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血の部屋
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アキホは包容を解いて、夏芽を見つめて言った。
「ところで、フリーニャのこと分かるか?」
「うん。分かるよ。フリーニャが、今どこにいて、何をしているかまで私は知ってるよ」
それを聞いた瞬間、アキホは、夏芽の肩を持って体を揺さぶりながら、
「どこ?教えて!教えて!」
と問いかけた。
「フリーニャは、今………」
夏芽は、飲み会で起きた一部始終を全て話し終えた。
フリーニャが、変なグループに入ってしまったこと、そこで、自分が馬鹿にされて追い出されたこと、剣を置いてきてしまったこと等……。
話している途中に夏芽の瞳に涙が浮かびそうになったが、なんとか耐えた。
ローリアは、話を聞くに、そんなに弱い人ではなく、心まで芯の強い大人だったのだと思い、自分も見習わなければと感化されたからである。
話を聞き終えたアキホは、怒りを全面に押し出していた。
「もういい!今からその飲み会とやらに乗り込んでやる!!!!!ローリア、ついて来い!!」
二人は、月に照らされている通りを走り出した。
夏芽は、走るのも辛くなるほどに疲れていたが、アキホはそのスピードに合わせてくれた。
「ねえアキホ、ちょっと聞いていい?」
今から飲み会に乗り込むに従って夏芽は一つ疑問を抱いていた。
「お、どうした?」
「前に私のことでフリーニャと喧嘩していたっていうグループの人たちって今日いるのかな?」
「なんだそんなことか。あいつら、消滅したらしいぞ。何と言ってもリーダーと魔道士の二人が死んでしまって、一人残った女も、顔が見るに絶えない姿になってしまっているらしいからな。」
「ひええ、そうなんだ…。でも、今日いないなら安心だね」
「まあな。あたしとアンタじゃ、またいざこざが起きそうだからな」
「ふふふ。そうだね」
不幸中の幸い、そんなに会場から遠くなかったこともあり、夏芽が倒れる前に会場に着いた。
「よし、ここだな!入るぞ!」
アキホは、両開きの扉を軽々と開き、建物の中に入り、飲み会の部屋まで急いだ。
そして、飲み会の部屋の前に立ち、アキホがその扉を開けようとした時、扉の隙間から血の匂いがした。
「なんだ、みょうな匂いがするぞ」
「これって、血?」
アキホは扉を押し開けて中に入ると、その部屋は血の匂いで充満していた。
さらに、先程夏芽がいたときとは違い、部屋中の床に、ワイン、ビール、ウイスキーの瓶が割れて、破片が散らかっていたり、血のような赤い液体が塗り広げられていた。
そしてなりより、ここの会場にいた人が皆いなくなっていて、所々に剣士らしき人の死体が転がっていた。
「な、何があったんだ?ローリア、本当にここであってるんだよな?」
「た、たぶん、ここで合ってるよ」
夏芽は、あまりの変わりように、恐怖と絶望感を覚え、場所を間違えているかを本気で疑ったが、奥の方の席に自分の剣と、フリーニャのレイピアが置いてあることに気づいた。
「い、いや、ここであってるよ!私の剣、前の席にあるもの!」
「くそ、間違っていなかったか!だったら何で、誰が、こんなひどい目に??」
殺風景が広がっている中、二人は部屋の奥の席に足を進め、なんとか剣とレイピアのある位置までやってきた。
「フリーニャ、フリーニャ、お前、どこ行っちまっまったんだよお???」
アキホが叫ぶも返事がない。
二人は、「ここに生きている人は私たち以外いない」と確信した時、入口の方から男の野太い声が聞こえた。
「おお、まだ生き残りがいたのか、なんだ、私としたことがまたここでヘマを犯してしまうところでした」
入口のドアが開き、出てきたその人は、先程、夏芽のことを散々馬鹿にしていたガタイの良い女だった。
しかし、声質は全然異なり、今の声は野太く、恐怖感を募らせる。
「お、お前、何をしたんだ?ここにいた人たちをどうしたんだ?」
アキホが、入口に向かって叫ぶと、不気味な笑い声が聞こえてきた。
「ふおっふおっふおっ。大丈夫。今から君たちの体にも他の人たちと同じことをしてあげるからね。すぐに楽になれるよ。」
怪しい声はそう言って、背中から杖を取り出し、上に掲げて魔結界を作り出した。
