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Season2
狂乱ーPartyー
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そこにあるのは黒き巨大な古竜の死骸。所々が腐り果てたその体は例に漏れず改造が施され無数の蟲のような巨大な腕が生やされ、頭には人間の上半身が埋め込まれていた。エストレアはその人間の顔に見覚えがあった。
「これが私の最高傑作!!神の時代の魔物、煉獄の竜ウロボロスをベースにラウム最高の魔術師アマデウスを埋め込んだ!!……あとは核……史上最高の死霊術師、この私アリス・ザ・ネクロフィリアを捧げよう」
ウロボロスの開かれた胸から無数の触手が飛び出るとアリスの体を掴んで胸へと運び、完全に取り込む。するとウロボロスの脈動が次第に大きくなっていき、その生気を取り戻していった。
「さあ、今こそ過去、現在、未来全てにおいて完全なる生物が誕生する!!私に仕える魂よ!!今こそ全てを献上せよ!!」
部屋の壁や床から青白い光の球のようなものがすり抜けてくると次々とウロボロスに集まる。竜の赤く光る目が見開かれ、その体を固定していた拘束具を引きちぎる。朽ち果てた翼を大きく広げると産声と言わんばかりに部屋を揺らすほどの咆哮をあげる。その敵意は目の前の脅威、エストレアに向いていた。
突如、頭部のアマデウスが歌声のような叫びを上げる。すると、次々と魔法陣が展開されていった。もちろんその矛先はエストレアへと向いている。
ウロボロスがエストレアに向かって突き進む。それと同時に魔法陣から光の矢が無数に彼女に降り注いだ。エストレアはそれを軽やかな足取りで避けていくと剣の舞で応戦する。しかし、ケルベロス、キマイラを一瞬で討ち取った魔力の剣の嵐は竜に傷をつけるものの速かにその傷は塞がっていった。
「はははは!!あの方から授かった異界の力は素晴らしい!!」
アリスの声が何処かから響く。ウロボロスの体には改良された黒尸菌が感染しており、桁違いの再生力を有していた。
エストレアに接近したウロボロスが腕を振り下ろす。エストレアは横に大きく跳び巨大な腕による一撃を避けると無数の蟲の腕が彼女を追撃してきた。エストレアは二本の剣でそれを切り裂きながら避けていたが突如彼女の体を異変が襲った。
(……!!?体が動かない!!……幻惑魔法か!?)
アマデウスが歌声のような唸り声を上げていた。七英傑、魔老王アマデウス・ファルコはその素質により自らの発する音で魔法陣を形成したり音を聴いた相手を幻覚にかけることが出来る。
魔法によって体の自由を奪われたエストレアに竜の腕が襲うと彼女は部屋の中央から吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。
「もう素体がどうだとか関係ない!!小娘、お前は無残に殺してやる!!」
ボロ雑巾のように倒れるエストレアにアリスが叫ぶ。
エストレアはボロボロの手足に鞭を打ちなんとか立ち上がり、自分の負傷の程度を確認した。竜の腕がぶつかる瞬間、何とか魔力の壁を体に纏ったため一命は取り留めたものの攻撃が直撃した右腕は完全に折れ、肋骨の数本にヒビが入っていた。壁に打ち付けた際に体のあちこちに切り傷ができた。頭にできた傷から溢れる血液が彼女の目を塞ぐ。
エストレアは自身の体を完全に把握すると目蓋を閉じ、集中する。すると傷口から溢れる血が次々と止まっていき、折れたはずの右腕も元の形に戻っていった。
