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第六節 〜似非魔王と魔物、女王と兵隊〜
076 皆と生き残る明確な意思の形が
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“槍使い”の◆視点です。“盾使い”との対比です。
兵隊さんも色々いるんだなってことで。
ご笑覧いただければ幸いです。
※注1
黒い◆が人物の視点の変更の印です。
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
◆ (引き続き『再び、或る盾使い《タンク》』の視点です)
―――――――――
『そんなもんポーションでなんとかなる。即死しなければいい。あとは兵站班と俺がなんとかする。即死する事だけはなんとしても避けろ』
と、小僧は言い放った。
そうなんだ、小僧なんだ。装備の説明をしたのは。
だから皆心配になる。不安になる。信用なんて出来ない。あまりにも俺ら兵隊を軽く考えていやしまいか。これが“黒の副官”殿なら。せめて開発者であり今も装備を造り続けてくれている装備班のアラクネ達ならよほど安心できたものを。
『何故にお前が偉そうに|宣の賜っている』
何もしていない雑用が。オマエはダメだ。
「なあ、本当にソレ、大丈夫なのか」
「マジ激渋っす。さすが魔道具ってことで。”去なし”も“シールドバッシュ”も思いのまますよ。まるで自分が本当に上手くなった気分ス」
と、最年少エースが言い放つ。嫌味か。だが実際に俺を守る“盾”を扱う未だ幼さの残る女の子はあれ程に重く、変則的な連射弾をまるでピンポン玉を裁くように軽く”去なし”、ときに“シールドバッシュ”で射手に弾き返し、ビビらせている。
でもまあ、魔道具だったなと思う。支給された上着も兜もそうだ。魔法的な何かが働いて機能を高めているっぽい。見る者が見れば盾も兜にも弾が当たる際には魔法陣が顕れているらしい。
『支援補強魔法』って言っていた。よく判らんが、呪文を唱える事もぜずに常時発動状態らしい。そんなの直ぐにガス欠になりそうだが『ばってりーぼっくす』なる小箱があり、そこに魔晶石を収めて自分の魔力を使わないようになっている。らしい。
一定時間ごとの補給は必要だが自分の魔力消費を抑えられるのはありがたい。魔力補給ポーションは貴重だ。
そうだ、ポーションも異常なほど豊富に支給される。二年毎に“遷”なんてもんがあるギルドだ、元々の備蓄量も多い。だが豊富過ぎる。次から次へと出てくる。まあ、人が居ないからその分を薬物で補うって、なんか危ない思想っぽいけど、無いよりはマシだけど。ふと気づくと瓶の蓋から見慣れた『王族印』がなくなっている事に気づく。
ポーションは軍事物資として、儲けガッポガッポのオイシイ商売として王室の専売特許だ。密造や横流しは最重要犯罪行為で、見つかれば極刑は免れない。
やるなギルド長。正直見直している。一年半前に着任してから今まで目立った仕事は皆無だったのが、ここ最近の躍進は著しい。切羽詰りの土壇場過ぎだろうと思わなくもないが、ポーションをはじめ、アラクネを指揮し実際に短い時間で装備を充実させている。文句などない。
そして最高の功績は“女王様”と“黒の副官”殿を新たな戦闘指導官として就任『ありがとうございます』させてくれたことだ。最高のご褒美だ。『ごちそうさまです』
「先輩キモ! マジきも!」
「うっせぇ」
「先輩、魔力充填ポーションも一本行っときますか」
そうだ、体力補充も治癒も密造が進み湯水のように支給されるが、魔力補填ポーションだけは開発が遅れ、一時期は在庫切れ寸前の使用を制限する品薄となっていた。
