不老不死と拾われ弟子

シーカピ

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ナニカ

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「1番年寄り」という言葉を聞いてノアとヴァルケンドはぎょっとしていた。
そして年寄りと言われた本人は「ほぉ?」と感心しているようだ。

「あの…どうかされました?」

ピンクタイツがそう問うと、驚いた2人が口を開こうとする前にカミラが遮る。

「ふっ…なんでもない。それよりも君はそういうことまでわかるんだな」
「そうですね。あなたが住んでいる世界ではあなたが1番年寄りでしたから知識などをお借りしたく…」
「そうか、だが私は歳だけとって知識なんかほとんど無いが?」
「でもお強いでしょ?」

確信していると言わんばかりの凛とした声で言いきる。しばらくしてカミラの方から口を開いた。

「わかった。そのナニカを倒せばいいんだな?」
「…!ありがとうございます!報酬はきちんとお渡しします!」
「報酬はいらん、貰っても役に立つのはこの世界だけだからな」
「そ、そう言われましても…なにかお渡ししたいのですっ!私が出来ることならなんでもお渡しします!!」

必死に懇願するのを困り果てた顔で見ていたが、じゃあ…と、ある提案をした。

「そ、そんなことでよろしいのですか?もっと良いものをお渡しすることも…」
「いや、それでいいんだ」

そうですか…と少し困惑しながらも了承する。

「そうだ。あなたの名前を聞いてなかった」
「そういえば…確かに名乗っておりませんでしたね。改めまして私の名前はフーリアです。よろしくお願いいたします」
「フーリアか、私はカミラだ。ただの長生きだが、よろしく」

ニコリともしない顔で淡々と自己紹介をする。ピンクタイツ…いや、フーリアさんとの格差がすごい。師匠が自己紹介し終えるとチラッと後ろに控えて立っている私に目配せする。

「私はカミラ様の弟子のノアです。よろしくお願い致します。」

あとはヴァルケンドさんの紹介を…

「じゃあそのナニカについてもう少し詳しく聞こうか」
「あの師匠…」
「カミラさん…そちらの方…」
「お前らはカミラと違って優しいなぁ~。俺はヴァルケンドだ」

優しいと言った後にカミラに睨みをきかせるが、睨まれた本人はフンッと言いたげな表情をしていた。

「皆さんの自己紹介もお聞きしましたし、そのナニカについて説明いたしますね」

話をまとめるとこうだった。
そのナニカはグニョグニョした触手が何十本も生えており言葉も通じず、見えないバリアが張られてあるようなのだ。そして底なしの体力を持っているのか数十日間暴れてるらしい。一応死者や怪我人の報告はないそうだが、時間の問題だそうだ。

ひとしきり話を聞き終えるとカミラは「なるほど…」と呟き、黙々と考え込む。

「フーリア、そのナニカから死者や怪我人は出ていないと言ったな」
「ええ、間違いありません」
「それは偶々ナニカから離れていたからか?それとも近づいたり遭遇したりしても出なかったのか?」
「…遭遇した方はいますが怪我は全くされてませんね。それに様子を見るためにある程度の距離を保って近づくこともありますが被害は出ていません」
「そうか…。予想だがそのナニカには意志があるように思える。それにこの世界のものを傷つけないように気をつけている理性もな」
「そう言われてみれば…」
「フーリア…1度そのナニカを見てみたい」
「えっでも…危険ですよ!」

顔は無いが焦っているのか、手で太ももをバンバン叩いていた。カミラの世界でいう首をブンブンと振って「やめろ」というジェスチャーと一緒の意味だろう。
しかし、そんなフーリアを前にカミラは挑発的な笑みを浮かべる。

「フッ…強いんだろ?私は」

ポカンと呆気を取られている…ように見える。それよりも師匠の表情が見たかった…。後ろに控えてるから見えないっ…。

「それに…うちには優秀な弟子と、不服だが中々強いトカゲがいるから安心しろ」
「…!おまかせください!師匠」
「トカゲは聞き捨てならねぇが任せとけ」
「そうでしたね…!連れてきたのは私なのにうっかりしてました」
「じゃあ連れてってくれるか?」
「はい!ですが今日はもう遅いので明日でもよろしいですか?」
「構わん」