「ほお、治癒魔法……いや、魔力による肉体操作で体を無理やり“治している”だけか……ふふ、その強がりがいつまでもつかな?せいぜい簡単に死んでくれるなよ!!」
「……お前はさっきからうるさい。」
口に溜まった血を吐き捨て、顔を覆う血を前髪をかき上げるように拭うとこれまで以上の鋭い視線で睨みつける。
「私はうるさいのが嫌いだ。それに……死ぬのはお前だ。」
一本の剣に魔力を込め、天に掲げた。
「おい、フランケン!!どうした!!」
時はエストレアとウロボロスが交戦する直後に遡る。ポラリス達はフランケンの案内で出口を求めて死体処理場まで戻っていた。血液の池と死体が放つ臭気で躊躇したものの何とか死体処理場の中央付近まで来た時、急にフランケンが苦しみ出した。
自分の胸を掻き毟るフランケンをカーネルが止める。
「おい、何が起こっている!!」
「俺もわかんねーよ!しっかりしろ!フランケン!」
フランケンはひとしきりもがいた後、天に向かって雄叫びを上げるとその口から青く光る塊を吐き出し、動かなくなった。その数秒後、何かの雄叫びが地下に響いた。
「!?シリウスさん!!これは!?」
「……わからん。……!?何かくるぞ!!」
シリウスが何者かの気配を感じ取る。すると、積み上げられていた死体の山が勢いよく崩れ、中から巨大な魔物が現れた。
「あれは……ブルートアリゲーター!?」
全長20m以上はある巨大な体は全体的にワニの骨格に近いが足は狼のように発達している。薄い体毛が体中を覆う中、たてがみと手足の関節、背骨に沿った部分は黒く濃い毛が生えている。ワニに似た巨大な口は獣の牙が生え揃い、死臭を吐き出していた。
ブルートアリゲーターは熟練の戦士や冒険者でさえ逃げ出すほどの強力な魔物である。
「!?来るぞ!!避けろ!!」
発達した足をぐっと曲げると全身をバネにしてこちらに突進してくる。巨大な体に似合わずその動きは身軽である。
「フランケン!!おい!!しっかりしろ!お前も逃げるんだ!!」
カーネルはなおフランケンの体を抱き寄せ、共に逃げようとする。しかし、大男の体は簡単には動かず、獣は目前まで迫っていた。
(……すみません……)
ポラリスはカーネルを強引に引き剥がすと倒れるように獣の攻撃を回避した。獣は回避したポラリス達には目もくれずフランケンの死体を丸呑みにし、勢いのままに通過した。
「フランケン……。……気を取り乱してすまない」
カーネルは体裁だけでも冷静さを取り戻す。しかし彼の肩は震えていた。
獣はこちらに振り向くと大きな口を開けて咆哮を放つ。ポラリスは体がビリビリと強張るのを感じた。
「ポラリス!!そいつを連れて下がってろ!!」
シリウスの指示に頷くとカーネルを連れて死体処理場から離れようとする。
獣は再び突進の準備をするとポラリス達に向かっていく。
「お前の相手はこっちだ!!」
シリウスは剣を抜くと獣に向けて斬撃を飛ばす。獣は少し怯んだものの傷は浅く、矛先をシリウスに変え、再び突進する。シリウスは剣先を獣に向け、魔力を練った。
「“神の鉄槌”!!」
獣の頭上から雷の一撃が落ちる。獣は悲鳴とも聞こえる叫び声をあげるとぐったりと倒れた。
「シリウスさん!!やりましたね!」
「……ああ」
シリウスは獣の死を確認しようと死骸に近づいた。その時であった。
「!!シリウスさん!!」
確かにシリウスの一撃は獣の脳天を直撃していた。通常の個体なら死亡している。しかし、獣は息を吹き返したように目を開けると接近するシリウスに向かって頭を振り上げた。
(!?なんだと!!)