ソレだけ製作は困難を通り越して不可能であるからで、仕方がない事でもあった。理由はレピシを知る者が王様ひとりしかいないから。調合も製作も王様の秘匿事項で、何処ぞの伝説の地上最強暗殺拳の一子相伝の如し、らしい。
その門外不出であるはずの魔力補填ポーションが今ではバンバン支給されている。ただ難点もあり、提供が『瓶』でなく『生』なのが頂けない。
「一本じゃなくて一匹だろ」
後輩はさっと俺の目の前に一匹の“子蜘蛛”を掲げた。腹を押されたのか“子蜘蛛”がキュゥと鳴いた。手をワシワシさせている。
「私のクーちゃん。可愛いでしょ」
そう微笑んだ顔は年相応に見えた。蜘蛛はどう考えても可愛くないけどな。シンケイを疑う。
“瓶”に入った魔力充填ポーションを飲む代わりに“生”の蜘蛛に噛まれ摂取する。そうなのだ。でも効果は覿面。あら不思議、カラッからの魔力が数秒で満タンに復活する。今までの“王様”印の従来品よりよっぽど性能はいい。不敬だけどほんとう。でも俺らは“蜘蛛の生”を好まない。なぜって、理由はわかんない。でもほんとに嫌なんだ。
注入される魔力は悪いものじゃないとはわかる。純度も高い。極上だ。でもなんだろう、ものすごい嫌悪感と忌避感に包まれる。いいもんだって解るし魔法の質も威力も上がっている。でもどうしてだろう、二度とあんなものと関わりたくないと、心底思う。
「かわいいのに」
「おい、仲睦まじい処を済まないが、そろそろ俺たちは後方に戻る。射手が新装備組と交代するようだ。あれはまずい」
もうひとりの兵站衛生兵が射手側を伺見ながら言う。
仲睦まじくはないが、見ると射手三人全員が新装備の“飛竜落とし”改メ“ただの“投網”(なんか槍と名前を取り違えていたらしい。締まらない話だが、しょうが無い)を備えた組と交代に動いている、“ただの”と付いているが今回のソレは従来品とは桁違いだった。
背負っている大きな箱に弾をたんまりと詰め込んで、連射を可能にしている。射出速度も重さも格段に上がっている。あれは完璧に別物。脅威そのものだ。旧型がおもちゃに思えた。
加えて筒型の砲身の上部に別個の“魔法の杖”が装備され縦二連装となっていた。上部からは鉛の弾が打ち出されるようになっており、これは“女王様”の“魔法の杖”ダウンサウジング版だ。いくらダウンしているとはいえ元があれだ。そりゃ強力過ぎる。“投網”の弾では処理できない超接近事等の緊急避難的な用途で取り付けられたものらしい。さすがアラクネはいい仕事をしている。弱点は標準が甘く魔力消費量が激しく連射ができないこと。一撃の威力を重視して結果、射程が短い。散弾っていってた。本当の超接近戦仕様らしい。ただし今は訓練なのでその趣旨に沿って威力を落とした弾をバンバン撃ってくる。
「失礼するっす。先輩もガンバ」
◆ (再び、『或る槍使い《スピア》』の視点)
訓練内容が変わった。相変わらず真上に向かい槍に回転を与えながら真っ直ぐ突き上げる。それを繰り返す事に変わりないが、今は十メトル先の落下するボールに向かって真下に入り心中を突く。それもスタートは伏せの状態から三百六十斗全周何処に落とされるかわからない状態で始まる。
的となるボールは元“羽竜落とし”の模擬弾を使用し、射出も旧“羽竜落とし”を使っている。なんだか名前を取り違えていたらしく。本物の“羽竜落とし”は自分たちが使う“槍”の事らしかった。何処に“落とす”要素があるんだと思ったが、なんだかんだ言ってこのギルドの象徴的な武具の名前なのは確かで、なんだか誇らしい気持ちになった。
的の射出も地面に転がったボールの回収も選別された専門班が行なっていた。“兵站班”というらしい。
槍を繰り出す練習をしている兵の間を駆けずり回り、無数のボールを拾い、合図とともに真上に向けボールを射出する。彼らは“槍”を取り上げられた雑用係だと思っていた。
