ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ

文字の大きさ
68 / 117
第05話 結婚反対デモ騒動

15.今まで何万回の

しおりを挟む
 ***

 夜。十八時半。ヴァンは全ての仕事を終え、八人に分身。それぞれ妻の部屋に帰宅する。

「ただいま」

 ヴァン[ジル]が告げると、ジルーナが廊下にひょっこり顔を出した。

「おかえり」

 ヴァンはしみじみと彼女の言葉を噛み締める。帰宅したら彼女にそう言ってもらえるからこそ、ヴァンは毎日敵だらけの外の世界に飛び出して行くことができるのだ。

 ヴァンは廊下を進み、キッチンに到着。夕食当番が作ってくれた料理とは別に、ジルーナは追加のおかずを作ってくれていた。

「昼以来だな」

 ヴァンは壁に寄りかかり、笑いまじりに告げる。

「あ、ご、ごめんね。送ってもらって」
「何で謝るんだよ。ジルに頼られて嬉しかったよ」

 本心でそう思う。妻のためなら何だってしてあげたいのだ。してほしいことを示してくれるのはありがたいくらいだ。ジルーナは少し考え込むように、鍋をかき混ぜる手を止めた。

「……そう、なんだね。さすが、ティア先生のレッスンは勉強になるよ」
「ハハ、やっぱりやってたのか」

 予想通りキティアの『わがまま女レッスン』が開催されていたらしい。どんどん続けてもっとジルーナを仕上げてほしい。第一夫人であるジルーナには一番長く苦労をかけているのだ。

「……ねえ、わがまま言った後はさ、ご褒美をあげるのがルールなんだって」
「ほう? それはありがたい」

 本当にキティアは良い先生だ。

「ど、どうしよう。……今更ちゅーくらいじゃ喜ばないよね?」
「いや、初めてしたみたいに喜ぶぞ」
「い、今まで何万回したと思ってるのさ。……おいで」

 ジルーナに手招きされ、ヴァンは喜び勇んで彼女に接近した。ジルーナは踵をクッと持ち上げて、ヴァンの唇にキスをした。

「……うん、今日は良い日だ!」

 ご機嫌。始まりは最悪だったが、終わってみれば爽快な一日だった。あの厄介な総理の隙を見つけたし、昼間から妻とイチャイチャもでき、ランチも妻と楽しみ、フラムはダイエットに手応えを感じ、夜は『タクシー』をやってあげた四人からご褒美も貰える。最高だ。

「ほ、本当にそう思ってる? あのさ、ニュース見たよ」
「あ」

 ヴァンの結婚に抗議するデモがあったことはすでに報じられていた。そして総理による企みだったことも、その証拠が見つかったことも。

「現場に居た人が撮った映像が流れてたけど……あれはすごいね。あれが夫だと思うと震える」
「演技だぞ……⁉︎」
「ハハ、分かってるよ」

 ジルーナは笑いながらヴァンを励ますように肩をぽんぽん叩いた。しかし、その直後に一転して表情を曇らせる。

「また自分が傷つく方法選んで……。早く色んなことから解放されるといいね……」
「……そうだな」

 ヴァンはジルーナを真似し、彼女の肩をぽんぽん叩く。

「でも、今日で結構良い方向に進んだと思う」
「そうみたいだね。なんかニュースでも、『もうスナキア家のことは諦めないと』って雰囲気だったよ」

 全力で変態になり切った甲斐はあったというわけだ。それと総理の不祥事を合わせれば、次の選挙は相当期待できそうだ。

「ジルは大丈夫か? 総理の仕込みだったとはいえ、結婚反対のデモなんてな……」
「うん。へーき。結婚したばっかりの頃はもっと酷かったじゃん。それと比べれば全然」
「……」

 本当に、彼女には辛い思いをさせてきたと思う。結婚当初の国民の反発は今の比ではなかった。彼女は、自分の立場のせいで国中に非難される立場になり、隠れるように暮らすことを余儀なくされた。その上────、

「他のみんなも大丈夫そうだったよ」

 ヴァンは他の女性とも結婚した。しかも八人の中で彼女だけはその受け取り方が違うだろう。ヴァンの妻は彼女ただ一人だった時期があるのだ。最初から別の妻が居る状況だった七人より、受け入れる負担は大きかったはずだ。

「他のみんな……か」

 ヴァンにも彼女にも他の選択肢がなかったとはいえ、この結婚は残酷だ。

「……今更何考えてるの?」

 ジルーナはヴァンの顔を覗き込む。ヴァンの思考など彼女には容易く見抜かれてしまう。

「ヴァン、私ね。みんなが居るから挫けずにやってこれたの。みんなが居るから今幸せなの。だから、これで良かったんだよ。それに……」

 ジルーナは爽やかに微笑む。

「一夫多妻は私が言い出したんだからさ」


(作者より:次回、ジルーナとの馴れ初め編です。時系列が変わるのでご注意ください)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...