何とか剣を盾に攻撃の直撃は防いだものの吹き飛ばされ、体勢を崩してしまう。獣は好機とばかりにシリウスに向かっていった。
シリウスは剣を杖に何とか立ち上がるものの回避は間に合わない。
しかし、獣はシリウスの目前でよろめいた。ポラリスが獣の首筋を横から槍で貫いていたのである。
「シリウスさん!!早く逃げてください!!」
「馬鹿!!さっさと離れろ!!」
獣はポラリスを振り払うように頭を大きく振る。ポラリスは決して槍を放さまいと振り回されながらも力強く握る。しかし、槍は獣から抜け、ポラリスは宙を舞い壁に叩きつけられた。
「ポラリス!!」
シリウスの叫びに返答はなかった。
「これが私の最高傑作!!神の時代の魔物、煉獄の竜ウロボロスをベースにラウム最高の魔術師アマデウスを埋め込んだ!!……あとは核……史上最高の死霊術師、この私アリス・ザ・ネクロフィリアを捧げよう」
ウロボロスの開かれた胸から無数の触手が飛び出るとアリスの体を掴んで胸へと運び、完全に取り込む。するとウロボロスの脈動が次第に大きくなっていき、その生気を取り戻していった。
「さあ、今こそ過去、現在、未来全てにおいて完全なる生物が誕生する!!私に仕える魂よ!!今こそ全てを献上せよ!!」
部屋の壁や床から青白い光の球のようなものがすり抜けてくると次々とウロボロスに集まる。竜の赤く光る目が見開かれ、その体を固定していた拘束具を引きちぎる。朽ち果てた翼を大きく広げると産声と言わんばかりに部屋を揺らすほどの咆哮をあげる。その敵意は目の前の脅威、エストレアに向いていた。
突如、頭部のアマデウスが歌声のような叫びを上げる。すると、次々と魔法陣が展開されていった。もちろんその矛先はエストレアへと向いている。
ウロボロスがエストレアに向かって突き進む。それと同時に魔法陣から光の矢が無数に彼女に降り注いだ。エストレアはそれを軽やかな足取りで避けていくと剣の舞で応戦する。しかし、ケルベロス、キマイラを一瞬で討ち取った魔力の剣の嵐は竜に傷をつけるものの速かにその傷は塞がっていった。
「はははは!!あの方から授かった異界の力は素晴らしい!!」
アリスの声が何処かから響く。ウロボロスの体には改良された黒尸菌が感染しており、桁違いの再生力を有していた。
エストレアに接近したウロボロスが腕を振り下ろす。エストレアは横に大きく跳び巨大な腕による一撃を避けると無数の蟲の腕が彼女を追撃してきた。エストレアは二本の剣でそれを切り裂きながら避けていたが突如彼女の体を異変が襲った。
(……!!?体が動かない!!……幻惑魔法か!?)
アマデウスが歌声のような唸り声を上げていた。七英傑、魔老王アマデウス・ファルコはその素質により自らの発する音で魔法陣を形成したり音を聴いた相手を幻覚にかけることが出来る。
魔法によって体の自由を奪われたエストレアに竜の腕が襲うと彼女は部屋の中央から吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。
「もう素体がどうだとか関係ない!!小娘、お前は無残に殺してやる!!」
ボロ雑巾のように倒れるエストレアにアリスが叫ぶ。
エストレアはボロボロの手足に鞭を打ちなんとか立ち上がり、自分の負傷の程度を確認した。竜の腕がぶつかる瞬間、何とか魔力の壁を体に纏ったため一命は取り留めたものの攻撃が直撃した右腕は完全に折れ、肋骨の数本にヒビが入っていた。壁に打ち付けた際に体のあちこちに切り傷ができた。頭にできた傷から溢れる血液が彼女の目を塞ぐ。
エストレアは自身の体を完全に把握すると目蓋を閉じ、集中する。すると傷口から溢れる血が次々と止まっていき、折れたはずの右腕も元の形に戻っていった。
「ほお、治癒魔法……いや、魔力による肉体操作で体を無理やり“治している”だけか……ふふ、その強がりがいつまでもつかな?せいぜい簡単に死んでくれるなよ!!」
「……お前はさっきからうるさい。」