選抜時、未だ下手くそなオレは何時自分の名前が呼ばれるかビクビクしていた。だから自分の名前が挙がらなかった時は心底ホッとした。もし自分から“槍”を取り上げられたら。其処にオレはもう存在しない。そう思った。
自分の事しか頭に無く、その時には気がつけなかった。名前を挙げられた者は誰もが見惚れるほどの上達者ばかりだった事に。
その後すぐに気づいた。オレらの間を駆け回り、互いにもオレらにも一切衝突せずに素早くボールを回収しまわり、合図と共にオレらに的を打ち出してくれる。それも一度に五人分一斉に、適切な、意地悪な方位に、きっかり十メトルの位置に。
もう計算し尽くしているとしか思えない。右も左も前も後ろも上も下も三百六十斗全域を見える、見えない関係なく自分の意識化に置いている。そんな事が本当に可能なのか、眼の前で行われている現実を疑ってしまうほどに。
「魔法も武術も基本は同じ、イメージだ。“槍”も“元羽竜落とし”も同じだ。基本は一直線に通す。速さと重さ。穂先も弾丸も全て目指すところは一緒だ。そして最後に想像しろ、オマエが繰り出す穂先の先の効果を。オマエはどうしたい。何を貫く。貫いたモノをどうしたい。イメージしろ。具体的に。一点の曇りもなく。そうすれは誰だって弾を任意の位置に五発一斉に射出することも可能となる。
想像しろ、オマエの槍は何を貫き、どうしたいのか。
その時、槍がなかったらどうする。諦めるのか。それでも貫け、其の結果を信じろ。
結局、魔法も武術も基本は同じ、イメージだ。明確な願望だ」
と、サキュバスの女はオレに語ってくれた。
兄貴は横で「コウだ、違う。良く見ろ。コウダ!」としか言わない。でも兄貴が見せてくれている明確なイメージがその時オレにもようやっと、未だまだ漠然とした輪郭でしかなかったが見て取れた。
涙が溢れる。涙が止まらない。貫いた先、兄貴が見せてくれた敵を粉砕し、皆と生き残る明確な意思の形がハッキリと。
―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
よろしければ次話もお楽しみ頂ければ幸いです。
兵隊さんも色々いるんだなってことで。
ご笑覧いただければ幸いです。
※注1
黒い◆が人物の視点の変更の印です。
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
◆ (引き続き『再び、或る盾使い《タンク》』の視点です)
―――――――――
『そんなもんポーションでなんとかなる。即死しなければいい。あとは兵站班と俺がなんとかする。即死する事だけはなんとしても避けろ』
と、小僧は言い放った。
そうなんだ、小僧なんだ。装備の説明をしたのは。
だから皆心配になる。不安になる。信用なんて出来ない。あまりにも俺ら兵隊を軽く考えていやしまいか。これが“黒の副官”殿なら。せめて開発者であり今も装備を造り続けてくれている装備班のアラクネ達ならよほど安心できたものを。
『何故にお前が偉そうに|宣の賜っている』
何もしていない雑用が。オマエはダメだ。
「なあ、本当にソレ、大丈夫なのか」
「マジ激渋っす。さすが魔道具ってことで。”去なし”も“シールドバッシュ”も思いのまますよ。まるで自分が本当に上手くなった気分ス」
と、最年少エースが言い放つ。嫌味か。だが実際に俺を守る“盾”を扱う未だ幼さの残る女の子はあれ程に重く、変則的な連射弾をまるでピンポン玉を裁くように軽く”去なし”、ときに“シールドバッシュ”で射手に弾き返し、ビビらせている。
でもまあ、魔道具だったなと思う。支給された上着も兜もそうだ。魔法的な何かが働いて機能を高めているっぽい。見る者が見れば盾も兜にも弾が当たる際には魔法陣が顕れているらしい。