夏芽が、困惑していると、アキホが横で呟いた。
「邪帝…こんなところに…」
「ところで、フリーニャのこと分かるか?」
「うん。分かるよ。フリーニャが、今どこにいて、何をしているかまで私は知ってるよ」
それを聞いた瞬間、アキホは、夏芽の肩を持って体を揺さぶりながら、
「どこ?教えて!教えて!」
と問いかけた。
「フリーニャは、今………」
夏芽は、飲み会で起きた一部始終を全て話し終えた。
フリーニャが、変なグループに入ってしまったこと、そこで、自分が馬鹿にされて追い出されたこと、剣を置いてきてしまったこと等……。
話している途中に夏芽の瞳に涙が浮かびそうになったが、なんとか耐えた。
ローリアは、話を聞くに、そんなに弱い人ではなく、心まで芯の強い大人だったのだと思い、自分も見習わなければと感化されたからである。
話を聞き終えたアキホは、怒りを全面に押し出していた。
「もういい!今からその飲み会とやらに乗り込んでやる!!!!!ローリア、ついて来い!!」
二人は、月に照らされている通りを走り出した。
夏芽は、走るのも辛くなるほどに疲れていたが、アキホはそのスピードに合わせてくれた。
「ねえアキホ、ちょっと聞いていい?」
今から飲み会に乗り込むに従って夏芽は一つ疑問を抱いていた。
「お、どうした?」
「前に私のことでフリーニャと喧嘩していたっていうグループの人たちって今日いるのかな?」
「なんだそんなことか。あいつら、消滅したらしいぞ。何と言ってもリーダーと魔道士の二人が死んでしまって、一人残った女も、顔が見るに絶えない姿になってしまっているらしいからな。」
「ひええ、そうなんだ…。でも、今日いないなら安心だね」
「まあな。あたしとアンタじゃ、またいざこざが起きそうだからな」
「ふふふ。そうだね」
不幸中の幸い、そんなに会場から遠くなかったこともあり、夏芽が倒れる前に会場に着いた。
「よし、ここだな!入るぞ!」
アキホは、両開きの扉を軽々と開き、建物の中に入り、飲み会の部屋まで急いだ。
そして、飲み会の部屋の前に立ち、アキホがその扉を開けようとした時、扉の隙間から血の匂いがした。
「なんだ、みょうな匂いがするぞ」
「これって、血?」
アキホは扉を押し開けて中に入ると、その部屋は血の匂いで充満していた。
さらに、先程夏芽がいたときとは違い、部屋中の床に、ワイン、ビール、ウイスキーの瓶が割れて、破片が散らかっていたり、血のような赤い液体が塗り広げられていた。
そしてなりより、ここの会場にいた人が皆いなくなっていて、所々に剣士らしき人の死体が転がっていた。
「な、何があったんだ?ローリア、本当にここであってるんだよな?」
「た、たぶん、ここで合ってるよ」
夏芽は、あまりの変わりように、恐怖と絶望感を覚え、場所を間違えているかを本気で疑ったが、奥の方の席に自分の剣と、フリーニャのレイピアが置いてあることに気づいた。
「い、いや、ここであってるよ!私の剣、前の席にあるもの!」
「くそ、間違っていなかったか!だったら何で、誰が、こんなひどい目に??」
殺風景が広がっている中、二人は部屋の奥の席に足を進め、なんとか剣とレイピアのある位置までやってきた。
「フリーニャ、フリーニャ、お前、どこ行っちまっまったんだよお???」
アキホが叫ぶも返事がない。
二人は、「ここに生きている人は私たち以外いない」と確信した時、入口の方から男の野太い声が聞こえた。
「おお、まだ生き残りがいたのか、なんだ、私としたことがまたここでヘマを犯してしまうところでした」
入口のドアが開き、出てきたその人は、先程、夏芽のことを散々馬鹿にしていたガタイの良い女だった。
しかし、声質は全然異なり、今の声は野太く、恐怖感を募らせる。
「お、お前、何をしたんだ?ここにいた人たちをどうしたんだ?」
アキホが、入口に向かって叫ぶと、不気味な笑い声が聞こえてきた。
「ふおっふおっふおっ。大丈夫。今から君たちの体にも他の人たちと同じことをしてあげるからね。すぐに楽になれるよ。」
怪しい声はそう言って、背中から杖を取り出し、上に掲げて魔結界を作り出した。
夏芽が、困惑していると、アキホが横で呟いた。
「邪帝…こんなところに…」
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