口に溜まった血を吐き捨て、顔を覆う血を前髪をかき上げるように拭うとこれまで以上の鋭い視線で睨みつける。
「私はうるさいのが嫌いだ。それに……死ぬのはお前だ。」
一本の剣に魔力を込め、天に掲げた。
「おい、フランケン!!どうした!!」
時はエストレアとウロボロスが交戦する直後に遡る。ポラリス達はフランケンの案内で出口を求めて死体処理場まで戻っていた。血液の池と死体が放つ臭気で躊躇したものの何とか死体処理場の中央付近まで来た時、急にフランケンが苦しみ出した。
自分の胸を掻き毟るフランケンをカーネルが止める。
「おい、何が起こっている!!」
「俺もわかんねーよ!しっかりしろ!フランケン!」
フランケンはひとしきりもがいた後、天に向かって雄叫びを上げるとその口から青く光る塊を吐き出し、動かなくなった。その数秒後、何かの雄叫びが地下に響いた。
「!?シリウスさん!!これは!?」
「……わからん。……!?何かくるぞ!!」
シリウスが何者かの気配を感じ取る。すると、積み上げられていた死体の山が勢いよく崩れ、中から巨大な魔物が現れた。
「あれは……ブルートアリゲーター!?」
全長20m以上はある巨大な体は全体的にワニの骨格に近いが足は狼のように発達している。薄い体毛が体中を覆う中、たてがみと手足の関節、背骨に沿った部分は黒く濃い毛が生えている。ワニに似た巨大な口は獣の牙が生え揃い、死臭を吐き出していた。
ブルートアリゲーターは熟練の戦士や冒険者でさえ逃げ出すほどの強力な魔物である。
「!?来るぞ!!避けろ!!」
発達した足をぐっと曲げると全身をバネにしてこちらに突進してくる。巨大な体に似合わずその動きは身軽である。
「フランケン!!おい!!しっかりしろ!お前も逃げるんだ!!」
カーネルはなおフランケンの体を抱き寄せ、共に逃げようとする。しかし、大男の体は簡単には動かず、獣は目前まで迫っていた。
(……すみません……)
ポラリスはカーネルを強引に引き剥がすと倒れるように獣の攻撃を回避した。獣は回避したポラリス達には目もくれずフランケンの死体を丸呑みにし、勢いのままに通過した。
「フランケン……。……気を取り乱してすまない」
カーネルは体裁だけでも冷静さを取り戻す。しかし彼の肩は震えていた。
獣はこちらに振り向くと大きな口を開けて咆哮を放つ。ポラリスは体がビリビリと強張るのを感じた。
「ポラリス!!そいつを連れて下がってろ!!」
シリウスの指示に頷くとカーネルを連れて死体処理場から離れようとする。
獣は再び突進の準備をするとポラリス達に向かっていく。
「お前の相手はこっちだ!!」
シリウスは剣を抜くと獣に向けて斬撃を飛ばす。獣は少し怯んだものの傷は浅く、矛先をシリウスに変え、再び突進する。シリウスは剣先を獣に向け、魔力を練った。
「“神の鉄槌”!!」
獣の頭上から雷の一撃が落ちる。獣は悲鳴とも聞こえる叫び声をあげるとぐったりと倒れた。
「シリウスさん!!やりましたね!」
「……ああ」
シリウスは獣の死を確認しようと死骸に近づいた。その時であった。
「!!シリウスさん!!」
確かにシリウスの一撃は獣の脳天を直撃していた。通常の個体なら死亡している。しかし、獣は息を吹き返したように目を開けると接近するシリウスに向かって頭を振り上げた。
(!?なんだと!!)
何とか剣を盾に攻撃の直撃は防いだものの吹き飛ばされ、体勢を崩してしまう。獣は好機とばかりにシリウスに向かっていった。
シリウスは剣を杖に何とか立ち上がるものの回避は間に合わない。
しかし、獣はシリウスの目前でよろめいた。ポラリスが獣の首筋を横から槍で貫いていたのである。
「シリウスさん!!早く逃げてください!!」
「馬鹿!!さっさと離れろ!!」
獣はポラリスを振り払うように頭を大きく振る。ポラリスは決して槍を放さまいと振り回されながらも力強く握る。しかし、槍は獣から抜け、ポラリスは宙を舞い壁に叩きつけられた。
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