『支援補強魔法』って言っていた。よく判らんが、呪文を唱える事もぜずに常時発動状態らしい。そんなの直ぐにガス欠になりそうだが『ばってりーぼっくす』なる小箱があり、そこに魔晶石を収めて自分の魔力を使わないようになっている。らしい。
一定時間ごとの補給は必要だが自分の魔力消費を抑えられるのはありがたい。魔力補給ポーションは貴重だ。
そうだ、ポーションも異常なほど豊富に支給される。二年毎に“遷”なんてもんがあるギルドだ、元々の備蓄量も多い。だが豊富過ぎる。次から次へと出てくる。まあ、人が居ないからその分を薬物で補うって、なんか危ない思想っぽいけど、無いよりはマシだけど。ふと気づくと瓶の蓋から見慣れた『王族印』がなくなっている事に気づく。
ポーションは軍事物資として、儲けガッポガッポのオイシイ商売として王室の専売特許だ。密造や横流しは最重要犯罪行為で、見つかれば極刑は免れない。
やるなギルド長。正直見直している。一年半前に着任してから今まで目立った仕事は皆無だったのが、ここ最近の躍進は著しい。切羽詰りの土壇場過ぎだろうと思わなくもないが、ポーションをはじめ、アラクネを指揮し実際に短い時間で装備を充実させている。文句などない。
そして最高の功績は“女王様”と“黒の副官”殿を新たな戦闘指導官として就任『ありがとうございます』させてくれたことだ。最高のご褒美だ。『ごちそうさまです』
「先輩キモ! マジきも!」
「うっせぇ」
「先輩、魔力充填ポーションも一本行っときますか」
そうだ、体力補充も治癒も密造が進み湯水のように支給されるが、魔力補填ポーションだけは開発が遅れ、一時期は在庫切れ寸前の使用を制限する品薄となっていた。
ソレだけ製作は困難を通り越して不可能であるからで、仕方がない事でもあった。理由はレピシを知る者が王様ひとりしかいないから。調合も製作も王様の秘匿事項で、何処ぞの伝説の地上最強暗殺拳の一子相伝の如し、らしい。
その門外不出であるはずの魔力補填ポーションが今ではバンバン支給されている。ただ難点もあり、提供が『瓶』でなく『生』なのが頂けない。
「一本じゃなくて一匹だろ」
後輩はさっと俺の目の前に一匹の“子蜘蛛”を掲げた。腹を押されたのか“子蜘蛛”がキュゥと鳴いた。手をワシワシさせている。
「私のクーちゃん。可愛いでしょ」
そう微笑んだ顔は年相応に見えた。蜘蛛はどう考えても可愛くないけどな。シンケイを疑う。
“瓶”に入った魔力充填ポーションを飲む代わりに“生”の蜘蛛に噛まれ摂取する。そうなのだ。でも効果は覿面。あら不思議、カラッからの魔力が数秒で満タンに復活する。今までの“王様”印の従来品よりよっぽど性能はいい。不敬だけどほんとう。でも俺らは“蜘蛛の生”を好まない。なぜって、理由はわかんない。でもほんとに嫌なんだ。
注入される魔力は悪いものじゃないとはわかる。純度も高い。極上だ。でもなんだろう、ものすごい嫌悪感と忌避感に包まれる。いいもんだって解るし魔法の質も威力も上がっている。でもどうしてだろう、二度とあんなものと関わりたくないと、心底思う。
「かわいいのに」
「おい、仲睦まじい処を済まないが、そろそろ俺たちは後方に戻る。射手が新装備組と交代するようだ。あれはまずい」
もうひとりの兵站衛生兵が射手側を伺見ながら言う。
仲睦まじくはないが、見ると射手三人全員が新装備の“飛竜落とし”改メ“ただの“投網”(なんか槍と名前を取り違えていたらしい。締まらない話だが、しょうが無い)を備えた組と交代に動いている、“ただの”と付いているが今回のソレは従来品とは桁違いだった。
背負っている大きな箱に弾をたんまりと詰め込んで、連射を可能にしている。射出速度も重さも格段に上がっている。あれは完璧に別物。脅威そのものだ。旧型がおもちゃに思えた。
