神人転生 欠陥品で廃棄されたようですが、実は最強だったので異世界で生きていくことにしました

蒼の燈

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遭遇

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 研究所を出発してから、三日間が経過した。
 迷わないように移動しながら、その間も何かないかと注意をしていたが、人や動物の住んでいた形跡は全く見当たらなかった。

 ただ、唯一気にかかるのは、人の気配がしないにもかかわらず人型の足跡がそこら中に残されている事だった。
 かなり最近つけられたと思われるものもあり、近くに生物が存在しているのは確実だが、これまで一体もそれらしき生物は発見できていない。

「今日はここで夜営かな」

 もう日も傾いてきていて、地球とあまり変わらないように見える太陽も、オレンジ色に染まりつつある。
 なるべく平で砂の少ない硬い地面を探し、その上に持ってきた布を広げて石を乗せて固定する。
 ホームセンターに売っているような安物のテントにも劣る環境だけど、これをしないで寝たら間違いなく風に吹き上げられた砂で体が大変な事になってしまう。

 準備を終えるともうやる事もないので、後は夕食を食べて寝るだけになる。
 夕焼けが終わり、夜になるのを待つ時間が俺は少し好きだった。
 この世界の星空は本当に綺麗なのだ。
 大気汚染も、街の明かりもない世界の空はこんなにも綺麗なのかと感動した。
 記憶にある地球の星空とは、配置が全く異なる星の輝きも、この寂しい一人旅を癒してくれる。
 食事は相変わらず味気ないものだけど。

 そうこうしているうちに太陽は完全に沈み、
辺りには静寂と闇だけが訪れた。
 明かりとりのために魔法で光を灯す。
 旅立った最初の夜に、この暗さをなんとかできないかと思い試してみると、成功した魔法だ。
 最初はすぐに消えてしまったりしたけれど、「起源」とやらを意識し、強く現実世界を書き換えるように魔力をかけると、長続きするようになった。

 この魔法にはかなり助けられたと思う。
 一人知らない土地で、夜を暗闇と過ごすとなると、確実に心が折れていた。

 明日、日が上ってすぐに移動して距離を稼ぎたいので、もう寝るかと布団代わりの布を体に巻き、寝支度を整える。

「おやすみ、明日には何か見つかるといいな」

 そう願いを込めた独り言を呟き、さぁ寝るかと目を瞑ろうとしたその時。
 微かに女の悲鳴と、何かが地面に倒れるような音が聞こえてきた。
 それに続いて、足音も結構な速さでこちらに近づいてきている。

 久しぶりに聞こえた人間と思わしき声にテンションが上がるが、どうやら何か問題が起きているらしい。
 素早く身を起こし、何かあればすぐに逃げられるように警戒する。

「願わくば穏便な出会いなら良いんだけど、そうも言ってられない感じかな、これは」

 その足音はもう間近に迫ってきている。
 音がする方向に油断なく構え、その原因を視認しようとする。
 魔法の証明に照らされ、その人物の影が映ったその時。

「ちょっとそこのあなた! アンデッドよ、助けて!」

 こちらに全力で逃げてきた少女は何者かに追われているようだった。
 焦ったような救援を求める声に、一瞬どうすれば良いか躊躇するが、助ければこの少女から話を聞けるかもしれない。
 そう考え、とにかくそのアンデッドやらを見ない事にはどうしようも無いと、光を灯す魔法を全力でその少女の背後に発動する。
 急激に視界が明るくなった事で目の奥が痛むが、女を追いかけてきたアンデッドの姿が視認できた。

 それは人型にあっても人間とは到底呼べない代物だった。
 皮膚は剥がれ落ち、剥き出しの筋肉は腐っているようだ。
 眼孔には青白い光が不気味にゆらめいていて、そこからは感情らしきものは読み取れない。
 しかし、オーラとでもいうのか、激しい憎悪の感情が伝わってきた。

 生理的嫌悪感に鳥肌が立ちそうになるが、なんとか堪えてそいつに魔法を放つ。
 この旅で何度も使用した飲料水用の魔法だ。
 攻撃を意図したものではなくても、何百キロにもなる水流をぶつけられれば、人間であればひとたまりもないだろう。

 焦っていた状況でも魔法は無事発動し、そのアンデッドを水の奔流が飲み込む。
 その水圧に耐えらなかったのか、アンデッドは肉体をバラバラにされながら押し流されていった。

「ふぅ、なんとかなったかな」

 まだ安心はできないけれど、ひとまずは危機は去ったと判断し、俺の後ろに逃げていった少女を振り返る。
 その少女は地面にへたり込み、震えているようだった。

「大丈夫? 怪我はない?」

 そりゃあ、あんな化け物に襲われたら恐怖もする。
 俺はできるだけ女を刺激しないように、努めて明るく声をかけた。

「うそ……アンデッドを一撃で……? ありえない。それにあの魔法の威力……どうやって……」

 呆然とアンデッドが押し流されて行った方向を見ながら、ずっと独り言を呟いていた。
 俺の声など気づいていないようだった。

 「おーい、あの、本当に大丈夫?」

 結局、少女が落ち着くまでは三十分ほどの時間がかかった。
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