話を終えた後はそれぞれ広い個室が与えられた。カミラはまだフーリアと話していたがノアとヴァルケンドは追い出され個室へと向かった。
次の日になり4人はナニカの元へ向かう。森と言っていいのか分からないが、つららの形をした白い木のようなものが地面に刺さっている。
ある程度歩くとフーリアがピタッと止まった。

「この先です」

そう言い、前方を指で指す。そちらに目を向けると前日に聞いた通りの姿のナニカがいた。

「あれか…今は暴れてないんだな」

暴れることなく、寝ているのか寝ていないのかは分からないがただぐったりしていた。

「ちょっと行ってくる」
「えっ…!?もう少し様子見を…」

そうノアが制したのも耳に入らず、カミラはずんずんとそれに近づいていった。向こうも近づいているのに気づいたのかじりじりと動き出す。

「ピキャーーーー!!!」

巨体にしては可愛い声で叫ぶその触手が攻撃をし始めた。カミラはその攻撃を避けるそぶりも無く触手へと真っ直ぐ歩いている。

「カミラ様っ!!!」

目の前の光景に思わず大声で名前を呼ぶと、隣に並んで歩いていたヴァルケンドが体をビクッとさせる。

「うおっ…驚かせんなよ」
「いやっでもあれ止めないと!」
「あんぐらい簡単によけれる。それに向こうも完全に攻撃するつもりはなさそうだしな。おとなしく見とけ」

不安ながらも大人しく見ていると、触手が攻撃を師匠の真横に下ろした。地面への衝撃を全く気にせず、それの中心と30cmぐらいの距離になった瞬間にカミラがズボッと左腕を突っ込んだ。触手は真ん中の黒いモヤから出ているようで手を突っ込めるようだ、突っ込みたいとは思わないが。左腕を入れられたナニカも何が起こったと言わんばかりに固まる。

「ふむ…これは難しい発音だな」

左腕を入れて10秒ほどそのままにするとそう呟く。そしてやっと左腕を離し、うっゔんと喉を鳴らす。

「ぴぴぃ」

一瞬誰から発声されてるのか分からなかったが、師匠からだというのは一目瞭然だった。いつも心地よい低さの声で静かに話している所しか知らないので余計混乱した。一方さっきまで突っ込まれてたナニカは触手をうねらせながら「ピピィピピピ!」と必死にカミラに訴えかける。対してカミラも同じように返していた。少し話していたかと思うと後ろで待っているこちらを振り返る。

「皆、こいつは大丈夫だ」

3人がキョトンとしてるのを無視し、カミラは淡々と説明する。

「こいつの名前はピペェ、元の世界で空間にできた亀裂に吸い込まれてここに来たそうだ。ただでさえ知らないところに放り込まれて不安だったのに嗅いだこともない匂いのする生命体が居たから恐ろしくて威嚇してたんだと」
「あの師匠…それはそのピペェさんから聞いたんですよね?適当に言ってるとかではなく…」
「当たり前だろう。こいつに聞かないで誰に聞く?それに適当に言ってもどうにもならん」

説明を続けるカミラと、トントン拍子に事が運びすぎて頭がまったくついていけてない3人、そして触手が無くなった黒くて小さいモヤが空中に浮いていた。

とりあえず言語が通じているのはフーリアさんの時と同様だと思う。しかし、師匠の適応力が恐ろしく早い…。会って話してすぐ解決というなんとも拍子抜けな展開にフーリアさんも「私たちの数十日間はいったい…」と呆気にとられている。ヴァルケンドに関しては勘弁してくれと言わんばかりにふぅーと息を吐き出していた。

「まぁピペェは元の世界へ帰せるから安心しろ」
「はぁ…どうやって帰すつもりだ」
「昨日フーリアから教えてもらった技術を使う」
「あぁ…昨日お2人が残っていたのはそういう…」

こうして3人は実際は10分ほどの会話も体感時間としては何時間も話されてるような気分に陥ったのだった。
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