加えて筒型の砲身の上部に別個の“魔法の杖”が装備され縦二連装となっていた。上部からは鉛の弾が打ち出されるようになっており、これは“女王様”の“魔法の杖”ダウンサウジング版だ。いくらダウンしているとはいえ元があれだ。そりゃ強力過ぎる。“投網”の弾では処理できない超接近事等の緊急避難的な用途で取り付けられたものらしい。さすがアラクネはいい仕事をしている。弱点は標準が甘く魔力消費量が激しく連射ができないこと。一撃の威力を重視して結果、射程が短い。散弾っていってた。本当の超接近戦仕様らしい。ただし今は訓練なのでその趣旨に沿って威力を落とした弾をバンバン撃ってくる。
「失礼するっす。先輩もガンバ」
◆ (再び、『或る槍使い《スピア》』の視点)
訓練内容が変わった。相変わらず真上に向かい槍に回転を与えながら真っ直ぐ突き上げる。それを繰り返す事に変わりないが、今は十メトル先の落下するボールに向かって真下に入り心中を突く。それもスタートは伏せの状態から三百六十斗全周何処に落とされるかわからない状態で始まる。
的となるボールは元“羽竜落とし”の模擬弾を使用し、射出も旧“羽竜落とし”を使っている。なんだか名前を取り違えていたらしく。本物の“羽竜落とし”は自分たちが使う“槍”の事らしかった。何処に“落とす”要素があるんだと思ったが、なんだかんだ言ってこのギルドの象徴的な武具の名前なのは確かで、なんだか誇らしい気持ちになった。
的の射出も地面に転がったボールの回収も選別された専門班が行なっていた。“兵站班”というらしい。
槍を繰り出す練習をしている兵の間を駆けずり回り、無数のボールを拾い、合図とともに真上に向けボールを射出する。彼らは“槍”を取り上げられた雑用係だと思っていた。
選抜時、未だ下手くそなオレは何時自分の名前が呼ばれるかビクビクしていた。だから自分の名前が挙がらなかった時は心底ホッとした。もし自分から“槍”を取り上げられたら。其処にオレはもう存在しない。そう思った。
自分の事しか頭に無く、その時には気がつけなかった。名前を挙げられた者は誰もが見惚れるほどの上達者ばかりだった事に。
その後すぐに気づいた。オレらの間を駆け回り、互いにもオレらにも一切衝突せずに素早くボールを回収しまわり、合図と共にオレらに的を打ち出してくれる。それも一度に五人分一斉に、適切な、意地悪な方位に、きっかり十メトルの位置に。
もう計算し尽くしているとしか思えない。右も左も前も後ろも上も下も三百六十斗全域を見える、見えない関係なく自分の意識化に置いている。そんな事が本当に可能なのか、眼の前で行われている現実を疑ってしまうほどに。
「魔法も武術も基本は同じ、イメージだ。“槍”も“元羽竜落とし”も同じだ。基本は一直線に通す。速さと重さ。穂先も弾丸も全て目指すところは一緒だ。そして最後に想像しろ、オマエが繰り出す穂先の先の効果を。オマエはどうしたい。何を貫く。貫いたモノをどうしたい。イメージしろ。具体的に。一点の曇りもなく。そうすれは誰だって弾を任意の位置に五発一斉に射出することも可能となる。
想像しろ、オマエの槍は何を貫き、どうしたいのか。
その時、槍がなかったらどうする。諦めるのか。それでも貫け、其の結果を信じろ。
結局、魔法も武術も基本は同じ、イメージだ。明確な願望だ」
と、サキュバスの女はオレに語ってくれた。
兄貴は横で「コウだ、違う。良く見ろ。コウダ!」としか言わない。でも兄貴が見せてくれている明確なイメージがその時オレにもようやっと、未だまだ漠然とした輪郭でしかなかったが見て取れた。
涙が溢れる。涙が止まらない。貫いた先、兄貴が見せてくれた敵を粉砕し、皆と生き残る明確な意思の形がハッキリと。
―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
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