。齋藤トア、通称トアたんは私の嫁なのです」
 いつも言ってんなーこのセリフ。と思いながらも、高生は「流石っす、兄貴」と返した。ゲームの中の齋藤トアもそれに続けて、「すごいです!すすむ様ァ」と言った。二次元の方が、三次元より意思疎通できてるんじゃね?!
 
 「よし、そろそろ帰るか」
 高生が声をかけると、他の三人は、揃って、「おけおけ!」と荷物をまとめた。手袋、イヤホン、汗ふきタオル…。音ゲーマーの必需品である。

 「よーし、今日も帰ってアニメを見ましょうかねー」
 グループの四人目、細井義志斗(ほそいよしと)が、ゲーセンを出てから言った。そして、駅へ向かっていた時に、高生がいきなり声を上げた。

 「ここに神社ってあった?」
 駅へ向かう途中の道にある小山の上に小さな鳥居が立っていた。四人組は皆、その鳥居のことを知らなかった。

 「行ってみねーか?」
 信はそう行って、鳥居につながる階段へと向かっていった。
三人もそれについて行った。

 これが、四人の人生を変えてしまったのである。
 
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